社会福祉法人の設立運営マニュアル(3)       資産・事務手続

社会福祉法人の設立・運営をお考えの皆様へ

法人設立により新たな業務形態に移行し、更なる社会貢献と事業の発展を目指す皆様の、ご事情やお気持を十分にお伺いして、ご満足ご安心頂けるよう、法人設立と法人運営のお手伝いをさせて頂きます。

● 事業目的に応じて、どのような組織の法人の設立がふさわしいかの事前のご相談

● 法人設立後の事業計画立案支援

● 各種手続の代行

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● 必要書類の準備

● 資金調達支援

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法人の設立と運営に関わる手続を、すべて代行・サポートさせて頂きます。

法人設立と運営の諸手続は、専門の行政書士にお任せください。

 

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社会福祉法人設立/運営トータルサポート

➡社会福祉法人の設立運営マニュアル(1)制度の概要

➡社会福祉法人の設立運営マニュアル(2)経営組織

➡社会福祉法人の設立運営マニュアル(3)資産・事務手続

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社会福祉法人のM&A/事業承継トータルサポート

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社会福祉法人の合併・事業譲渡マニュアル 2  吸収合併 

社会福祉法人の合併・事業譲渡マニュアル 3  新設合併

 

➡補助金申請トータルサポート

 


社会福祉法人とは
■ 社会福祉法人は、社会福祉法に基づいて社会福祉事業を行うことを目的に設立された法人です。

事業の目的は、第1種社会福祉事業及び第2種社会福祉事業だけに限られ、それ以外の事業ための設立は認められません。

● 第1種社会福祉事業で実施できる事業

特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、知的障害者授産施設、知的障害者更生施設、知的障害者福祉ホーム、知的障害者通勤寮、身体障害者更正援護施設、知的障害児施設、肢体不自由児施設、児童養護施設、母子生活支援施設

● 第2種社会福祉事業で実施できる事業

老人居宅介護事業、デイサービス・ショートステイ事業、保育所、身体障害者・知的障害者の居宅介護、介護支援センター、認知症対応型共同生活援助

■ 社会福祉法人は公益性の高い法人であるため、設立には行政庁の認可が必要となります。

・原則として、市区町村長の認可が必要です。
・但し、二つ以上の市区町村に施設を設置する場合には、都道府県知事の認可が必要です。

■ 社会福祉法人の設立には、施設整備を行う(施設を新築する)場合と、施設整備を行わない(既存施設を利用する)場合があります。

 

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社会福祉法人設立要件の概要

社会福祉法人を設立するためには、資産(土地建物・運用資金)、及び、組織(理事・監事・評議員)の要件を充足していることが必要です。

■ 資産(基本財産と運用財産)

● 基本資産について

・原則として、寄付できる不動産(土地・建物)を所有していること。

・使用供与の施設を国又は地方公共団体から貸与又は使用許可を受けている場合は、1,000万円以上に相当する資産を有すること。社会福祉施設を経営しない法人の場合は1億円以上に相当する資産を有すること。

・都市部など土地等の取得が困難な地域では、不動産の一部に限り、個人又は法人から借受可

● 運用資産について

・法人の設立の運転資金として、年間事業予算の約12分の1以上の資金を有すること。

・介護保険上の事業及び障害福祉分野における支援費対象事業の場合は12の2以上、特別養護老人ホームは12分の3以上の資金を有すること。

■ 組織(役員と評議員)

● 役員(理事・監事)

・理事を6名以上選任すること。社会福祉事業について熱意と理解を有し、実際に法人運営の職責を果たせる者であること。

・監事を2名以上選任すること。法人の財産状況等の監査を行う者で、1名は財務諸表等を監査できる者であること。1名は社会福祉事業につき学識経験を有する者又は地域の福祉関係者であること。理事、評議員又は社会福祉法人の職員との兼任不可。

● 評議員・評議員会

・原則として、評議員会を置くこと。

・評議員の定数は、理事の定数の2倍を超えること。

・但し、 都道府県又は市町村が福祉サービスを必要とする者について措置をとる社会福祉事業、保育所を経営する事業、介護保険事業のみを行う法人については、評議会の設置は不要。(※下記のように改正されました)

※【改正】評議員・評議員会の設置(平成29年4月1日より)
社会福祉法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。(改正法第36条)
従前は、任意設置の諮問機関でしたが、改正により議決機関として位置付けられ、すべての社会福祉法人において設置が義務付けられました。

① 評議員の定数   定数は、理事の定数を超える数とします。(例)理事が6名の場合、評議員7名以上

但し、経過措置による特例として、 改正法の施行の際、現に存する社会福祉法人であって、その事業の規模が政令で定める基準を超えないものに対する評議員の数については、平成32年3月31日までの間、4人以上とされます。

② 兼業禁止    評議員は、役員又はその社会福祉法人の職員を兼ねることができません。

③ 評議員・役員の特殊関係者の就任禁止    次に揚げる者は、評議員に就任できません。

・各評議員につき、その配偶者又は3親等内の親族その他各評議員と厚労省令で定める特殊の関係がある者

・各役員につき、その配偶者又は3親等内の親族その他各評議員と厚労省令で定める特殊の関係がある者

④ 定款の定め

・理事又は理事会が評議員を選任し又は解任する旨の定款の定めは、その効力を有しません。

・改正前と異なり、理事長が評議員を委嘱することはできません。

・評議員の報酬等の額は、定款で定める必要があり、無報酬とする場合は、その旨を定款に定めます。

⑤ 権限

・評議員会は、社会福祉法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議することができます。

・評議員会は、重要事項の最終的な意思決定機関となります。

⑥ 招集手続    原則として、理事が招集します。

・招集する場合、理事会の決議により以下の事項を定める必要があります。

   ・日時及び場所   ・目的事項があるときは当該事項   ・目的事項に係る議案の概要

⑦ 出席・決議

・評議員は、自ら評議員会に出席し議決権を行使することが求められ、委任状(代理人出席)や書面による議決権行使はできません。(改正前は書面による議決権行使が認められていましたが、改正後はできません)

 

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社会福祉法人の資産・事務手続  

※社会福祉法人事務手続の手引 東京都福祉保健局 令和3年3月改訂版より抜粋

1 社会福祉法人の資産

社会福祉法人は、社会福祉事業という公益性の高い事業を安定的・継続的に経営していくことが求められています。特に、財政面において確固たる経営基盤を有することの必要性から、社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならないとされております。(社会福祉法第25条)

1 資産の所有等

(1)社会福祉事業に供する不動産

社会福祉法人は、社会福祉事業を行うために直接必要なすべての物件について所有権を有していることが必要とされています。これにより難い場合は、国若しくは地方公共団体から貸与若しくは使用許可を受けていることが必要です。

なお、都市部等土地の取得が極めて困難な地域においては、不動産の一部(社会福祉施設を経営 する法人の場合には、土地)に限り、国若しくは地方公共団体以外の者から貸与を受けていることとして差し支えないとされています。この場合には、事業の存続に必要な期間の地上権又は賃借権を設定し、これを登記しなければなりません。

(2)社会福祉事業に供する不動産の特例

前述のとおり、都市部等土地の取得が極めて困難な地域においては、不動産の一部に限り、国若しくは地方公共団体以外の者から貸与を受けていることとして差し支えないとされておりますが、次にあげる施設について、具体的に資産要件の緩和通知が出されています。

※ 根拠規定となる通知については、一部改正されている場合があります。最終改正(現在適用されているもの)の状況について不明な点は、所轄庁に問い合わせください。

① 特別養護老人ホームを設置する場合

・「国又は地方公共団体以外の者から施設用地の貸与を受けて特別養護老人ホームを設置する場合の要件緩和について」(平成12年8月22日社援第1896号・老発第599号厚生省社会・援護局長、老人保健福祉局長連名通知)

② 地域活動支援センターを設置する場合

・「障害者自立支援法に基づく地域活動支援センターの経営を目的として社会福祉法人を設立する場合の資産要件等について」(平成24年3月30日社援発0330第5号社会・援護局長通知)

③ 既設法人が福祉ホームを設置する場合

・「国又は地方公共団体以外の者から施設用地の貸与を受けて既設法人が福祉ホームを設置する場合の要件緩和について」(平成12年9月8日障第669号・社援第2028号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長連名通知)

④ 既設法人が通所施設を設置する場合

・「国又は地方公共団体以外の者から不動産の貸与を受けて既設法人が通所施設を設置する場合の要件緩和について」(平成12年9月8日障第670号・社援第2029号・老発第628号・児発第732号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)

⑤ 既設法人以外の法人が保育所を設置する場合

・「不動産の貸与を受けて保育所を設置する場合の要件緩和について」(平成16年5月24日雇児発第0524002号・社援発第0524008号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長連名通知)

⑥ 地域密着型介護老人福祉施設の「サテライト型居住施設」又は構造改革特別区域に

おける「サテライト型障害者施設」を設置する場合

・「地域密着型介護老人福祉施設の「サテライト型居住施設」及び構造改革特別区域における「サテライト型障害者施設」の用に供する不動産に係る取扱いについて」(平成16年12月13日社援発第1213003号・老発1213001号厚生労働省社会・援護局長、老健局長連名通知)

⑦ 幼保連携型認定こども園又は小規模保育事業(利用定員が10人以上であるものに

限る。)を行う施設を設置する場合 保育所と同様に、

・「不動産の貸与を受けて保育所を設置する場合の要件緩和について」(平成16年5月 24日雇児発第0524002号・社援発第0524008号雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長連名通知)第1の1及び2に定める取扱いに準ずる。

⑧ 国又は地方公共団体以外の者から不動産の貸与を受けて既設法人が特別養護老人ホーム(サテライト型居住施設である地域密着型特別養護老人ホームを除く)を設置する場合

・「国又は地方公共団体以外の者から不動産の貸与を受けて既設法人がサテライト型居住施設である地域密着型特別養護老人ホーム以外の特別養護老人ホームを設置する場合の要件緩和について」(平成28年7月27日社援発0727第1号・老発0727第1号厚生労働省社会・援護局長、老健局長連名通知)

2 資産の区分

社会福祉法人の資産は、基本財産、その他財産、公益事業用財産(公益事業を行う場合に限る。)及び収益事業用財産(収益事業を行う場合に限る。)に区分されます。

(1)基本財産

基本財産は、社会福祉法人存立の基礎となるものであるため、これを処分【※】し、または担保に供する場合には、所轄庁の承認を受けなければなりません。

※ 基本財産の取り壊し、売却、交換、貸与等使用権の設定、その他の財産への切り替え等が、基本財産の処分に該当します。

① 社会福祉施設を経営する法人【※】

○ すべての施設についてその施設の用に供する不動産は、基本財産としなければなりません。

○ ただし、すべての社会福祉施設の用に供する不動産が国又は地方公共団体から貸与又は使用許可を受けているものである場合にあっては、1,000万円以上に相当する資産(現金、預金、確実な有価証券又は不動産に限る。)を基本財産として有している必要があります。

【※】 障害者総合支援法に定める日中活動系サービスの障害福祉サービス事業所(療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援)を設置する場合は、「社会福祉施設を経営する法人」として取り扱うこととされています。

② 社会福祉施設を経営しない法人

○ 社会福祉施設を経営しない法人は、一般に設立後の収入に安定を欠くおそれがあり、設

立時において事業継続を可能とする財政基盤を有することが必要であるため、原則として1億円以上の資産(例えば、定期預金、土地、日本国債など)を基本財産として有していなければなりません。

○ ただし、委託費等で事業継続に必要な収入が安定的に見込める場合は、法人の安定的運営が図られるものとして所轄庁が認める額の資産とすることができます。

③ 居宅介護等事業【※】を行う場合の特例

※ この特例が適用される「居宅介護等事業」とは、以下の事業になります。

・母子家庭居宅介護等事業 ・寡婦居宅介護等事業

・父子家庭居宅介護等事業 ・老人居宅介護等事業

・障害福祉サービス事業(居宅介護、重度訪問介護、同行援護又は行動援護に限る。)

次の(ⅰ)及び(ⅱ)の要件を満たしていれば、1,000万円以上に相当する資産を基本財産とすることで足りるものとされています。

ただし、併せて行うことができる事業の範囲も(ⅲ)のとおり決められています。

【特例の要件】

(ⅰ)5年(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人の場合又は当該居宅介護等事業の事業所の所在地の市町村長が法人格を取得することについて推薦をした場合には3年)以上にわたって、居宅介護等事業の経営の実績を有しているとともに、地方公共団体からの委託、助成又は介護保険法(平成9年法律第

123号)に基づく指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービス事業者、指定介護

予防サービス事業者若しく指定地域密着型介護予防サービス事業者の指定又は障害者総合支援法(平成17年法律第123号)に基づく指定障害福祉サービス事業者の指定を受けていること。

(ⅱ)一の都道府県の区域内においてのみ事業を実施すること。

【併せて行うことができる事業の範囲】

 (ⅲ)居宅介護等事業の経営のみを行うことを原則とするが、次に掲げる事業については、居宅介護等事業の経営と併せて行うことができるものとする。

・ 障害児相談支援事業、一般相談支援事業又は特定相談支援事業

・ 障害児通所支援事業(児童発達支援(児童発達支援センターで行う場合を除く。)又は放

課後等デイサービスに限る。)又は老人デイサービス事業

・ 重度障害者等包括支援

・ 移動支援事業

・ 地域活動支援センターを経営する事業

・ 公益事業及び収益事業(地域福祉の推進を図る観点から、所轄庁が当該法人の行う社会

福祉事業に支障がないと認めた場合)

【根拠通知】

○ 「居宅介護等事業の経営を目的として社会福祉法人を設立する場合の資産要件等について」(平成12年9月8日障第671号・社援第2030号・老発629号・児発第733号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)※ 最終改正:平成25年3月29日

④ 共同生活援助事業等【※】を行う場合の特例

※ この特例が適用される「共同生活援助事業等」とは、以下の事業になります。

・認知症対応型老人共同生活援助事業 ・小規模多機能型居宅介護事業

・複合型サービス福祉事業 ・障害福祉サービス事業(共同生活援助に係るものに限る。)

次の(ⅰ)及び(ⅱ)の要件を満たしていれば、1,000万円以上に相当する資産を基本財産とすることで足りるものとされています。

ただし、併せて行うことができる事業の範囲も(ⅲ)のとおり決められています。

【特例の要件】

(ⅰ)5年(特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人の場合又は当該共同生活支援事業等の事業所の所在地の市町村長が法人格を取得することについて推薦をした場合には3年)以上にわたって、共同生活援助事業等の経営の実績を有しているとともに、地方公共団体からの委託、助成又は介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく指定地域密着型サービス事業者若しくは指定地域密着型介護予防サービス事業者指定居宅サービス事業者の指定若しくは障害者総合支援法(平成17年法律第123号)に基づく指定障害福祉サービス事業者の指定若しくは児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づく指定障害児通所支援事業者(保育所等訪問支援事業者を除く。)の指定を受けていること。

(ⅱ)一の都道府県の区域内においてのみ事業を実施すること。

【併せて行うことができる事業の範囲】

(ⅲ)共同生活援助事業等の経営のみを行うことを原則とするが、次に掲げる事業については、共同生活援助事業等の経営と併せて行うことができるものとする。

・ 障害児相談支援事業、一般相談支援事業又は特定相談支援事業

・ 老人デイサービス事業、障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練(宿泊型自立訓練を除く。)就労移行支援又は就労継続支援に限る。)又は障害児通所支援事業を経営する事業

・ 老人居宅介護等事業、障害福祉サービス事業(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援に限る。)

・ 移動支援事業

・ 地域活動支援センター

・ 公益事業及び収益事業(地域福祉の推進を図る観点から、所轄庁が当該法人の行う社会

福祉事業に支障がないと認めた場合)

【根拠通知】

○ 「共同生活援助事業等の経営を目的として社会福祉法人を設立する場合の資産要件等について」(平成14年3月30日社援発第0830007号・老発第0830006号厚生省社会・援護局長、老健局長連名通知)※ 最終改正:平成30年3月30日

2 社会福祉法人の名称や所轄庁等 

1 社会福祉法人の名称

法人名称は、下記の事項に注意して下さい。検討している法人名称が、現在使用されている名称か否かは、事前に所轄庁に確認するようにして下さい。なお、法人名と施設名は異なる名称を使用してください。

2 社会福祉法人の住所

○ 社会福祉法人の住所は、その「主たる事務所」の所在地となります。(社会福祉法第 28条)

○ 「主たる事務所」とは、法人の運営又は業務の一般的総括を行うところであり、その概念は、法人の所轄庁を決定する場合や設立の登記をすべき場所を決定する場合等において重要となります。

○ なお、法の定めにより、法人に対し、「主たる事務所」に、定款や計算書類、役員等名簿、評議員会・理事会議事録等の書類等を備え置くことが義務付けられており、国民に対し事業運営の情報を公表する場としての機能が求められております。

○ また、法人の事業活動が広域的である場合、事業の遂行上地域ごとに支部を設け、この支部が当該地域における法人の事業活動の中心となる場合は、これを「従たる事務所」として設置することが考えられます。

≪認められない名称≫

・ 個人名、企業名等から引用したようなもの

・ 都内で既に使用されている名称と同一のもの

(他県で既に使用されている名称も、極力避けてください)

≪好ましくない名称≫

・ 難解な漢字を使用した名称

3 社会福祉法人の所轄庁

(1)所轄庁の決定

社会福祉法人の所轄庁は、主たる事務所の所在地と事業を行う区域の範囲により、次のとおりとなります。

ア 主たる事務所が区市の区域内にある社会福祉法人であって、事業(第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、公益事業及び収益事業等)を行う区域が、当該区市の区域を越えない場合… 特別区長・市長

イ 主たる事務所が都道府県の区域内にある社会福祉法人であって、事業を行う区域が複数の地方公共団体の区域にまたがる場合 … 東京都知事

ウ 事業を行う区域が2以上の地方厚生局にまたがり、その事業が次の①から③に該当する場合… 厚生労働大臣

①全国を単位として行う事業

②地域を限定しないで行う事業

③法令の規定に基づき指定を受けて行う事業

④ ①から③に類する事業

(2)所轄庁による指導監査の実施

○ 社会福祉事業の利用形態は、行政による措置から事業者と利用者との契約へと移行が進んでいます。このため、社会福祉法人は創意工夫により自主的に経営基盤の強化を図ることが求められています。

○ 一方、税制上の優遇措置や補助金等の公費が投入される公益性の極めて高い法人であることから、経営の透明性を確保することが求められています。

○ これらのことから、所轄庁は、社会福祉法人に対する指導監査を、評議員会及び理事会の適正な開催や予算・決算、財産の状況の確認などを中心に、社会福祉法第58条を踏まえた運営指導と連携しながら、社会福祉法第56条に基づいて行っています。

◇指導監査ガイドライン

・所轄庁が行う指導監査の基準は、「社会福祉法人指導監査要綱」(平成29年4月27日付け雇児発0427号第1号・社援発0427第1号・老発0427第1号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長及び老健局長通知「社会福祉法人指導監査実施要綱の制定について」の別添)に定められております。

・同要綱には、所轄庁が行う指導監査の目的や類型、一般監査の実施の周期・手順などが規定されておりますが、指導監査における具体的な監査事項やチェックポイント、着眼点、指摘基準については、別紙の「指導監査ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に定められております。このガイドラインには、ガイドラインの運用に関する留意事項として、次のとおりの記載があります。

▶ なお、(社会福祉)法人は、社会福祉事業を適正に行うため、事業運営の透明性の確保等を図る経営上の責務を負うものであり、法令等に従い適正に運営を行っていることについて、客観的な資料に基づき自ら説明できるようできるようにすることが適当である。

▶ そのため、法人は、法人において確認を要するものとガイドラインに定められている事項について、特定の文書の作成が義務付けられていない場合であっても、文書等により客観的に説明を行うことができるように努めるべきである。

・ガイドラインは、所轄庁が実施する指導監査の基準であるとともに、法人にとっては、法人運営上遵守すべき事項等を具体的に示したものとも言えます。法人設立・運営に当たっては、必ずお読みください。

4 社会福祉法人の定款

社会福祉法人を設立しようとする場合においては、定款を定めなければなりません。

なお、定款は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じないものとされています。

(1)定款の記載事項

社会福祉法人の定款の記載事項には、必要的記載事項、相対的記載事項及び任意的記載事項があります。

定款の必要的記載事項には、法第31条第1項各号に掲げる事項等が該当し、当該事項の全てを定款に記載する必要があり、その一つでも記載が欠けると、その定款は無効です。社会福祉法人はその特性を考慮し、民法の公益法人よりも必要的記載事項の範囲が詳細にわたっています。

【参考】社会福祉法第31条第1項に定める必要的記載事項

1 目的

2 名称

3 社会福祉事業の種類

4 事務所の所在地

5 評議員及び評議員会に関する事項

6 役員(理事及び監事)の定数その他役員に関する事項

7 理事会に関する事項

8 会計監査人を置く場合には、これに関する事項

9 資産に関する事項

10 会計に関する事項

11 公益事業を行う場合には、その種類

12 収益事業を行う場合には、その種類

13 解散に関する事項

14 定款の変更に関する事項

15 公告の方法

(2)社会福祉法人定款例

 ○ 東京都では、厚生労働省で示している「社会福祉法人定款例」(以下「定款例」)に基づいて法人の定款を作成することを推奨しています。

○ なお、定款例の表現が個々の社会福祉法人の実情にそぐわない場合は、一部手直しをして作成することになります。その場合、定款の規定が法令に違反しないよう注意してください。

*「社会福祉法人定款例」

・「社会福祉法人の認可について(通知)」(平成12年12月1日付障第890号・社援発第2618号・老発第794号・児発第908号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知、最終改正:平成28年11月11日)別紙2「社会福祉法人定款例」

(3)租税特別措置法第40条の適用を受ける社会福祉法人の定款

○ 社会福祉法人が、租税特別措置法第40条の特例を受けるための国税庁長官の承認を得るためには、国税庁長官の審査要件を満たした定款を設け、それに沿って法人運営を行わなければなりません。

○ 東京都では、厚生労働省が国税庁から適用要件を満たすとの見解を得た上で示している「社会福祉法人定款例(租税特別措置法第40条適用版)」基づいて法人の定款を作成することを推奨しています。

○ なお、定款例(租税特別措置法第40条適用版)中のアンダ-ライン部分は、租税特別措置法第40条の特例を受けようとする場合の国税庁長官の審査事項であるため、条文どおりもれなく記載してください。(表現が異なっていると国税庁長官の承認を得られない場合があります。)

*社会福祉法人定款例(租税特別措置法第40条適用版)

・「租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43条)第25条の17第6項第1号の要件を満たす社会福祉法人の定款の例について」(平成29年3月29日付け厚生労働省社会・援護局福祉基盤課事務連絡)

※ 租税特別措置法第40条の適用に関する事項は各法人の判断になります。

なお、税額控除対象法人の認定に当たって必要となる、所轄庁からの証明を受けるための手

続きは342ページを参照のこと。

3 社会福祉法人の年間スケジュール例

※ 本項は、厚生労働省が示す「社会福祉法人定款例」の記載内容に沿って社会福祉法人

の定款を定めていることを前提にしております。

1 社会福祉法人の事務処理(毎年度行うもの)

(1)事業計画、収支予算の策定・作成(1月~3月)

【手続】

 ① 毎会計年度開始の日の前日までに、理事長において作成し、理事会での同意を得ます。

(注)

・社会福祉法では、事業計画や収支予算等の作成手続に係る定めはありません。具体的な

作成・変更手続は、内部管理のための手続として、法人自治(定款自治)の範囲内ですので、法人の定款の定めるところによります。

・事業計画及び収支予算について、評議員会での承認を要する旨定款に規定している場合、同意を得た事業計画(収支予算を含む)については、評議員会において承認を受けなければなりません。

・なお、租税特別措置法第40条の適用を受ける法人においては、定款に手続を定めた上で、毎会計年度開始の日の前日までに、理事長が事業計画及び収支予算を作成し、理事会における理事総数(現在数)の3分の2以上の同意及び評議員会の承認を受けなけれなりません。(2)事業報告等及び計算関係書類の作成(4月~6月)

【手続】

① 会計責任者は、毎会計年度決算期(3月31日)において、総勘定元帳及び各種補助簿を締め切り、決算整理を行います。

② 理事長は次の書類を作成し、各監事に提出し監事監査を受けた上で、決算理事会の承認を受けなければなりません。また、理事会の承認を受けた後に、評議員会の承認等を受けなければなりません。

(事業報告等)

・ 事業報告 ・ 事業報告の附属明細書

(計算関係書類等)

・ 貸借対照表 ・ 収支計算書(資金収支計算書及び事業活動計算書)

・ 貸借対照表及び収支計算書の附属明細書 ・ 財産目録

(注)所轄庁への提出期限は6月30日になります。このことから、5月中旬までには作成し、各監事に提出する必要があります。

(3)監事監査の実施及び決算理事会の開催(5月下旬~6月上旬頃)

【手続】

≪監事監査の実施≫

① 理事長は、各監事に対し、事業報告等(事業報告及びその附属明細書)、計算関係書類(計算書類及びその附属明細書)及び財産目録を提出します。

② 監事は、次の手順で監事監査を実施します。

・ 監事で監事監査の実施方法(日程・職務分担など)について協議

・ 業務監査及び会計監査の実施

・ 監事報告の作成

③ 監事は、①の事業報告等、計算関係書類及び財産目録の理事長からの提出を受けてから4週間経過日までに、監事報告を理事長に提出しなければなりません。

 (例)5月 10 日 理事長から監事へ事業報告等、計算関係書類等及び財産目録提出

 5月 29 日 監事から理事長へ監事報告の提出(※ 法定期限は、6月8日)

≪決算理事会の開催≫

① 理事長は、理事会開催日の1週間前までに、役員(理事及び監事)に対し、理事会の招集通知を発出します。

※ 所定の手続きにより、招集手続の省略も可。

② 決算理事会を開催し、次の事項を審議します。

・ 事業報告等、計算関係書類及び財産目録の承認

・ 定時評議員会の日時・場所、議題等(決算・新役員・役員報酬基準等)の決定

≪関係書類の備置≫

決算理事会終了後、事業報告等、計算関係書類等及び監査報告を事務所に備え置きます。(定

時評議員会開催日の2週間前の日から)

(4)定時評議員会の開催(6月下旬)

定時評議員会では、前会計年度の計算書類等の決議(決算審査)を行います。このため、計算書類等を所轄庁に届け出る毎年6月末日までに開催しなければなりません。

また、役員(理事及び監事)及び会計監査人の任期の満了日が、任期期間経過後の「定時評議員会の終結の時まで」であることから、任期満了に伴う役員改選時期に当たる年においては、役員及び会計監査人の選任を行う必要があります。

【手続】

≪評議員会の招集≫

① 評議員会の招集については、理事会の決議により評議員会の日時及び場所等を定め、理事が招集します。

② 理事長は、定時評議員会開催日の1週間前までに、評議員に対し、定時評議員会の招集通知【※】を発出します。(例外として「招集手続の省略」の方法あり。)

※ 招集通知の記載事項(=理事会の決議により定めなければならない事項)

・ 評議員会の日時及び場所

・ 評議員会の目的である事項がある場合は当該事項

・ 評議員会の目的である事項に係る議案の概要

≪定時評議員会の運営≫

③ 定時評議員会では、次の事項の報告を受け、決議を行います。

 (毎年度必ず行うもの)

・ 事業報告等、計算書類及び財産目録の報告

 (改選・改正時等に行うもの)

 ・ 役員改選期における新役員の選任、改正時における報酬基準の承認等

 ・ 社会福祉充実残額がある場合、社会福祉充実計画原案の承認

≪定時評議員会承認後の事務処理≫

 ④ 定時評議員会での承認を経て、理事長は6月30日までに、次の事務を行います。

・定時評議員会議事録案の作成、議事録署名人による確認

・資産総額の変更登記

・現況報告書、計算書類等の所轄庁への届出・公表

(5)資産総額変更登記(6月末まで)

 組合等登記令第2条第6項別表の定めにより、資産の総額は登記事項に該当します。同令第3条の定めにより資産の総額に変更があった場合は、変更の登記をしなければなりません。

【手続】

・主たる事務所の所在地を管轄する法務局に必要な書類【※】を提出します。

【※】必要書類 … 監事監査報告書、決算理事会議事録、決算財務諸表等

・なお、計算書類(決算財務諸表等)の承認は、評議員会の決議事項に当たります。このことから、前会計年度決算に基づく資産総額の変更登記は、定時評議員会での承認を経た上で、6月末までに行うことになります。定時評議員会の開催時期や登記申請時期などのスケジュール管理にご注意ください。

(6)社会福祉法人現況報告書等の所轄庁への届出(6月末まで)

【手続】

≪財務諸表等電子開示システムにより届け出る書類≫

  • 現況報告書
  • 計算書類等(貸借対照表・事業活動計算書・資金収支計算書・拠点区分事業活動明細書、

拠点区分資金収支明細書)

  • 計算書類の附属明細書

・ 注記

・ 財産目録

・ 社会福祉充実残額算定シート

・ 社会福祉充実計画(社会福祉充実残額が生じた場合)

・ 監事監査報告書

・ 会計監査報告(会計監査人を設置している場合)

・ 事業報告書

・ 事業計画書

・ 役員等名簿(役員等の氏名及び住所を記載した名簿)

・ 報酬等の支給の基準を記載した書類(役員等報酬等支給基準)

PDFファイルなど電子ファイル化したものを、電子メールにより所轄庁へ届け出ます。

ただし、書類のページ数の量が膨大であり、電子ファイル化するのが困難である場合には、

事前に届出方法を確認した上で、書面での届出を可としています。

(7)理事会・評議員会の開催(決議を要する事項が生じた場合)

法令や定款の定めにより、理事会又は評議員会での決議を要する事項が生じた場合は、理事会又は評議員会を開催し、審議する必要があります。

特に、評議員会を開催するためには、理事会において評議員会招集に係る事項を決議しなければならないため、必ず理事会を開催することになります。

【開催時期】

・ 理事会・評議員会ともに、必要に応じて開催することになりますが、理事会については社会福祉法第 45 条の 16 第2項の定めにより、理事長及び業務執行理事の理事会への業務執行報告回数が、3か月に1回以上(定款で毎会計年度に4か月を超える間隔で2回以上と規定することも可能)とされていることから、それに応じた開催が必要になります。(法律上、毎年度定例的に開催する必要があるもの)

理事会:予算理事会(2~3月)、決算理事会(5~6月)、理事長・業務執行理事の業務

執行報告を行う理事会

評議員会:定時評議員会(6月)

◇≪評議員会開催手続きの例外的な方法≫

① 招集通知の省略

〔原則〕

・ 招集事項を記載した招集通知を、評議員会の日の1週間前(定款による短縮可)までに、各評議員に対して書面又は電磁的方法【※】により通知する。

※ 電磁的方法(電子メール等)による場合は、評議員の承諾が必要

〔招集通知省略の手続き〕

・ 評議員の全員の同意【※】があれば、招集の手続きを省略して、評議員会を開催することができる。(評議員会の日時等に関する理事会の決議は必要です。)

※ この場合、評議員全員の同意があったことが客観的に確認できる書類の作成・保存が必要となる。

* 評議員の全員が同意書を提出することとする。

* 評議員会の議事録に当該同意があった旨を記載する。 等

② 決議の省略

〔原則〕

・ 評議員会で決議を行うためには、議決に加わることができる評議員の過半数(定款で過半数を上回る割合を定めた場合には、その割合以上)の出席が必要となる

【※】

※ 委任状による議長への委任や、欠席評議員の書面による議決権行使(いわゆる「書面議決」)は、無効

・ その上で、その決議に特別の利害関係を有する評議員を除いた出席者の過半数(定款で過半数を上回る割合を定めた場合にはその割合以上)をもって行う。

(※ 「普通決議」の場合。「特別決議」の場合、現員数の3分の2以上の賛成が必要)

〔決議の省略の手続き〕

・ 定款の定めにより、理事が評議員会の目的である事項を提案した場合において、当該提案につき、議決に加わることができる評議員の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき【※】は、当該議案を可決する旨の評議員会の議決があったものとみなされる。

※ この場合、評議員全員の同意の意思表示の書面又は電磁的記録の保存が必要となる。

・ 決議の省略による場合(評議員会の決議があったとみなされた場合)にも、議事録を作成しなければならない。

この場合の議事録の記載事項は次のとおり。

 * 決議を省略した事項の内容

 * 決議を省略した事項の提案をした者の氏名

 * 評議員の決議があったものとみなされた日(=評議員全員の同意が確認できた日)

 * 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名

※ 議事録は、評議員の同意の意思表示の書面等とは別に作成しなければならない。

〔決議の省略の方法をとる上での留意点〕

 ・ 決議の省略によると、評議員の意見表明は、提案内容について同意、不同意の二者択一のかたちになるため、評議員会に出席し、審議の場において議案への修正意見等を述べようと思っている評議員の意見表明の機会を失わせる方法であるとも言えます。

 ・ このことから、決議の省略の方法をとる場合は、その審議すべき事項の緊急性とともに、議案の内容からみて適当であるか、という観点から慎重に判断いただきたいと考えています。

◇ ≪理事会開催手続きの例外的な方法≫

① 招集通知の省略

〔原則〕

・ 理事会を招集する者(理事)が、理事会の日の1週間前(定款による短縮可)までに、各理事及び各監事に対して招集通知を発出する。

〔招集通知省略の手続き〕

・ 理事及び監事の全員の同意【※】があるときは、招集通知を発出せずに理事会を開催することができる。

【※】 この場合、理事及び監事の全員の同意の取得・保存の方法については、次の方法が考えられる。(理事及び監事の全員の同意があったことが客観的に確認できる書類の作成・保存が必要となるため。)

* 理事及び監事の全員が同意書を提出することとする。

* 理事会の議事録に当該同意があった旨を記載する。 等

② 決議の省略

 ・ 定款の定めにより、理事が理事会の目的である事項を提案した場合において、当該提案につき、議決に加わることができる理事の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該議案について異議を述べたときを除く)【※】は、当該議案を可決する旨の評議員会の議決があったものとみなされる。

※ この場合、理事全員の同意の意思表示及び監事全員の異議がないことを確認した書面又は電磁的記録の保存が必要となる。

・ 決議の省略を行った場合の議事録及び決議の省略の方法をとる上での留意点は上記「評議員会開催手続の例外的な方法」の「② 決議の省略」と同じ。

2 社会福祉法人の事務処理(都度行うもの)

(1)評議員の選任(任期満了前)

 評議員は、理事や理事会が選任することはできません。

また、評議員の任期の起算日は、選任日であることに注意してください。

【手続】

評議員の選任及び解任は、中立性が確保された方法によることが望ましいものとされております。定款例に準拠した、評議員選任・解任委員会の設置による方法の場合、次のとおりとなります。

① 理事会において、選任候補者の推薦の議案を決定する。

② 評議員選任・解任委員会を開催し、評議員を選任する。

◇≪評議員選任・解任委員会の運営モデル(定款例に準拠する場合)≫

○ 運営方法等は、定款及び理事会において定める細則による。

⇒・ 評議員が欠けた場合等に迅速に対応できるよう、常時設置する。

○ 委員会は、監事○名、事務局員○名、外部委員○名により構成する。

⇒・ 評議員選任・解任委員会の委員は、法人運営の状況を把握し、業務執行に関し責任を負う理事会において決定し、選任する。

※ 社会福祉法第31条第5項の定めの趣旨から、理事が委員となることは認められない。

※ 評議員については、自分を選任・解任することになるため適当ではない。

 ・ 委員会が合議体の機関であることから、3名以上とすることが適当

○ 選任候補者の推薦及び解任の提案は、理事会が行う。

⇒・ 法人運営の状況を把握し、業務執行に関し責任を負う理事会において委員会の招集を決定し、理事が招集する。

○ 選任候補者の推薦及び解任の提案を行う場合には、当該者が評議員として適任及び不適任と判断した理由を委員に説明する。

 ⇒・ 理事が提案内容の説明・質疑対応のために委員会に出席することは可能であるが、議決に加わることは認められない。

○ 評議員選任・解任委員会の決議は、委員の過半数が出席し、その過半数をもって行う。ただし、外部委員の○名以上が出席し、かつ、外部委員の○名以上が賛成することを要する。

◇≪選任に必要な書類の例≫

○ 評議員・役員の選任手続きにおいては、就任の意思を確認するため、候補者に就任承諾書を提出させるとともに、社会福祉法人が、評議員・役員の選任に当たり、候補者が欠格事由に該当しないか、各評議員・役員との特殊の関係にある者が上限を超えて含まれていないか、暴力団員等の反社会的勢力の者でないかについて、次のような書類により確認します。

【評議員・役員候補者に提出させる書類】

・ 履歴書

・ 誓約書

・ 親族その他特殊の関係がある者に関する申立書

【法人が発行する書類】

・ 委嘱状

【官公署が発行する書類】

・ 身分証明書

・ 印鑑登録証明書

(2)役員(理事・監事)の選任

任期満了に伴う役員の選任は、以下の手続により、評議員会の決議により行います。なお、理事と監事とで一部手続が異なることに注意してください。

【手続】

① 理事会で、次の2点の決議事項について、出席理事の過半数の承認を得る。

(特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半数の出席が必要)

 ・ 理事又は監事の選任候補者

 ・ 評議員会の日時及び場所並びに議題・議案(役員選任)の決定【※】

◇≪監事の選任議案の要件≫

○ 理事会が監事の選任に関する議案を評議員会に提出するためには、監事の過半数の同意を得なければなりません。このため、当該議案を決議する理事会に欠席した監事がいる場合、別途選任議案への同意を得る必要があります。

○ また、法人は、監事の過半数の同意(監事が2名の場合2名の同意)を得たことを証する書類【※】を作成する必要があります。

※ 同意を得たことを証する書類の例

 ・ 各監事ごとに作成した同意書

 ・ 監事の連名による同意書

 ・ 理事会の議事録(当該議案に同意した監事の氏名の記載及び当該監事の署名又は記名押印があるものに限る)

② 評議員会で、理事又は監事の選任について、特別の利害関係を有する評議員を除く評議員の過半数の承認を得る。

※ なお、理事又は監事の解任は、法律により事由が限定されており、監事の解任は特別決議事項に該当します。

③ 評議員会での選任日が、任期の起算日(開始日)になります。

(3)代表者(理事長)の変更登記及び届出

新たに代表者(理事長)が選任された場合は、社会福祉法第29条及び組合等登記令第3

条の定めに従い、選任後2週間以内に代表者(理事長)の変更登記を行うとともに、遅滞

なく各社会福祉事業等を所管する部署に届け出てください。

なお、代表者(理事長)が再任の場合でも、新たな任期における代表者(理事長)としての登記が必要です。

【手続】

① 理事会での互選による理事長選任後2週間以内に、主たる事務所所在地の法務局に必要書類を提出し、理事長の変更登記を申請する。

② 理事長変更登記終了後、遅滞なく「変更届」を各事業所管課【※】あてに、提出する。

※ 生活福祉、児童・母子・女性、高齢者、障害者(児)の各社会福祉事業の許認可等事務の所管部署になります。

(4)評議員又は役員に欠員が生じた場合の補充

社会福祉法又は法人の定款で定めた評議員又は役員の員数が欠ける理由としては、まず

「任期の満了」及び任期途中における「辞任による退任」等があげられます。

これらの場合、新評議員・役員の任期の開始までの間に空白時期が生じないよう、任期

満了日(退任日)までに間に余裕をもって候補者を人選し、選任することが望ましいです。

【手続】

評議員及び役員の選任手続は、以下の点に留意してください。

① 評議員又は役員の退任により、社会福祉法又は定款で定める役員等の員数が欠けた場合には、新たに選任された評議員又は役員が就任するまでの間、退任した評議員又は役員が役員等としての権利義務を有します。

② 辞任による退任に伴う補充の場合は、社会福祉法又は法人の定款で定める原則の任期により、新任の評議員又は役員の任期の終期と他の評議員又は役員の終期とで違いが生じることがありますので、注意してください。

(注)新任の役員等の任期の終期を、他の役員等のものと合わせるために、退任した役員等の任期満了時とするためには、そのことをあらかじめ定款で定める必要があります。

◇≪追加規定の例≫

・評議員:任期の満了前に退任した評議員の補欠として選任された評議員の任期は、退任した評議員の任期の満了する時までとすることができる。

・役 員:補欠として選任された理事又は監事の任期は、前任者の任期の満了する時までと

することができる。

※ 以上は東京都の場合です。(参照:東京都福祉保健局HP)

※ 提出書類は、申請先の自治体によって異なります。各自治体の窓口での確認が必要です。

 

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