【医療法人M&Aトータルプロデュース】       専門行政書士の斡旋仲介・手続代行      

医療法人の事業承継・M&Aトータルプロデュース承ります

医療法人機関、病院、診療所、クリニック、医院、歯科のM&A(売却・買収)事業承継(売買・譲渡・相続)の斡旋・仲介や譲渡手続のお手伝いをさせて頂きます。

経済産業省M&A登録支援機関・医療専門のスモールM&A認定アドバイザーが、新たなステージを踏み出し、更なる社会貢献とご自身の人生の充実を目指す皆様の、ご事情やお気持を十分にお聞きして、ご満足ご安心頂けますよう、

● 医療法人の事業の承継・譲渡・売却・買取を希望される売り手情報と買い手情報のご案内

● 事業承継を希望される地域のニーズや競合の調査

● どのような事業承継の形態が適切かの事前のご相談

● 事業承継を希望される売り手法人様と買い手法人様の協議の支援

● 事業承継計画立案の支援

● 事業承継に必要な各種の手続の代行

● 事業承継に必要な各種の許可認可の申請代行

● 事業承継に必要な各種の書類の準備

● 助成金・補助金の申請や金融機関の融資などの資金調達支援

● 求人手続・採用面接など人材の確保

● 医療法人の設立・合併・解散の手続

● 医療法人の事業承継に関わる様々な法律問題についての企業法務

● 事業承継後の医療法人経営の諸問題への対応・コンサルティング   ほか

医療法人の承継のための諸手続を、すべて代行・サポートさせて頂きます。

医療法人の事業承継・M&Aのための諸手続は、専門の行政書士にお任せください。

    

無料相談・出張相談、承ります 

ご自宅、お勤め先、ご希望の場所への出張相談、承ります。 

無料相談・出張相談ご案内

 

どうぞ、お気軽にお電話ください

0797-62-6026 

お問い合せのご案内

 


中小企業の事業承継・スモールM&Aトータルサポート

中小企業M&Aガイドライン(1)基礎知識と手法

➡中小企業M&Aガイドライン(2)中小企業の手引

➡中小企業M&Aガイドライン(3)支援機関の基本

 

➡補助金申請トータルサポート

 

 

医療法人の事業承継・M&Aのサポート、すべて承ります

■事業承継M&Aの実行手続の支援・必要書類の作成

【1】買い手探し

(1)業務委託契約の締結  

アドバイザー契約を締結

(2)企業概要書の作成  

対象会社の概要につきアドバイザーとして作成

(3)打診活動   

候補先を探す際に初期的な関心を得るため対象会社を特定せず打診に活用する匿名資料(ノンネームシート)を作成

(4)秘密保持契約(NDA)の締結

初期的な関心を示した会社に対して締結

(5)企業概要書の提示  

実際に買収するか否か判断する資料

(6)意向表明書の取得  

関心を示した会社が対象会社に対して一方的に条件等を提示

(7)基本合意書の作成

意向表明書の条件に基づいて締結

【2】実行の手続

(1)買収監査(デューデレジェンス)の資料整理

対象会社の財務・税務・法務等の情報につき必要に応じて専門家に依頼して実態を調査

(2)買収条件の交渉

(3)最終契約の締結

表明保証、取引実行の前提条件、補償事項も記載

■ 新規事業の開業と運営

◆ 許可認可取得の申請代行     

◆ 各種法人設立の手続     

◆ 各種法人の合併・解散の手続 

◆ 企業法務、法的文書作成

■ 資金調達の支援

◆ 補助金、助成金の申請手続

◆ 公的融資の申請手続

◆ 金融機関からの融資の支援

■ 人材の確保

◆ 人材の採用(求人・面接)の支援

◆ 人員の配置(法人の役員構成)

 

最新の案件情報ご案内します

※詳しい案件情報につきましてはお電話にてお問合せ頂きますようお願い申し上げます。

 

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医療法人の許可認可の申請代行、承ります

医療法人設立/運営トータルサポート

※ その他、各種の事業承継のサポートを承ります。何なりとご相談下さい。

 

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お問い合せのご案内

 

医療法人の事業承継のご相談や手続は、専門の行政書士にお任せ下さい

● 売り手情報と買い手情報のご案内、希望地域のニーズや競合の調査、適切な事業承継の形態についての事前のご相談、売り手法人様と買い手法人様の協議の支援、事業承継計画立案の支援、事業承継に必要な各種の手続の代行、事業承継に必要な各種の許可認可の申請代行、事業承継に必要な各種の書類の準備、助成金・補助金の申請や金融機関の融資などの資金調達支援、求人手続・採用面接など人材の確保、各種法人の設立・合併・解散の手続、事業承継に関わる様々な法律問題についての企業法務、事業承継後の経営の諸問題への対応・コンサルティングほか、医療法人の事業承継のための諸手続を、すべて代行・サポートさせて頂きます。

また、事業承継(M&A)の実行の際の、買い手探し(アドバイザー契約)、企業概要書作成、打診活動(匿名資料ノンネームシート作成)、秘密保持契約(NDA)締結、意向表明書取得、基本合意書作成、買収監査(デューデレジェンス)資料整理、買収条件交渉、最終契約締結(表明保証、取引実行の前提条件、補償事項記載)など、契約書・必要書類の作成も承ります。

医療法人の事業承継のための手続は、専門の行政書士にお任せください。

● 税理士・社会保険労務士・司法書士・弁護士・公証人・土地家屋調査士・不動産鑑定士、その他、経営・金融・保険などの専門家とも常に連携しております。

● ご相談窓口一つで、様々なご事情やご要望に、適切に迅速に対応させて頂けると存じます。

 

どうぞ、お気軽にお電話ください

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お問い合せのご案内

 


無料相談・出張相談、承ります 

■ ご相談承り窓口(芦屋)でも、出張でも、承ります。

◆ 神戸市・芦屋市・西宮市・尼崎市・伊丹市・宝塚市・大阪市などの皆様には、芦屋市大桝町(三八通り)に、ご相談窓口をご用意しており、多くの皆様にご利用頂き、ご好評を賜っております。

JR芦屋から徒歩5分、阪神芦屋から徒歩5分、阪急芦屋川から徒歩8分、専用駐車場もございます。どうぞ、お気軽にお越しください。

◆ ご予約頂ければ、平日夜間、土曜・日曜のご相談(面談)も、承ります。

無料相談・出張相談ご案内

 

出張相談、全国対応いたします  お問い合せください

■ 出張相談は、下記の通り、全国対応で承っております。お問い合せ下さい。

北海道】・札幌市・函館市・小樽市・旭川市・室蘭市・釧路市・帯広市・北見市・夕張市・岩見沢市・網走市・留萌市・苫小牧市・稚内市・美唄市・芦別市・江別市・赤平市・紋別市・士別市・名寄市・三笠市・根室市・千歳市・滝川市・砂川市・歌志内市・深川市・富良野市・登別市・恵庭市・伊達市・北広島市・石狩市・北斗市

青森県】・青森市・八戸市・弘前市・十和田市・むつ市・五所川原市・三沢市・黒石市・つがる市・平川市

岩手県】・盛岡市・宮古市・大船渡市・花巻市・北上市・久慈市・遠野市・一関市・陸前高田市・釜石市・二戸市・八幡平市・奥州市・滝沢市

宮城県】・仙台市・石巻市・塩竈市・気仙沼市・白石市・名取市・角田市・多賀城市・岩沼市・登米市・栗原市・東松島市・大崎市・富谷市

秋田県】・秋田市・能代市・横手市・大館市・男鹿市・湯沢市・鹿角市・由利本荘市・潟上市・大仙市・北秋田市・にかほ市・仙北市

山形県】・山形市・米沢市・鶴岡市・酒田市・新庄市・寒河江市・上山市・村山市・長井市・天童市 ・東根市・尾花沢市・南陽市

福島県】・福島市・会津若松市・郡山市・いわき市・白河市・須賀川市・喜多方市・相馬市・二本松市 ・田村市・南相馬市・伊達市・本宮市

茨城県】・水戸市・日立市・土浦市・古河市・石岡市・結城市・龍ケ崎市・下妻市・常総市・常陸太田市・高萩市・北茨城市・笠間市・取手市・牛久市・つくば市・ひたちなか市・鹿嶋市 ・潮来市・守谷市・常陸大宮市・那珂市・筑西市・坂東市・稲敷市・かすみがうら市・桜川市 ・神栖市・行方市・鉾田市・つくばみらい市・小美玉市

栃木県】・宇都宮市・足利市・栃木市・佐野市・鹿沼市・日光市・小山市・真岡市・大田原市・矢板市・那須塩原市・さくら市・那須烏山市・下野市

群馬県】・前橋市・高崎市・桐生市・伊勢崎市・太田市・沼田市・館林市・渋川市・藤岡市・富岡市・安中市・みどり市

埼玉県】・さいたま市・川越市・熊谷市・川口市・行田市・秩父市・所沢市・飯能市・加須市・本庄市・東松山市・春日部市・狭山市・羽生市・鴻巣市・深谷市・上尾市・草加市・越谷市・蕨市・戸田市・入間市・朝霞市・志木市・和光市・新座市・桶川市・久喜市・北本市・八潮市・富士見市・三郷市・蓮田市・坂戸市・幸手市・鶴ヶ島市・日高市・吉川市・ふじみ野市・白岡市

千葉県】・千葉市・銚子市・市川市・船橋市・館山市・木更津市・松戸市・茂原市・成田市・佐倉市・東金市・旭市・習志野市・柏市・勝浦市・市原市・流山市・八千代市・我孫子市・鴨川市・鎌ケ谷市・君津市・富津市・浦安市・四街道市・袖ケ浦市・八街市・印西市・白井市・富里市・南房総市・匝瑳市・香取市・山武市・いすみ市・大網白里市

東京都】・千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・台東区・墨田区・江東区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・中野区・杉並区・豊島区・北区・荒川区・板橋区・練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区・八王子市・立川市・武蔵野市・三鷹市・青梅・府中市・昭島市・調布市・町田市・小金井市・小平市・日野市・東村山市・国分寺市・国立市・福生市・狛江市・東大和市・清瀬市・東久留米市・武蔵村山市・多摩市・稲城市・羽村市・あきる野市・西東京市

神奈川県】・横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・平塚市・鎌倉市・藤沢市・小田原市・茅ヶ崎市・逗子市・三浦市・秦野市・厚木市・大和市・伊勢原市・海老名市・座間市・南足柄市・綾瀬市

新潟県】・新潟市・長岡市・三条市・柏崎市・新発田市・小千谷市・加茂市・十日町市・見附市・村上市・燕市・糸魚川市・妙高市・五泉市・上越市・阿賀野市・佐渡市・魚沼市・南魚沼市・胎内市

富山県】・富山市・高岡市・魚津市・氷見市・滑川市・黒部市・砺波市・小矢部市・南砺市・射水市

石川県】・金沢市・七尾市・小松市・輪島市・珠洲市・加賀市・羽咋市・かほく市・白山市・能美市・野々市市

福井県】・福井市・敦賀市・小浜市・大野市・勝山市・鯖江市・あわら市・越前市・坂井市

山梨県】・甲府市・富士吉田市・都留市・山梨市・大月・韮崎市・南アルプス市・北杜市・甲斐市・笛吹市・上野原市・甲州市・中央市

長野県】・長野市・松本市・上田市・岡谷市・飯田市・諏訪市・須坂市・小諸市・伊那市・駒ヶ根市・中野市・大町市・飯山市・茅野市・塩尻市・佐久市・千曲市・東御市・安曇野市

岐阜県】・岐阜市・大垣市・高山市・多治見市・関市・中津川市・美濃市・瑞浪市・羽島市・恵那市・美濃加茂市・土岐市・各務原市・可児市・山県市・瑞穂市・飛騨市・本巣市・郡上市・下呂市・海津市

静岡県】・静岡市・浜松市・沼津市・熱海市・三島市・富士宮市・伊東市・島田市・富士市・磐田市・焼津市・掛川市・藤枝市・御殿場市・袋井市・下田市・裾野市・湖西市・伊豆市・御前崎市・菊川市・伊豆の国市

愛知県】・名古屋市・豊橋市・岡崎市・一宮市・瀬戸市・半田市・春日井・豊川市・津島市・碧南市・刈谷市・豊田市・安城市・西尾市・蒲郡市・犬山市・常滑市・江南市・小牧市・稲沢市・新城市・東海市・大府市・知多市・知立市・尾張旭市・高浜市・岩倉市・豊明市・日進市・田原市・愛西市・清須市・北名古屋市・弥富市・みよし市・あま市・長久手市

【三重県】・津市・四日市市・伊勢市・松阪市・桑名市・鈴鹿市・名張市・尾鷲市・亀山市・鳥羽市・熊野市・いなべ市・志摩市・伊賀市

滋賀県】・大津市・彦根市・長浜市・近江八幡市・草津市・守山市・栗東市・甲賀市・野洲市・湖南市・高島市・東近江市・米原市

京都府】・京都市・福知山市・舞鶴市・綾部市・宇治市・宮津市・亀岡市・城陽市・向日市・長岡京市・八幡市・京田辺市・京丹後市・南丹市・木津川市

大阪府】・大阪市・堺市・岸和田市・豊中市・池田市・吹田市・泉大津市・高槻市・貝塚市・守口市・枚方市・茨木市・八尾市・泉佐野市・富田林市・寝屋川市・河内長野市・松原市・大東市・和泉市・箕面市・柏原市・羽曳野市・門真市・摂津市・高石市・藤井寺市・東大阪市・泉南市・四條畷市・交野市・大阪狭山市・阪南市

兵庫県】・神戸市・姫路市・尼崎市・明石市・西宮市・洲本市・芦屋市・伊丹市・相生市・豊岡市・加古川市・赤穂市・西脇市・宝塚市・三木市・高砂市・川西市・小野市・三田市・加西市・丹波篠山市・養父市・丹波市・南あわじ市・朝来市・淡路市・宍粟市・加東市・たつの市

奈良県】・奈良市・大和高田市・大和郡山市・天理市・橿原市・桜井市・五條市・御所市・生駒市・香芝市・葛城市・宇陀市

【和歌山県】・和歌山市・海南市・橋本市・有田市・御坊市・田辺市・新宮市・紀の川市・岩出市

鳥取県】・鳥取市・米子市・倉吉市・境港市

島根県】・松江市・浜田市・出雲市・益田市・大田市・安来市・江津市・雲南市

岡山県】・岡山市・倉敷市・津山市・玉野市・笠岡市・井原市・総社市・高梁市・新見市・備前市・瀬戸内市・赤磐市・真庭市・美作市・浅口市

広島県】・広島市・呉市・竹原市・三原市・尾道市・福山市・府中市・三次市・庄原市・大竹市・東広島市・安芸高田市・江田島市

山口県】・下関市・宇部市・山口市・萩市・防府市・下松市・岩国市・光市・長門市・柳井市・美祢市・周南市・山陽小野田市

徳島県】・徳島市・鳴門市・小松島市・阿南市・吉野川市・阿波市・美馬市・三好市

香川県】・高松市・丸亀市・坂出市・善通寺市・観音寺市・さぬき市・東かがわ市・三豊市

愛媛県】・松山市・今治市・宇和島市・八幡浜市・新居浜市・西条市・大洲市・伊予市・四国中央市・西予市・東温市

高知県】・高知市・室戸市・安芸市・南国市・土佐市・須崎市・宿毛市・土佐清水市・四万十市・香南市・香美市

福岡県】・福岡市・北九州市・大牟田市・久留米市・直方市・飯塚市・田川市・柳川市・八女市・筑後市・大川市・行橋市・豊前市・中間市・小郡市・筑紫野市・春日市・大野城市・宗像市・太宰府市・古賀市・福津市・うきは市・宮若市・嘉麻市・朝倉市・みやま市・糸島市・那珂川市

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■ 可能な限り、全国対応させて頂きます。お申し付け下さい。

※なお、下記の地域は、初回の出張相談の日当を無料とさせて頂きます。

【東京都】・世田谷区・練馬区・大田区・江戸川区・足立区・杉並区・板橋区・江東区・葛飾区・品川区・北区・新宿区・中野区・豊島区・目黒区・墨田区・港区・渋谷区・荒川区・文京区・台東区・中央区・千代田区

【千葉市】・千葉市中央区・千葉市花見川区・千葉市稲毛区・千葉市若葉区・千葉市緑区・千葉市美浜区

【さいたま市】・さいたま市中央区・さいたま市浦和区・さいたま市桜区・さいたま市緑区・さいたま市南区・さいたま市大宮区・さいたま市見沼区・さいたま市北区・さいたま市西区・さいたま市岩槻区

【横浜市】・横浜市鶴見区・横浜市神奈川区・横浜市中区・横浜市保土ヶ谷区・横浜市磯子区・横浜市港北区・横浜市戸塚区・横浜市南区・横浜市西区・横浜市金沢区・横浜市港南区・横浜市旭区・横浜市緑区・横浜市瀬谷区・横浜市栄区・横浜市泉区・横浜市青葉区・横浜市都筑区

【川崎市】・川崎市川崎区・川崎市幸区・川崎市中原区・川崎市高津区・川崎市多摩区・川崎市宮前区・川崎市麻生区

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【京都市】・京都市北区・京都市上京区・京都市左京区・京都市中京区・京都市東山区・京都市下京区・京都市南区・京都市右京区・京都市西京区・京都市伏見区・京都市山科区

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【堺 市】・堺市堺区・堺市中区・堺市東区・堺市西区・堺市南区・堺市北区・堺市美原区

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社会福祉法人の合併・事業譲渡マニュアル 吸収合併 

社会福祉法人の合併・事業譲渡マニュアル 新設合併

 

➡補助金申請トータルサポート

 

中小企業M&Aガイドライン(中小企業向け手引き)のご案内

※中小M&Aガイドライン(-第三者への円滑な事業引継ぎに向けて-令和2年3月 中小企業庁 より抜粋)をご案内させて頂きます。ご参考になれば幸いです。

第1章 後継者不在の中小企業向けの手引き

I 後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義等

1 後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義

中小企業は、事業承継を検討するに当たり、一般的には、後継者候補を経営者の親族内から選定し、仮に親族内に不在であれば自社の役員や従業員の中から選定しようとすることが多い。しかし、親族内にも社内にも後継者候補がいない、いわゆる後継者不在の中小企業においては、社外の第三者に後継者候補を求めるほか事業承継の選択肢がなく、それが実現できなければ廃業を余儀なくされることになる。

中小 M&A は、このような後継者不在の中小企業が、社外の第三者による事業承継のために M&A の手法を用いるものであり、大企業を対象とする M&A とは異なる点がある。

例えば、中小 M&A において、特に譲り渡し側は、M&A 未経験であることがほとんどであり、M&A に関する経験・知見が乏しい傾向にある。また、中小 M&A は、対象となる事業が中小企業の経営者個人の信用・人柄その他の属人的な要素に大きく影響される傾向にある。加えて、中小 M&A においては、M&A そのものに多額のコスト(特に M&A 専門業者や士業等専門家等の手数料や報酬)を掛けられない傾向にある。

このような実情を踏まえ、本章においては、主に後継者不在の中小企業である譲り渡し側の視点から、M&A に関する一般的な説明に留まらず、中小 M&A 独自の特色についても加味した説明を行うこととする。

これによって、中小 M&A を検討する経営者の背中を押し、中小 M&A が適切な形で促進されることを目指すものとする。

2 中小 M&A の事例

中小 M&A は事案ごとに特徴があり、事業規模・業績・業態等によっても、一様に類型化することはできない。しかしながら、中小 M&A について具体的なイメージを持ちやすくするべく、以下では、各種の特徴ごとに、具体的な事例を紹介する。

なお、ここに記載する事例は、それぞれ、あくまで一例であり、網羅的なものではなく、個別の具体的な中小 M&A が、ここに記載する事例のとおりの結論になることを確約するものではないため、留意されたい。

(1) 小規模企業・個人事業主において中小 M&A が成立した事例

① 小規模企業において成立した事例

② 個人事業主において成立した事例

③ 家業的経営(家族経営)である中小企業において成立した事例

④ M&A プラットフォームを利用してマッチングが実現し、成立した事例

⑤ フランチャイズ(FC)店において成立した事例

(2) 経営状況が良好でない中小企業において中小 M&A が成立した事例

① 赤字であるにもかかわらず成立した事例

② 債務超過であるにもかかわらず成立した事例

(3) 親族内承継の頓挫から中小 M&A に移行し成立した事例

〇後継者候補が承継を拒んだため中小 M&A に移行し成立した事例

(4) 意思決定のタイミングが中小 M&A の成立内容に影響を与えた事例

〇適切なタイミングで中小 M&A を決断していれば、より好条件で譲り渡せた事例

(5) 譲り渡し側の条件の明確化が中小 M&A の成立に寄与した事例

① 譲り渡し側経営者の希望通り、従業員の雇用が引き継がれることを条件として成

立した事例

② 譲り渡し側経営者が中小 M&A の成立後にも一定期間経営に関与することを条

件として成立した事例

(6) 従業員の反対にもかかわらず成立した事例

〇中小 M&A に反対していた従業員の理解を得た上で成立した事例

(7) 廃業を予定していたものの中小 M&A が成立した事例

① 事業の一部を中小 M&A により譲渡し、廃業費用を捻出した事例

② 廃業を考えていたものの、支援機関から中小 M&A を提案されたことを機に中小M&A に挑み、成立した事例

(8) 何らかの理由により中小 M&A が成立しなかった事例

① 中小 M&A 着手が遅れたため、資金繰りが尽きてしまい、中小 M&A が不成立に終わり廃業した事例

② 社外へ情報が漏れたことに伴い、中小 M&A が不成立になった事例

③ オーナー一族間の不和、コミュニケーション不足により、中小 M&A が不成立になった事例

④ 譲り渡し側が不誠実であったため中小 M&A が成立しなかった事例

3 譲り渡し側にとっての基本姿勢

(1) 中小 M&A に関する基本的な認識の変化

大企業と異なり、多くの中小企業にとって、M&A は馴染みの薄いものであると言われることがある。その背景として、譲り渡し側・譲り受け側ともに、中小 M&A を躊躇する原因があるとされる。

例えば、譲り渡し側にとっては、M&A は「後ろめたい」、「従業員に申し訳ない」、また、譲り受け側にとっては、M&A は敵対的買収を行う「ハゲタカ」のようなイメージである等といった感覚があると言われることがあった。特に地方においては、そのような感覚が更に強まる傾向にあると言われることがあった。

しかし、そのような感覚は、必ずしも時代の趨勢に合致したものではないと思われる。中小 M&A は、譲り渡し側経営者がそれまでの努力により築き上げてきた事業の価値を、社外の第三者である譲り受け側が評価して認めることで初めて実現することであり、譲り渡し側経営者にとって後ろめたいことではなく、むしろ誇らしいことであると言える。また、譲り受け側にとって、他社が時間を掛けて築き上げてきた事業を譲り受けるということは、経営判断に基づき事業を拡大するための1つの合理的な手法であるとともに、通常は、譲り渡し側との信頼関係に基づいて実現するものであり、友好的な取引であると言える。こういった、中小 M&A に対する従来否定的なイメージが肯定的に受け入れられる感覚が、中小企業の間にも徐々に浸透してきていると言われている。

また、近年、事業引継ぎ支援センター等の公的機関の整備を含め、中小 M&A に関する支援機関は充実してきていることから、中小企業にとっても、以前より支援機関へのアクセスが容易になり、支援を受けやすくなってきていると言える。

このように、中小 M&A に関する基本的な認識や中小 M&A を取り巻く環境が近年大きく変化する中で、譲り渡し側経営者は、積極的に中小 M&A を検討することが望まれる。

(2) 従業員・取引先等への影響の緩和

事業を社外の第三者に譲り渡して存続させることにより、従業員の職場を残して雇用の受皿を守ることができる。また、取引先(仕入先・得意先等)との取引関係を継続させることができれば、地域におけるサプライチェーンの維持にも資することになる。

特に、地域の中核企業と言われる規模の企業であれば、何らの対策も行わずに廃業した場合、多くの従業員の雇用が失われ、地域のサプライチェーンにも大きな穴が生じるおそれがある。

このように、譲り渡し側経営者は、自身の従業員・取引先等への影響を緩和するという観点でも、中小 M&A には意義がある、という点を認識することが望まれる。

(3) 譲り受け側から見た、譲り渡し側の事業の魅力

譲り渡し側経営者においては、「自社の事業を譲り受けてくれるような第三者はいないだろう」と考え、そもそも、中小 M&A を検討しようとすらしないケースが多くあると言われる。しかし、譲り渡し側経営者が気付いていなかったような事業の価値を譲り受け側が高く評価し、中小 M&A の成約に至るケースもある。

例えば、譲り渡し側の収支・財務の状況、事業規模や保有不動産等は、事業の分かりやすい特徴であると言えるが、譲り受け側が評価するのはこういった要素に限られない。例えば、高い技術力や優良な取引先との人脈・商流、優秀な従業員、地域内・業界内における知名度・ブランド・信用、業歴、業界内シェア、店舗網、知的財産権(特許権等)やノウハウ、事業分野の将来性、許認可等といった無数の要素が評価の対象となり得るのである。

したがって、仮に、譲り渡し側の事業が小規模であったり、赤字や債務超過であったりしても、譲り受け側が事業の価値を認めて「ぜひ譲り受けたい」と申し出ることは大いにあり得るということを認識すべきである。このような、譲り渡し側経営者にとって自明であるが故に気付きにくい魅力を発掘するという意味でも、後述のとおりまずは早期に支援機関へ相談してみることが望まれる(なお、貸借対照表の簿価上は債務超過であっても、資産・負債を時価評価し直した結果、実態としては資産超過であることが判明するケースもある。)。

ただし、中小M&Aの譲り受け側は、譲り渡し側の数倍程度の事業規模(売上・従業員数等)の、必ずしも大規模ではない企業であるケースが相当割合あり、譲り受け側にとっても中小 M&A は一大決心であることが多い。そのため、譲り渡し側としては、譲り受け側が相応の覚悟を持って中小 M&A に臨んでいるということを意識して、真摯に対応することが必要である。

4 譲り渡し側にとっての留意点

(1) 早期判断の重要性

中小 M&A をより早期に検討し実現することにより、従業員の雇用を確保し地域のサプライチェーンを維持することが可能となり、譲り渡し側経営者自身にとっても手元に残る代金(譲渡対価)の金額が多くなるケースもある。また、事業全体としては継続できなくとも、例えば利益計上できている優良店舗の一部事業のみを早期に譲り渡すこと等で事業の一部を継続させることができるケースもある。

個別のケースにより異なるが、通常、希望する譲り受け側とのマッチングには、数か月~1年程度の時間を要することが見込まれることから、早期に判断して動き出すことが重要である。

特に、中小 M&A についての判断は、日頃の繁忙等に追われることで後ろ倒しになりがちであるが、決断が遅れれば遅れるほど中小 M&A の選択肢は狭まる傾向にある。特に業績が良くない場合には、資金繰りが尽きてしまい身動きを取れなくなるケースも見られるので早期の判断が求められる。実際、判断が遅れた結果、廃業費用すら捻出できない状況に陥るケースもあるので、家族、従業員や取引先等に迷惑を掛けないためにも、経営者は、早期に判断し、対応を見極めることが重要である。

(2) 秘密保持の徹底

中小 M&A に関する手続の全般にわたり、秘密を厳守し情報の漏えいを防ぐことは極めて重要である。外部はもちろん、親戚や友人、社内の役員・従業員に対しても、知らせる時期や内容には十分注意する必要がある。中小 M&A の最終契約締結前に、極秘に親族や幹部役員等のごく一部の関係者にのみ知らせることもあるが、それ以外の関係者に対しては、原則として可能な限りクロージング後(早くとも最終契約締結後)に知らせるべきである。取引先や従業員に意図せず情報が伝わってしまったり、経営者が不用意な一言を発したりしたせいでトラブルとなり、中小 M&A が頓挫してしまうケースも見受けられる。この点には、初期から注意しておく必要がある。譲り渡し側が自ら譲り受け側を探す場合に、取引先や同一地域内の同業者等に打診するときにも、同様に注意が必要である。中小 M&A に関する情報を関係者に知らせる時期については、まず譲り渡し側・譲り受け側双方において協議されたい。

また、複数の支援機関に相談して複数の支援機関がマッチング支援を試みる場合には、譲り渡し側に関する情報が必要以上に外部に流出するおそれがあり、むしろ譲り渡し側にとってリスクとなり得るため注意が必要である。例えば、複数の支援機関が、同じ譲り渡し側の情報を同じ譲り受け側に紹介することにより、情報が出回っているように感じられ、譲り受け側の心証が害されることがあり得る。そのため、譲り渡し側は、基本的には単独の支援機関にマッチング支援を依頼することが多いが、仮に別の支援機関にもマッチング支援を依頼したり、セカンド・オピニオンを求めたりすることを希望する場合には、事前にその旨を元の支援機関に伝えておく必要がある(ただし、譲り渡し側・譲り受け側に関する情報の管理等の観点から、このような希望を容認しない支援機関もあるため、このような場合には元の支援機関とよく相談されたい。)。

(3) 中小 M&A 手続進行上の留意点

中小 M&A の手続は、後述の中小 M&A フロー図に記載の各工程を踏まえて進むことが多いが、対象となる譲り渡し側の事業規模が特に小規模な場合には、より簡易な形で実施することが現実的なケースも多く見られる。本ガイドラインはあくまで中小M&A の基本的な手続を示すものであり、全ての中小 M&A において厳格に本ガイドラインに記載する全ての手続を実施することを要請するものではない。

むしろ、譲り渡し側は、譲り受け側及び支援機関との信頼関係を築いた上で、譲り受け側の意向に誠実に対応することが中小 M&A の手続の円滑な進行のために必要であることを理解されたい。

II 中小 M&A の進め方

1 中小 M&A に向けた事前準備

譲り渡し側経営者が、中小 M&A を実行すべきかどうかについての意思決定を単独で行うことは容易なことではない。したがって、まずは早期に身近な支援機関へ相談した上で、支援機関による助言の下で中小 M&A の事前準備を行うことが望ましい。

(1) 支援機関への相談

譲り渡し側経営者が中小 M&A の意思決定を行うに当たっては、様々なポイントを検討することになる。しかしながら、譲り渡し側経営者が単独で検討していても、日々の業務への対処等が優先してしまい、なかなか検討が進まないことが多い。また、専門的な知見を有しない中で検討を続けることで誤った判断を行うおそれもある。

そのため、譲り渡し側経営者がまず行うべきことは、身近な支援機関への相談である。具体的には、商工団体、士業等専門家(公認会計士・税理士・中小企業診断士・弁護士等)、金融機関、M&A専門業者のほか、事業引継ぎ支援センターといった公的機関があり、まずはこういった支援機関に相談することが望まれる。

実際には、まず顧問の士業等専門家(特に顧問税理士)に相談することも多いと思われるが、自身が相談しやすいと考えられれば、所属する商工団体、取引金融機関等に相談してもよい。公的機関である事業引継ぎ支援センターや、政府系金融機関である日本政策金融公庫でも相談を受けている。

その際には、まず、直近3年分の税務申告書・決算書(損益計算書・貸借対照表を含む。)・勘定科目内訳明細書の写しを用意すれば十分である。可能であれば会社案内や自社ホームページの写し等といった、譲り渡し側の事業の概要が分かる資料も用意できるとよい。これら以外の詳細な資料は、支援機関からの指示を受けてから準備すれば足りる。

中小 M&A の意思決定がまだ済んでいないから相談を控えるのではなく、むしろ、

意思決定がまだ済んでいないからこそ相談することが必要である。

なお、支援機関への相談の際には、自分にとってマイナスな情報や後ろめたい情報ほど先に伝えておく真摯な姿勢が望まれる。これにより支援機関も課題への対応策や解決方法等を早期に検討しやすくなり、円滑な中小 M&A に資することになる。

(2) 後継者不在であることの確認

譲り渡し側経営者は、親族内・社内に後継者候補がいないこと(つまり後継者が不在であること)を確認しておく必要がある。具体的には、親族内承継を実施しないことにつき身近な親族(特に子や兄弟)から了解を得ておくこと、社内に後継者候補がいないこと(従業員承継が不可であること)を確認しておくことが必要である。この際、前述のとおり、秘密保持の観点には注意が必要である。

(3) 引退後のビジョンや希望条件の検討

譲り渡し側経営者は、引退後のビジョンを含む希望条件を事前によく考えておく必要がある。例えば、当面は譲り渡し側・譲り受け側の事業に関わり続けたいのか、別の事業に進出したいのか、それとも社会貢献活動や余暇を楽しむといった全く別のことを行いたいのか等、引退後にどのような過ごし方を選択するかといった点は、本人のその後の人生にとって重要な要素である。

また、希望条件についても、代金(譲渡対価)の金額や従業員の雇用継続は、譲り渡し側経営者として懸念することの多い重要な要素の1つではあるが、希望条件として検討すべき要素はこれに限定されるものではない。

譲り渡し側経営者は、中小 M&A における希望条件を明確化し、可能な限りで優先順位を付しておくことが望ましい。中小 M&A は相手があることであり、譲り渡し側の希望が確実に受け入れられるわけではないが、そのような場合に譲歩できない点を固めておくことは、譲り受け側とどのような点を交渉すべきかを明確化することになり、円滑な交渉の実現にも資するものである。

(4) 中小 M&A に先立つ「見える化」「磨き上げ」(株式・事業用資産等の整理・集約)

一般的に、事業承継においては、経営状況・経営課題等の現状把握(見える化)と、事業承継に向けた経営改善等(磨き上げ)が必要とされるが、中小 M&A の実行のためには、その中でも最低限、株式・事業用資産等の整理・集約が必要である。以下では、この観点より説明する。

ただし、前述のとおり、重要なことはまず支援機関に相談することである。譲り渡し側経営者だけでは株式・事業用資産等の整理・集約が困難な場合もあるため、まずは顧問税理士等の身近な支援機関に相談することが望ましい。

なお、株式や事業用資産等の整理・集約については、法的な論点等についての検討や交渉を要することもあるので、この場合には法務の専門家である弁護士の助言を得ることが望まれる。

① 株式の整理・集約

普段は意識する機会が少ないものの、会社にとって株式は非常に重要なものである。仮に、株式が分散していたり、一部株主の所在が不明であったりする場合、中小M&A を実行する際に重大な障害となるおそれもある。

基本的に、総議決権の過半数の株式があれば株主総会決議は確実に可決することができるが、特に重要な事項(例えば、全事業の譲渡)については特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要な決議)が必要となることがあるため、これを確実に可決できるように総議決権の3分の2以上の株式を保有しておくことが望ましい。仮に譲り渡し側経営者が譲り受け側に対して会社の全株式を譲渡する場合(株式譲渡)には、基本的に、譲り渡し側経営者が全株式を保有しておく必要がある。

そのためには、他の株主からの株式の買取り(及びそのための買取資金の調達)が必要なケースもある。

また、株主名簿が正しく整備されているか、実際に出資していない親族・知人等の名義になっている株式(いわゆる名義株)がないか、(株券発行会社の場合)株券が適切に管理されているかといった点も確認が必要である。

② 事業用資産等の整理・集約

重要な事業用資産等(不動産や機械設備等)について、第三者の名義である、担保が設定されている、遺産分割の対象として争われている、第三者との間で係争中の物件である等の場合、譲り渡し後の事業継続に支障が生じ得るため、これらについても確認が必要である。

また、中小 M&A においては、家族経営の企業が多いことから、譲り渡し側の会社の財産と経営者個人の財産が明確に分離されていないケースも多い。そのようなケースでは、譲渡する事業用資産等を譲り受け側にスムーズに譲り渡せないこともあるため、この点も明確に区別して整理・集約しておく必要がある。

2 中小 M&A における一般的な手続の流れ(フロー)

(1) 意思決定

前述のとおり、中小 M&A に関する意思決定前の段階から必要に応じて支援機関に相談しつつ、整理すべき事項を整理した上で、最終的には自ら明確に意思決定することが必要である。その上で、中小 M&A について具体的に手続を進めることになる。

中小 M&A においては、大きく分けて以下の2点が課題となる。

A マッチング以前の段階 :譲り受け側を見つける方法

B マッチング後の段階 :譲り受け側が決まった後の具体的な手続の進め方

この点を踏まえ、以下では、次の2つのパターンに分類して説明する。

(2)-1 仲介者・FA を選定する場合

(2)-2 仲介者・FA を選定せず、工程の多くの部分を自ら行う場合

また、実際には、これら2つのパターンが重なり合うこともある。例えば、次のようなケースも見られる(必要に応じて、士業等専門家を活用するケースもある。)。

〇A マッチング以前の段階において、仲介者・FA を利用せずに自ら譲り受け側を探し((2)-2)、それでも譲り受け側が見つからない場合には仲介者・FA を選定する((2)-1)、というケース

〇A マッチング以前の段階において、仲介者・FA を選定せずに M&A プラットフォー

ムを活用して譲り受け側を自ら見つける((2)-2)ものの、B マッチング後の段階においては仲介者・FA を活用して契約交渉等を行う((2)-1)、というケース

(当事者同士の間でほぼ基本合意が締結できている段階で、クロージングまでの手続のみを仲介者・FA に依頼するというケースは増えつつある。)

(2)-1 仲介者・FA を選定する場合

① 仲介契約・FA 契約の締結

まずは仲介者・FA を選定し、仲介契約・FA 契約を締結する(名称は「仲介契約」「FA 契約」のほか、「業務委託契約」「アドバイザリー契約」等とされることもある。)。

仲介者・FA の選定に当たっては、業務形態や業務範囲・内容、契約期間、報酬(手数料)体系、M&A 取引の実績(M&A に取り組んだ件数・年数等)、利用者の声等をホームページや担当者から確認した上で、複数の仲介者・FA の中から比較検討して決定することが重要である。加えて、いわゆる「相性」も重要なことがある。

また、仲介者・FA のほか、特に顧問税理士等、もともと関与のある士業等専門家の支援の下で手続を進めるケースもある(その場合には、顧問料以外に別途、報酬を支払うケースもあるため、予め確認されたい。)。

仲介者・FA によっては、業務範囲を特定の工程のみに絞っている場合もあるが、全工程を行う場合でも、特定の業種・地域に特化した仲介者・FA も存在すること等から、どのような支援が自身にとって必要かよく検討して判断する必要がある。

仲介契約・FA 契約を締結する際は、中小 M&A に関する希望条件を明確に伝えつつ締結前に納得がいくまで十分な説明を受けることが必要であり、特に業務の具体的な内容や報酬の妥当性等については、必要に応じて事業引継ぎ支援センターを含め、他の支援機関に意見を求めること(セカンド・オピニオン)も有効である(なお、仲介契約・FA 契約締結後においては、譲り渡し側・譲り受け側の情報の管理等の観点から、元の支援機関がセカンド・オピニオンを許容しないことがあるため、このような場合には元の支援機関とよく相談されたい。)。

<仲介契約・FA 契約の内容の主なポイント>

〇業務形態

小規模な中小 M&A については、FA よりも仲介者の方が多く用いられる傾向にあるが、業務形態により留意すべき事項が異なるため、いずれの業務形態であるか確認しておく必要がある。

〇業務範囲・内容

例えば、次のような形が考えられる。

・譲り渡し側・譲り受け側のマッチングまで

・バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)やデュー・ディリジェンス(DD)ま

・株式譲渡や事業譲渡といった具体的なスキーム(手法)の策定まで

・クロージング(決済)まで

・PMI(M&A 実行後における事業の統合に伴う作業)まで

ただし、これらはあくまで例示に過ぎず、業務範囲・内容は、各仲介者・FA によって異なる。手数料と比較して十分な内容であるとして納得できるかどうか、必要であれば事業引継ぎ支援センター等へのセカンド・オピニオンも活用しながら、十分に検討することが望ましい。

〇手数料の体系

例えば、次のような体系が考えられる。

・着手金(主に仲介契約・FA 契約締結時に支払う)

・月額報酬(主に一定額を毎月支払う)

・中間金(例えば基本合意締結時等、案件完了前の一定の時点に支払う)

・成功報酬(主にクロージング時等の案件完了時に支払う)

ただし、これらはあくまで例示に過ぎず、手数料の金額や体系は、各仲介者・FAによって異なる。例えば、これらを全て請求する仲介者・FA もいる一方、着手金・月額報酬・中間金を請求せずに成功報酬のみ請求する(いわゆる完全成功報酬型の)仲介者・FA もいる。

また、成功報酬を算定する際には、一定の価額(例えば、譲渡額、移動総資産額、純資産額といったものが考えられ、各仲介者・FA によって異なる。)に、一定の方式に則った計算を施すものが多い。その場合でも、最低手数料が定められているケースも多い(その水準は、各仲介者・FA において異なるため、比較検討することが望ましい。)。

なお、仲介者の場合は、譲り渡し側・譲り受け側の双方と契約を締結の上、譲り渡し側・譲り受け側の双方に対し手数料を請求することが通常である。

〇秘密保持

情報の漏えいがあった場合には M&A が頓挫してしまうことがあり、秘密保持の観点は重要であるため、仲介者・FA との間の業務委託契約等においても、秘密保持条項が含められていることが通常である。

特定の者(例えば、公認会計士、税理士、弁護士等の士業等専門家)への情報共有が許容されている場合(秘密保持義務が一部解除されている場合)もあるため、そのような規定があるかも確認しておくことが望ましい。

〇専任条項

通常、マッチング支援等において並行して他の仲介者・FA への依頼を行うことを禁止する条項(いわゆる「専任条項」)が設けられている。他の仲介者・FA にセカンド・オピニオンを求めることや他の仲介者・FA を利用してマッチングを試みること等、禁止される行為が具体的にどのような行為であるのかという点を予め確認しておくことが望ましい。また、契約期間や中途解約に関する事項等についても併せて確認しておくことが望ましい。

〇 テール条項

マッチング支援等において、M&A が成立しないまま、仲介契約・FA 契約が終了した後、一定期間(いわゆる「テール期間」)内に、譲り渡し側が M&A を行った場合に、その契約は終了しているにもかかわらず、その仲介者・FA が手数料を請求できることとする条項(いわゆる「テール条項」)が定められる場合がある。テール期間の長さ(最長でも2年~3年以内が目安である。)や、テール条項の対象となるM&A(基本的には、その仲介者・FA が関与・接触し、譲り渡し側に対して紹介した譲り受け側との M&A のみに限定される。)について、予め確認しておくことが望ましい。

② 仲介者・FA の比較

仲介者・FA の業務内容等は、概ね、以下のとおりである。なお、マッチング支援等において、仲介者は譲り渡し側・譲り受け側の双方から手数料の支払を受けることが通常である。したがって、譲り渡し側の事業規模が小さく、支援機関に対して単独で手数料を支払うだけの余力が少ない小規模な中小 M&A については、FA よりも仲介者が多く用いられる傾向にある。

〇仲介者

・業務内容:譲り渡し側・譲り受け側の双方と契約を締結する。

・特徴:譲り渡し側・譲り受け側の双方の事業内容が分かるため、両当事者の意思疎通が容易となり、中小M&A の実行に向けて円滑な手続が期待できる。

・活用するのに適するケース

譲り渡し側が譲渡額の最大化だけを重視するのではなく、譲り受け側とのコミュニケーションを重視して円滑に手続を進めることを意図する場合

譲り渡し側の事業規模が小さく、支援機関に対して単独で手数料を支払うだけの余力が少ないが、できるだけ支援機関のフルサービスを受けたい場合

〇FA

業務内容:譲り渡し側・譲り受け側の一方と契約を締結する。契約者の意向を踏まえ、契約者に対し踏み込んだ助言・指導等まで行うことが多い。

特徴:一方当事者のみと契約を締結しており、契約者の利益に忠実な助言・指導等を期待しやすい。

・活用するのに適するケース

譲り渡し側が譲渡額の最大化を特に重視し、厳格な入札方式(最も有利な条件を示した入札者を譲り受け側とする方式)による譲り渡しを希望する場合(例えば、債務整理手続を要する債務超過企業の M&A の場合等)

このような手続を実施するための費用負担能力がある場合(特に、規模が比較的大きい M&A の場合)

(2)-2 仲介者・FA を選定せず、工程の多くの部分を自ら行う場合

取引先や地域内の同業他社等を譲り受け側として自ら見つけるケースは、近年、増加の傾向にあるとされる。

また、インターネット上のシステムを活用し、オンラインで、譲り渡し側と譲り受け側のマッチングの場を提供するウェブサイトである M&A プラットフォームに登録することが、中小 M&A 実現の可能性を高めるという点で有効なケースもある。各 M&A プラットフォームにおいて、登録案件数、登録が必要な情報の種類、登録された情報が開示される範囲や、マッチング後の支援の有無・内容等には差異があるので、数社を比較検討することが望ましい。

これらのケースでも、前述のとおり、秘密保持に注意する等、慎重な対応を要するポイントが多いことから当事者同士で手続を進めることに不安を感じた場合には、士業等専門家等や事業引継ぎ支援センター等の公的機関に相談することが望ましい。

※ 以下の記載は、(2)-1 を前提とするが、(2)-2 の場合であっても、仲介者・FA や士業等専門家を一部の工程について利用する場合には、その工程において、以下に準じた対応を行うことが考えられる。

(3) バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)

仲介者・FAや士業等専門家が、譲り渡し側経営者との面談や提出資料、現地調査等に基づいて譲り渡し側の企業・事業の評価を行う。

中小 M&A では、「簿価純資産法」、「時価純資産法」又は「類似会社比較法(マルチプル法)」といったバリュエーションの手法により算定した株式価値・事業価値を基に譲渡額を交渉するケースが多いが、事例ごとに適切な方法は異なるため、相談先の支援機関に相談の上、各事例において選択することが望ましい。

また、算出された金額が必ずそのまま中小 M&A の譲渡額となるわけではなく、交渉等の結果、「簿価純資産法」又は「時価純資産法」で算出された金額に数年分の任意の利益(税引後利益又は経常利益等)を加算する場合等もあり、当事者同士が最終的に合意した金額が譲渡額となるという点は理解されたい。

(4) 譲り受け側の選定(マッチング)

中小 M&A を進める上で、マッチングは重要な工程である。

マッチングを具体的に進めるに当たり、仲介者・FA は、通常、まず譲り渡し側を特定できない内容のノンネーム・シート(ティ―ザー)を、数十社程度にまで絞り込んだリスト(ロングリスト)内の企業に送付し打診する。その上で、関心を示した候補先から譲り受け側となり得る数社程度をリスト(ショートリスト)化し、これらとの間で秘密保持契約を締結した上で、その後の手続を進めることが通常である。仲介者・FA は、譲り渡し側についての企業概要書を譲り受け側の候補先に交付し、その後のマッチング支援等を行う。

譲り渡し側は、マッチングを希望する候補先、あるいは打診を避けたい先があれば、事前に仲介者・FA に伝えることが望ましい。また、打診を行う優先順位について、仲介者・FA との間で十分な話し合いを行われたい。

なお、仮に、リスト内の候補先とのマッチングが連続して不調に終わったとしても、その後に譲り渡し側の事業を評価する候補先が現れて、中小 M&A が成立する可能性は十分にある。それでもなお、譲り渡し側が譲り受け側を見つけることができず、やむなく廃業せざるを得ない場合には、事業において利用していた事業用資産等の経営資源の引継ぎの検討を開始することが望まれる。譲り受け側の探索をいつ打ち切るかは、譲り渡し側と仲介者・FA とで協議の上で決定されたい。

(5) 交渉

交渉の進め方は、譲り渡し側・譲り受け側の関係や事業の類似性、譲り渡し側・譲り受け側と仲介者・FA との関係度合等により、譲り渡し側・譲り受け側の経営者同士の面談(トップ面談)の時期や方法も含め、様々な形態がある。

特に、トップ面談は、譲り受け側の経営理念・企業文化や経営者の人間性等を直接確認するための場であり、その後の円滑な交渉のためにも重要な機会である。一方、自分の態度や表情も相手方に直接伝わりやすく、不用意な言動も信頼を損なうおそれがあるため誠意ある態度で真摯に面談に臨む必要がある。

また、トップ面談を含む交渉の際には、中小M&Aにおける希望条件を明確化し、可能な限りで優先順位を付し、特に、絶対に譲歩できないのがどの点なのか固めておくことが望ましい。

いずれにせよ、仲介者・FA と緊密なコミュニケーションを取り、仲介者・FA のアドバイスを得て交渉を進めることが重要である。

なお、譲り渡し側経営者は、特に中小 M&A 実行後の従業員の処遇を懸念することが多く、それが中小 M&A の促進にとって阻害要因になっているおそれもある。実際、中小 M&A 実行後に従業員の一斉解雇(リストラ)が行われるケースは多くないと言われるが、譲り渡し側経営者は、譲り受け側経営者が譲り渡し側幹部役員等に対して高圧的な態度を取ることなく、譲り受け側役員・従業員と同等に接する姿勢を心掛けているか、確認しておくことが考えられる。

(6) 基本合意の締結

当事者間の交渉により概ね条件合意に達した場合には、譲り渡し側と譲り受け側との間で最終契約におけるスキーム(株式譲渡や事業譲渡といった手法)、デュー・ディリジェンス(DD)前の時点における譲渡対価の予定額や経営者その他の役員・従業員の処遇、最終契約締結までのスケジュールと双方の実施事項や遵守事項、条件の最終調整方法等、主要な合意事項を盛り込んだ基本合意を締結する。

基本合意の締結に当たっては、仲介者・FA や士業等専門家の助言を受けて調印することが大切である。

ただし、資金繰り等の関係で、クロージング(決済)を急ぐ必要がある場合には、基本合意を締結せず、最低限の秘密保持契約の締結のみに留めて、最終契約締結に直接進むケースもあるため、状況に応じて、仲介者・FA や士業等専門家に相談されたい。

(7) デュー・ディリジェンス(DD)

デュー・ディリジェンス(DD)は、主に譲り受け側が、譲り渡し側の財務・法務・ビジネス(事業)・税務等の実態について、FA や士業等専門家を活用して調査する工程であり、譲渡対価の金額の精査や、判明した実態を踏まえて更に事業の改善を行うこと等の目的で行われる。譲り受け側が DD を行う場合、どの調査を実施するかについては、譲り受け側の意向に従うこととなる。

通常、譲り受け側が FA や士業等専門家に調査の実施を依頼する。譲り渡し側が、中小 M&A に関して社内(役員・従業員等)への情報開示を行っていない場合は、その非開示の役員・従業員等に悟られずに実施する等の工夫が必要であるため、譲り渡し側・譲り受け側ともに、FA や士業等専門家の指示を守ることが重要である。

なお、DD は、想定し得るリスク全般について調査することもあれば、対象事項等を限定して簡易な形で行うこともあり、調査の密度は様々である。中小 M&A の実務においては、譲り受け側が専門家費用を投じて本格的な DD を行うことなく、譲り渡し側の数年分の税務申告書の確認及び譲り渡し側経営者へのヒアリング等の調査だけで終えることもある。

(8) 最終契約の締結

デュー・ディリジェンス(DD)で発見された点や基本合意で留保していた事項について再交渉を行い、最終的な契約を締結する工程である。

仲介者・FA や士業等専門家のアドバイスを受けながら、契約内容に必要な事項が網羅されているかを最終的に確認した後、調印を行う。仲介者・FA や士業等専門家によるアドバイスに納得できず、不安がある場合には、調印前に契約内容に関する意見を他の支援機関に求めること(セカンド・オピニオン)も有効である。また、契約に盛り込む内容や条件を早い段階から仲介者・FA に伝えておいた方が、円滑な契約締結につながることが多い。

中小 M&A の実務においては、株式譲渡か事業譲渡の手法が選択されることが多い。それぞれの手法の大まかな特徴は以下のとおりである(その他の手法も存在する)。なお、株式譲渡も事業譲渡も、全部譲渡は必須ではなく、一部譲渡のケースもあるが、その点は譲り渡し側・譲り受け側の協議・交渉によって決定されることになる。

〇 株式譲渡

譲り渡し側の株主(多くの場合は経営者)が、譲り受け側に対し、譲り渡し側の株式を譲渡する手法である。手続は比較的シンプルだが、譲り渡し側の法人格に変動はないため、(未払残業代等、貸借対照表上の数字には表れない)簿外債務・(紛争に関する損害賠償債務等、現時点では未発生だが将来的に発生し得る)偶発債務リスクが比較的高くなりやすく、より詳細なデュー・ディリジェンス(DD)が実施される傾向にある。

〇 事業譲渡

譲り渡し側が、譲り受け側に対し、自社の事業を譲渡する手法である。譲渡の対象となる財産(承継対象財産)を選択でき、譲り渡し側の法人格から切り離すことができるため、簿外債務・偶発債務リスクを比較的遮断しやすいが、手続には(土地、建物や機械設備等といった)承継対象財産の特定や、(不動産登記手続等の)対抗要件具備、許認可の取得等の作業が必要になる。

なお、個人事業主の中小 M&A は、事業譲渡の手法を用いることが通常である。

また、最終契約で取り決める主要な内容は以下のとおりである(株式譲渡・事業譲渡の両方に共通である。)。

・ 譲渡対象(何を譲渡するか)

  • 譲渡時期(いつ譲渡対象を譲渡するか)

・ 譲渡対価(代金をいくらにするか)

・ 支払時期・方法(譲渡対価をいつどのような方法で支払うか)

・ 経営者・役職員の処遇(経営者による引継ぎ期間や、従業員の雇用継続の努力義務等を設けてあるか)

・ 表明保証条項(双方が取引を実行する能力を有していることの確認等を含め、何を求められており、仮に違反した場合にどのような補償等を求められているか)

・ クロージングの前提条件(クロージングまでに何を行う必要があるか)

・ 競業避止義務(譲渡後に競合する事業を行うことがどの程度禁止されているか)

・ 契約の解除事由(どのような場合に契約を解除できるか) 等

なお、譲渡対価は、クロージングを迎えて初めて支払われることが通常であり、最終契約締結後クロージングまでの時期に関して、最終契約上で何らかの条件(前述のクロージングの前提条件)が規定されることもある。また、譲り渡し側・譲り受け側の協議において、中小 M&A に関する情報をクロージング後に公表する旨の合意をしている場合には、それまでの間、秘密保持を貫く必要がある。中小 M&A は、最終契約締結によって全て完了するものではない、という点には注意が必要である。

(9) クロージング

中小 M&A の最終段階であり、株式等の譲渡や譲渡対価の支払を行う。特に譲り受け側から譲渡対価の全部又は一部が確実に入金されたことを確認することが必要である。

仮に事業譲渡の手法を選択し、承継対象財産の中に不動産が含まれる場合には、クロージング後速やかに登記手続を行う必要があるため、クロージングにおいて登記必要書類を授受することが通常である。そのような場合には、司法書士等とも日程調整の上、クロージングに向けた具体的な段取りの準備を進める。

金融機関からの借入金や不動産等への担保設定がある場合は、担保解除(及びこれに伴う担保抹消登記手続)につき、取引金融機関との調整が予め必要となることがあり、その場合には、自ら調整を行うか、仲介者・FA や士業等専門家の指示に従い、必要な手続を進めることが必要である。

(10) クロージング後(ポスト M&A)

クロージングを迎えた後も譲り渡し側経営者は、PMI(M&A 実行後における事業の統合に伴う作業)として、譲り受け側による円滑な引継ぎ等に向けて、誠実に対応する必要がある(最終契約において具体的な協力義務等を定めている場合には、これを果たす必要がある。)。

例えば、株式譲渡や事業譲渡の場合、以下のような引継ぎ等の作業が必要となる。

<共通>

・ 中小 M&A クロージングについての役員・従業員や取引先等に対する報告

・ リース契約・賃貸借契約・金銭消費貸借契約等に関する名義変更・経営者保証解除・(連帯)保証人変更(なお、クロージング前に、リース会社・賃貸人・取引金融機関等との協議・交渉を開始することが多い。特に、賃貸借契約等についてのチェンジ・オブ・コントロール条項の定めがある場合には、当該契約等の継続のために事前に賃貸人等との協議や交渉が必要になることがあるため、注意が必要である。)

・ 業務フローの引継ぎ・業務管理体制の構築 等

<株式譲渡の場合>

・ 代表者変更のための株主総会・取締役会や登記手続 等

<事業譲渡の場合>

・ 売掛金の振込先口座の変更

・ クロージング後における売掛金の入金・買掛金の出金の清算

・ 給与体系・就業規則その他の人事労務関係の統一等

譲り渡し側は、譲り受け側の希望に応じて、引継ぎ等の作業に適宜協力することが望まれる。こういった作業には、3か月~1年程度の時間を要することが多いが、個別のケースにおいて異なる。

この工程を経て、譲り渡し側経営者は、徐々に事業運営から離れていくことになり、また、譲り受け側は、譲り渡し側の事業を実質的にも引き継ぐことになる。

III  M&A プラットフォーム

近年、我が国における中小 M&A においても、オンラインの M&A プラットフォームが急速に普及しつつあることから、以下では M&A プラットフォームについて説明する。ただし、M&A プラットフォームの市場は比較的新しく、仕組みや留意点等も今後大きく変わり得る点には留意が必要である。

1 M&A プラットフォームの基本的な特徴

M&Aプラットフォームは、譲り渡し側・譲り受け側がインターネット上のシステムに登録することで、主にマッチングをはじめとする中小 M&A の手続を低コストで行うことができる支援ツールである。

特に譲り渡し側については無料で登録できる M&A プラットフォームが相当数あり、マッチングのために支援機関に相当額の手数料を支払う資力のない小規模な事業者であっても、中小 M&A の可能性が大きく広がったと評価できる。また、譲り渡し側、譲り受け側といった当事者が自ら相手先を探すことができるケースもあり、従前はM&A 専門業者しか接触できなかった中小 M&A の案件情報に直接接触することができるようになるため、よりスピーディな交渉が可能となった。そのため、近い将来に廃業することを検討している小規模な事業者であっても、廃業以外の選択肢が現実的にあり得るとの認識の下、M&A プラットフォームの活用を積極的に検討することが望まれる。

2 M&A プラットフォーム利用の際の留意点

M&A プラットフォーム利用の際には、以下の点に留意することが必要である。

(1) 情報の取扱い

まず、注意すべきことは情報の取扱いである。ノンネーム情報であったとしてもインターネットの特性上、個者が特定されるリスクを踏まえ、自社の情報をどの程度まで開示対象とするか慎重に検討しておく必要がある。

また、M&A プラットフォームごとに、情報を開示する相手方が異なることも注意が必要である。例えば、法人・個人問わず閲覧・掲載が可能な M&A プラットフォームもあれば、法人のみに限った M&A プラットフォームもある。

どの程度の情報をどこまでの範囲で開示するのか、自身のニーズに照らし合わせて検討することが望ましい。

万が一、一度でもインターネット上に情報が流出してしまうと、それを完全にインターネット上から消去することは困難であるため、ある程度は公開されても受忍できる程度の情報しか掲載しないといった慎重な姿勢が望まれる。この点は、インターネット上でオープンに公開されていない、閉じられた(クローズドな)M&A プラットフォームであったとしても同様である。

(2) 利用する M&A プラットフォームの選択

M&A プラットフォームにはそれぞれ特徴があるため、どの M&A プラットフォームを使うべきかについても検討が必要である。

情報の開示範囲について、法人・個人問わず閲覧・掲載が可能な M&A プラットフォームであれば、マッチングの可能性を広げることができるというメリットがあるのに対し、法人のみに限った M&A プラットフォームであれば、法人の情報が登記情報等により比較的取得しやすいことから M&A プラットフォームの安全性を一層高めることができるというメリットがあると想定される。特に、情報開示先となる譲り受け側をどの程度まで制限するかは、重要なポイントである。

一方、仕組みも M&A プラットフォームによって違いがある。例えば、譲り渡し側・譲り受け側双方から交渉を始められる M&A プラットフォームもあれば、譲り渡し側からしか交渉を始められない M&A プラットフォームもある。また、当事者が直接登録・交渉できる M&A プラットフォームもあれば、FA を介してのみ登録・交渉が可能な M&Aプラットフォームもある。したがって、各社の仕組みを理解した上で活用することが重要である。真に極秘で進めたい案件は、M&A プラットフォームには向いておらず、仲介者・FA との使い分けが必要になると思われる。

また、一部の M&A プラットフォームは、仲介者・FA や士業等専門家の紹介や IT を活用した中小 M&A の手続の支援を行っているが、M&A プラットフォームはあくまで譲り渡し側・譲り受け側のマッチングまでに留まることが一般的である。マッチング後の基本合意・最終契約締結や、これに関する条件交渉等の具体的な手続は、原則として、譲り渡し側・譲り受け側の当事者が行うことになる。しかしながら、中小 M&A において、各当事者は中小 M&A に関する知見を有していないことが多いことから、事業引継ぎ支援センターや士業等専門家等の支援機関による支援を受けながら手続を進めていくことが望ましい。

3 M&A プラットフォームの手数料

(1) 料金体系

現在、譲り渡し側について、M&A プラットフォームを利用したマッチングに関し、一切の手数料が発生しないケースが多い。しかしながら、今後、M&A プラットフォーム市場がより発展することにより、譲り渡し側の件数が増えてくれば、譲り渡し側においても手数料が発生するケースも増えてくる可能性はある。

一方、譲り受け側については、マッチング後のクロージング時点で成功報酬が発生する形(いわゆる完全成功報酬型)が多い。この場合、着手金・月額報酬・中間金等は発生しないケースが多い。譲り受け側における手数料は、譲渡額等の数%程度とされることが多い(最低手数料を設けるところもあれば、設けないところもある。)。

なお、譲り渡し側・譲り受け側とも、M&A プラットフォームの利用とは別に、特にマッチング後の手続において、仲介者・FA や士業等専門家への依頼も行う場合には、これらについての手数料・報酬が別途、必要となる。

(2) 具体例

以下では、仮に、M&A プラットフォームを利用して中小 M&A のマッチングを行った場合に支払うことになる手数料について、具体的な事例を示す。なお、消費税及び地方消費税は合計10%と仮定する。

〇事例

M&A プラットフォームを利用してマッチングを試みたところ、譲渡額2000万円の株式譲渡が成立したケース

・譲り渡し側:手数料なし

・譲り受け側:成功報酬3%(基準:譲渡額、最低手数料:30万円(税抜))

※マッチング後の手続について、M&A 専門業者や士業等専門家からも支援を受ける場合には、これらについての手数料・報酬も別途発生する。

〇 手数料

・成功報酬:2000万円×3%×110%=66万円(税込)

⇒手数料総額:66万円(税込)

IV 事業引継ぎ支援センター

事業引継ぎ支援センター(以下「センター」という。)は、経済産業省の委託を受けた機関(都道府県商工会議所、県の財団等)が実施する事業である。具体的には、中小 M&A のマッチング及びマッチング後の支援、従業員承継等に係る支援に加え、事業承継に関連した幅広い相談対応を行っている。

センターは、全国48か所(全都道府県に各1か所、ただし東京都は2か所)に設置されており、地域金融機関 OB や、公認会計士・税理士・中小企業診断士・弁護士等の士業等専門家といった、中小 M&A の知見を有する専門家が常駐している。

以下では、主として、譲り渡し希望者に向けた、センターでの支援内容とその留意点を説明する。その際には、事業者同士の中小 M&A の支援と、それ以外の支援とに分けて説明する。

1 事業者同士の中小 M&A の支援

(1) 支援フロー

① 初期相談対応(一次対応)

本工程は、センターが中小企業からの相談に対応し、支援の方向性を判断するものである。具体的には、中小 M&A のみならず、従業員承継や廃業等に対する相談を幅広く受け付けており、相談時点において意思決定ができていないものについても対応している。センターでは相談者のニーズを把握した上で、適切な対応策の検討を行っている。センターは、中小企業再生支援協議会やよろず支援拠点といった他の公的機関のほか、士業等専門家を含む民間の支援機関とも連携をしており、中小 M&A以外の対応が適切であると判断した場合には、適切な支援機関への橋渡しを行っている。

このため、特に中小 M&A の意思決定ができていない場合において、センターに相談することは様々な選択肢を検討するという観点から有益であると考えられる。

また、センターでは、公的な相談窓口として、他の仲介者・FA からのアドバイスについてのセカンド・オピニオンを求めることもできるため、既に中小 M&A の工程が進んでいる場合において、支援を受けている仲介者・FA の対応に疑問が生じた場合等も、相談することが可能である。

② 登録機関等による M&A 支援(二次対応)

本工程は、一次対応を経て、相談者が中小 M&A の実行について意思決定した場合に、センターが登録機関等の中で適切な支援ができる者がいると判断した場合に、当該登録機関等への橋渡しを行うものである。

登録機関等の支援を受ける場合は、登録機関等と仲介契約・FA 契約を締結することになるため、手数料が発生するが、登録機関等からよりきめ細やかな支援を受けられることが期待できる。

③ センターによる M&A 支援(三次対応)

本工程は、二次対応において適当な登録機関等が存在しない場合、又は、一次対応時点で、特定のマッチング相手が決まっている、若しくは、合意ができている者に対してその後の手続の一部をセンターが直接支援するものである。マッチング相手が決まっていない場合は、後述するセンターが保有するデータベースも活用しながら相手探しを実施する。マッチング相手が見つかった場合には、クロージングまでの各工程を円滑に進めるため、士業等専門家の活用を含めた支援を行う。

具体的には、税務面・法務面に関する士業等専門家への相談や、企業概要書の作成が必要である場合において、センターが外部専門家等を紹介し、これらの者と連携して作成の支援を行う。外部専門家等の利用は譲り渡し希望者にとって費用負担が生じるものの、税務面・法務面での見解が重要なポイントとなるケースもあるので、必要に応じて外部専門家等を活用することが望ましい。

(2) センターの構築するデータベース

センターでは、相談に来た譲り渡し、譲り受けを希望する事業者及び登録機関等が保有する情報等をデータベース化し、マッチングの相手探しを行っている。

データベースは、掲載する事業者の許諾範囲に応じて全国のセンター内のみでの共有又は登録機関等への開示も可能としている。なお、掲載に当たっては、個別の事業者が具体的に特定されない範囲でノンネーム情報のみが掲載される。

2 その他の支援

センターでは、事業者同士の中小 M&A のみならず、創業希望者(事業を営んでいない個人)とのマッチングを行う「後継者人材バンク」事業、廃業を希望している中小企業の「経営資源の引継ぎ」についての支援も行っている。以下、それぞれの支援内容を概説する。

(1) 後継者人材バンク

後継者人材バンクは、後継者不在の中小企業(主として個人事業者)と創業希望者(事業を営んでいない個人)とのマッチングを行う支援である。譲り渡し側にとっては事業を存続させることができ、譲り受け側の創業希望者にとっては譲り渡し側の事業をそのまま引き継ぐことにより、創業に伴うリスクを抑えることができる。

後継者人材バンクではセンターの支援の下、マッチングからクロージングに至るまでの工程について支援を行っている。

(2) 経営資源の引継ぎ

センターでは、廃業を希望している者の事業又は主たる事業用資産等の経営資源の引継ぎ(一部、中小 M&A も含む。)についての相談にも対応している。

具体的には、廃業を希望している者に対して、中小 M&A の提案、マッチングの相手探し、事業の一部譲渡を含む経営資源の引継ぎについての支援を行う。

経営資源の引継ぎに関しては、事業又は経営資源について、センターの支援の下、マッチングからクロージングに至るまでの工程について、支援を行っている。

V 仲介者・FA の手数料についての考え方の整理

1 手数料の種類

料金体系として、着手金・月額報酬・中間金・成功報酬の形式が多く見られることから、これらの概要について、以下、整理する。ただし、仲介者・FA の手数料には一般的な法規制がなく、どのような料金体系を採用するかは、あくまで各仲介者・FA による点については留意が必要である(着手金・月額報酬・中間金を設けず、成功報酬のみを設ける仲介者・FA も相当数あるとされる。)。なお、別途、実費(交通費等)を請求することもある。

(1) 着手金

着手金は、主に依頼者との仲介契約・FA 契約締結時に発生する手数料である。成功報酬が発生した場合には、当該成功報酬に含まれる(成功報酬の内金となる)ものとすることもある。請求する仲介者・FA と、請求しない仲介者・FA に分かれる。

(2) 月額報酬

月額報酬(定額顧問料、リテーナーフィーと呼ばれることもある。)は、主に月ごとに定期的に定額で発生する手数料である。後述の成功報酬が発生した場合には、当該成功報酬に含まれる(成功報酬の内金となる)ものとすることもある。請求する仲介者・FA と、請求しない仲介者・FA に分かれる。

(3) 中間金

中間金は、基本合意締結時等、案件完了前の一定の時点に発生する手数料である。後述の成功報酬が発生した場合にはこれに含まれる(成功報酬の内金となる)ものとすることが多い。請求する仲介者・FA と、請求しない仲介者・FA に分かれる。

(4) 成功報酬

成功報酬は、主にクロージング時等の案件完了時に発生する手数料である。仲介者・FA の場合は、主に以下の3つの基準となる価額のいずれかに、一定の方式に則った計算を施すものが多い。ただし、これらを組み合わせたり、修正したりする方式もあれば、これらと全く異なる方式(例えば、定額)を採用する仲介者・FA も存在する。

なお、後述のとおり、最低手数料が設けられるケースが多いが、その金額の水準も各仲介者・FA によって異なるため、複数の仲介者・FA を比較検討することが望ましい。

① 譲渡額(譲受額)

譲り渡した(譲り受けた)金額そのものを基準とするものである。基準として理解しやすいと言える。

譲り渡し側の場合には、譲渡額が高くなれば手数料の金額が高くなることにも合理性が認められるが、譲り受け側の場合には、譲受額が高くなるほど手数料の金額も高くなり負担感が増すため、異なる算定方法(例えば、譲り受け側のみ定額とする等)が合理的であることが多い。

② 移動総資産額

主に譲渡額に負債額を加えた、いわゆる「移動総資産額」を基準とするものである。

これは、譲り渡し側の(移動)総資産額は、その事業規模に連動して大きくなる傾向にあるとの考えによるものである。したがって、同じ譲渡額であっても、負債(特に借入金)の金額が高い方が、手数料は高くなるということになる。

③ 純資産額

資産と負債の差額である。簿価純資産額の場合には、決算書上の記載を基に容易に計算でき、明確であるという特徴があるため、特に譲り渡し側が小規模企業の場合には、簿価純資産額を基準とすることがある。なお、譲り渡し側が債務超過企業の場合には、純資産額がゼロ円以下となってしまうため、通常、別の要素を考慮する譲渡額(前述の①参照)や移動総資産額(前述の②参照)を基準とすることが多い。

2 レーマン方式

以上の価額を基に報酬を算定する手法として、レーマン方式が採られることが多い。

レーマン方式は、「基準となる価額」に応じて変動する各階層の「乗じる割合」を、各階層の「基準となる価額」に該当する各部分にそれぞれ乗じた金額を合算して、報酬を算定する手法であり、特に M&A 専門業者において広く用いられている。

例えば、下記のような表を用いて報酬を算定するが、例示された各階層における価額・割合は必ずしも下記の価額・割合に限定されるものではなく、各仲介者・FA により異なる。そもそも、レーマン方式を採用せず、「基準となる価額」によらず一律の割合を乗じるケースや、定額とするケースもある。

また、原則としてレーマン方式によるとしても、譲り渡し側が小規模である場合には、「基準となる価額」が小さく、十分な成功報酬を確保できないケースもあり得るため、これに備えて最低手数料を設けている仲介者・FA は多い。最低手数料の金額は、各仲介者・FA により異なるため、仲介者・FA に依頼しようとする中小企業は、最低手数料を含め、手数料の算出方法を明確に確認しておく必要がある。

・基準となる価額5億円以下の部分        乗じる割合5%

・基準となる価額5億円超10億円以下の部分   乗じる割合4%

・基準となる価額10億円超50億円以下の部分  乗じる割合3%

・基準となる価額50億円超100億円以下の部分 乗じる割合2%

・基準となる価額100億円超の部分       乗じる割合1%

※あくまで一例であり、各階層における価額・割合は各仲介者・FA により異なる。

3 具体例

以下では、仮に、M&A 専門業者が中小 M&A のマッチング支援等を行った場合に、譲り渡し側又は(譲り渡し側経営者であることが多い)譲り渡し側株主が支払うことになる手数料について、具体的な事例を示す。なお、消費税及び地方消費税は合計10%と仮定する。

〇 事例1

事業引継ぎ支援センターの登録機関等である M&A 専門業者に依頼したところ、6か月間の業務遂行により、譲渡額1億円の株式譲渡が成立したケース

・着手金100万円(税抜)【成功報酬は別途】

・月額報酬:なし

・中間金:なし

・成功報酬:前述のレーマン方式(基準:譲渡額、最低手数料:500万円(税抜))

※事業引継ぎ支援センターへの相談は無料であるが、登録機関等に依頼する場合は有料である。

〇 手数料

・着手金:100万円×110%=110万円(税込)・・・(a)

・月額報酬:0円

・中間金:0円

・成功報酬:1億円×5%×110%=550万円(税込)・・・(b)

⇒手数料総額:660万円(税込)・・・(a)+(b)

※譲渡額から手数料総額を控除した金額は9340万円となる。

〇 事例2

金融機関から紹介された M&A 専門業者に依頼したところ、1年間の業務遂行により、譲渡額5億円の株式譲渡が成立したケース(なお、負債額は5億円)

・着手金:なし

・月額報酬:なし

・中間金:50万円(税抜)【成功報酬に含まれる】

・成功報酬:前述のレーマン方式(基準:移動総資産額、移動総資産額:10億円、最低手数料:1000万円(税抜))

〇 手数料

・着手金:0円

・月額報酬:0円

・中間金:50万円×110%=55万円(税込)・・・(c)

・成功報酬:(5億円以下)5億円×5%×110%=2750万円(税込)

(5億円超10億円以下)5億円×4%×110%=2200万円(税込)

→2750万円(税込)+2200万円(税込)-55万円(税込)

=4895万円(税込)・・・(d)

⇒手数料総額:4950万円(税込)・・・(c)+(d)

※譲渡額から手数料総額を控除した金額は4億5050万円となる。

〇 事例3

顧問税理士から紹介された M&A 専門業者に依頼したところ、4か月間の業務遂行により、譲渡額3000万円の事業譲渡が成立したケース

・着手金:50万円(税抜)【成功報酬は別途】

・月額報酬:10万円(税抜)【成功報酬は別途】

・中間金:なし

・成功報酬:一律4%(基準:譲渡額、最低手数料:300万円(税抜))

〇 手数料

・着手金:50万円×110%=55万円(税込)・・・(e)

・月額報酬:10万円×4×110%=44万円(税込)・・・(f)

・中間金:0円

・成功報酬:300万円×110%=330万円(税込)・・・(g)

>3000万円×4%×110%=132万円(税込)

⇒手数料総額:429万円(税込)・・・(e)+(f)+(g)

※譲渡額から手数料総額を控除した金額は2571万円となる。

4 業務内容と手数料の関係

仲介者・FA の手数料には一律の基準がなく、原則として各仲介者・FA の判断に委ねられていることから、仮に同じ M&A が実現したとしても、仲介者・FA が異なれば、発生する手数料の金額は多様である。

重要なのは、あくまで、仲介者・FA の業務内容と手数料の金額が客観的に見合っているか否か、そして依頼者である中小企業やその経営者が納得できるか否か、という点である。

仲介者・FA と契約を締結する前に、まずは、業務内容が具体的に何であるのか、手数料の算定方法と発生時期はどのようになっているか、という点について入念に確認することが重要である(前述のとおり、事業引継ぎ支援センター等からセカンド・オピニオンを聴取しておくことも有効である。)。

VI 問い合わせ窓口

ここでは、中小 M&A の実施過程において、あるいは中小 M&A が終了した後に、意

見や相談を求めたいケースにおける主な問い合わせの窓口を列記するので、参考とされたい。

〇 事業引継ぎ支援センター

( https://shoukei.smrj.go.jp/contact/ )

中小 M&A 全般についての問い合わせ窓口である。

※どの窓口に相談するか迷う際には、まずこちらの窓口に相談されたい。

・ 日本弁護士連合会(ひまわりほっとダイヤル)

( https://www.nichibenren.or.jp/ja/sme/about_himawari.html )

日本弁護士連合会及び全国52の弁護士会が提供する電話で弁護士との面談予約ができるサービスである。

※法的な観点に基づく助言等を求めたい場合は、こちらの窓口に相談されたい。

 

どうぞ、お気軽にお電話ください

0797-62-6026  

お問い合せのご案内

 

医療法のご案内

医療法の条文(一部抜粋)をご案内します。ご参考になれば幸いです。

◇医療法(抄)

第六章 医療法人

第一節 通則(第三十九条―第四十三条)

第二節 設立(第四十四条―第四十六条)

第三節 機関

第一款 機関の設置(第四十六条の二)

第二款 社員総会(第四十六条の三―第四十六条の三の六)

第三款 評議員及び評議員会(第四十六条の四―第四十六条の四の七)

第四款 役員の選任及び解任(第四十六条の五―第四十六条の五の四)

第五款 理事(第四十六条の六―第四十六条の六の四)

第六款 理事会(第四十六条の七・第四十六条の七の二)

第七款 監事(第四十六条の八―第四十六条の八の三)

第八款 役員等の損害賠償責任(第四十七条―第四十九条の三)

第四節 計算(第五十条―第五十四条)

第五節 社会医療法人債(第五十四条の二―第五十四条の八)

第六節 定款及び寄附行為の変更(第五十四条の九)

第七節 解散及び清算(第五十五条―第五十六条の十六)

第八節 合併及び分割

第一款 合併

第一目 通則(第五十七条)

第二目 吸収合併(第五十八条―第五十八条の六)

第三目 新設合併(第五十九条―第五十九条の五)

第二款 分割

第一目 吸収分割(第六十条―第六十条の七)

第二目 新設分割(第六十一条―第六十一条の六)

第三目 雑則(第六十二条・第六十二条の二)

第三款 雑則(第六十二条の三)

第九節 監督(第六十三条―第六十九条)

第七章 地域医療連携推進法人

第一節 認定(第七十条―第七十条の六)

第二節 業務等(第七十条の七―第七十条の十六)

第三節 監督(第七十条の十七―第七十条の二十三)

第四節 雑則(第七十一条)

第八章 雑則(第七十二条―第七十六条)

第九章 罰則(第七十七条―第九十四条)

◎第六章 医療法人

◎第一節 通則

〇第三十九条 病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。

2 前項の規定による法人は、医療法人と称する。

〇第四十条 医療法人でない者は、その名称中に、医療法人という文字を用いてはならない。

〇第四十条の二 医療法人は、自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その提供する医療の質の向上及びその運営の透明性の確保を図り、その地域における医療の重要な担い手としての役割を積極的に果たすよう努めなければならない。

〇第四十一条 医療法人は、その業務を行うに必要な資産を有しなければならない。

2 前項の資産に関し必要な事項は、医療法人の開設する医療機関の規模等に応じ、厚生労働省令で定める。

〇第四十二条 医療法人は、その開設する病院、診療所又は介護老人保健施設(当該医療法人が地方自治法第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者として管理する公の施設である病院、診療所又は介護老人保健施設(以下「指定管理者として管理する病院等」という。)を含む。)の業務に支障のない限り、定款又は寄附行為の定めるところにより、次に掲げる業務の全部又は一部を行うことができる。

一 医療関係者の養成又は再教育

二 医学又は歯学に関する研究所の設置

三 第三十九条第一項に規定する診療所以外の診療所の開設

四 疾病予防のために有酸素運動(継続的に酸素を摂取して全身持久力に関する生理機能の維持又は回復のために行う身体の運動をいう。次号において同じ。)を行わせる施設であつて、診療所が附置され、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合するものの設置

五 疾病予防のために温泉を利用させる施設であつて、有酸素運動を行う場所を有し、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合するものの設置

六 前各号に掲げるもののほか、保健衛生に関する業務

七 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第二項及び第三項に掲げる事業のうち厚生労働大臣が定めるものの実施

八 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十九条第一項に規定する有料老人ホームの設置

〇第四十二条の二 医療法人のうち、次に掲げる要件に該当するものとして、政令で定めるところにより都道府県知事の認定を受けたもの(以下「社会医療法人」という。)は、その開設する病院、診療所又は介護老人保健施設(指定管理者として管理する病院等を含む。)の業務に支障のない限り、定款又は寄附行為の定めるところにより、その収益を当該社会医療法人が開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の経営に充てることを目的として、厚生労働大臣が定める業務(以下「収益業務」という。)を行うことができる。

一 役員のうちには、各役員について、その役員、その配偶者及び三親等以内の親族その他各役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が役員の総数の三分の一を超えて含まれることがないこと。

二 社団たる医療法人の社員のうちには、各社員について、その社員、その配偶者及び三親等以内の親族その他各社員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が社員の総数の三分の一を超えて含まれることがないこと。

三 財団たる医療法人の評議員のうちには、各評議員について、その評議員、その配偶者及び三親等以内の親族その他各評議員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が評議員の総数の三分の一を超えて含まれることがないこと。

四 救急医療等確保事業(当該医療法人が開設する病院又は診療所の所在地の都道府県が作成する医療計画に記載されたものに限る。次条において同じ。)に係る業務を当該病院又は診療所の所在地の都道府県(次のイ又はロに掲げる医療法人にあつては、それぞれイ又はロに定める都道府県)において行つていること。

イ 二以上の都道府県において病院又は診療所を開設する医療法人(ロに掲げる者を除く。) 当該病院又は診療所の所在地の全ての都道府県

ロ 一の都道府県において病院を開設し、かつ、当該病院の所在地の都道府県の医療計画において定める第三十条の四第二項第十二号に規定する区域に隣接した当該都道府県以外の都道府県の医療計画において定める同号に規定する区域において診療所を開設する医療法人であつて、当該病院及び当該診療所における医療の提供が一体的に行われているものとして厚生労働省令で定める基準に適合するもの 当該病院の所在地の都道府県

五 前号の業務について、次に掲げる事項に関し厚生労働大臣が定める基準に適合していること。

イ 当該業務を行う病院又は診療所の構造設備

ロ 当該業務を行うための体制

ハ 当該業務の実績

六 前各号に掲げるもののほか、公的な運営に関する厚生労働省令で定める要件に適合するものであること。

七 定款又は寄附行為において解散時の残余財産を国、地方公共団体又は他の社会医療法人に帰属させる旨を定めていること。

2 都道府県知事は、前項の認定をするに当たつては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。

3 収益業務に関する会計は、当該社会医療法人が開設する病院、診療所又は介護老人保健施設(指定管理者として管理する病院等を含む。)の業務及び前条各号に掲げる業務に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。

〇第四十二条の三 前条第一項の認定(以下この項及び第六十四条の二第一項において「社会医療法人の認定」という。)を受けた医療法人のうち、前条第一項第五号ハに掲げる要件を欠くに至つたこと(当該要件を欠くに至つたことが当該医療法人の責めに帰することができない事由として厚生労働省令で定める事由による場合に限る。)により第六十四条の二第一項第一号に該当し、同項の規定により社会医療法人の認定を取り消されたもの(前条第一項各号(第五号ハを除く。)に掲げる要件に該当するものに限る。)は、救急医療等確保事業に係る業務の継続的な実施に関する計画(以下この条において「実施計画」という。)を作成し、これを都道府県知事に提出して、その実施計画が適当である旨の認定を受けることができる。

2 前項の認定を受けた医療法人は、前条第一項及び第三項の規定の例により収益業務を行うことができる。

3 前条第二項の規定は、第一項の認定をする場合について準用する。

4 前三項に規定するもののほか、実施計画の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。

〇第四十三条 医療法人は、政令で定めるところにより、その設立、従たる事務所の新設、事務所の移転、その他登記事項の変更、解散、合併、分割、清算人の就任又はその変更及び清算の結了の各場合に、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することはできない。

◎第二節 設立

〇第四十四条 医療法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県知事(以下この章(第三項及び第六十六条の三を除く。)において単に「都道府県知事」という。)の認可を受けなければ、これを設立することができない。

2 医療法人を設立しようとする者は、定款又は寄附行為をもつて、少なくとも次に掲げる事項を定めなければならない。

一 目的

二 名称

三 その開設しようとする病院、診療所又は介護老人保健施設(地方自治法第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者として管理しようとする公の施設である病院、診療所又は介護老人保健施設を含む。)の名称及び開設場所

四 事務所の所在地

五 資産及び会計に関する規定

六 役員に関する規定

七 理事会に関する規定

八 社団たる医療法人にあっては、社員総会及び社員たる資格の得喪に関する規定

九 財団たる医療法人にあっては、評議員会及び評議員に関する規定

十 解散に関する規定

十一 定款又は寄附行為の変更に関する規定

十二 公告の方法

3 財団たる医療法人を設立しようとする者が、その名称、事務所の所在地又は理事の任免の方法を定めないで死亡したときは、都道府県知事は、利害関係人の請求により又は職権で、これを定めなければならない。

4 医療法人の設立当初の役員は、定款又は寄附行為をもつて定めなければならない。

5 第二項第十号に掲げる事項中に、残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、国若しくは地方公共団体又は医療法人その他の医療を提供する者であつて厚生労働省令で定めるもののうちから選定されるようにしなければならない。

6 この節に定めるもののほか、医療法人の設立認可の申請に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

〇第四十五条 都道府県知事は、前条第一項の規定による認可の申請があつた場合には、当該申請にかかる医療法人の資産が第四十一条の要件に該当しているかどうか及びその定款又は寄附行為の内容が法令の規定に違反していないかどうかを審査した上で、その認可を決定しなければならない。

2 都道府県知事は、前条第一項の規定による認可をし、又は認可をしない処分をするに当たっては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。

〇第四十六条 医療法人は、その主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより設立の登記をすることによって、成立する。

2 医療法人は、成立の時に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。

◎第三節 機関

◎第一款 機関の設置

〇第四十六条の二 社団たる医療法人は、社員総会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。

2 財団たる医療法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。

◎第二款 社員総会

〇第四十六条の三 社員総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項について決議をすることができる。

2 この法律の規定により社員総会の決議を必要とする事項について、理事、理事会その他の社員総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

〇第四十六条の三の二 社団たる医療法人は、社員名簿を備え置き、社員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。

2 社団たる医療法人の理事長は、少なくとも毎年一回、定時社員総会を開かなければならない。

3 理事長は、必要があると認めるときは、いつでも臨時社員総会を招集することができる。

4 理事長は、総社員の五分の一以上の社員から社員総会の目的である事項を示して臨時社員総会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれを下回る割合を定めることができる。

5 社員総会の招集の通知は、その社員総会の日より少なくとも五日前に、その社員総会の目的である事項を示し、定款で定めた方法に従ってしなければならない。

6 社員総会においては、前項の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。

〇第四十六条の三の三 社員は、各一個の議決権を有する。

2 社員総会は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、決議をすることができない。

3 社員総会の議事は、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 前項の場合において、議長は、社員として議決に加わることができない。

5 社員総会に出席しない社員は、書面で、又は代理人によって議決をすることができる。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

6 社員総会の決議について特別の利害関係を有する社員は、議決に加わることができない。

〇第四十六条の三の四 理事及び監事は、社員総会において、社員から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が社員総会の目的である事項に関しないものである場合その他正当な理由がある場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

〇第四十六条の三の五 社員総会の議長は、社員総会において選任する。

2 社員総会の議長は、当該社員総会の秩序を維持し、議事を整理する。

3 社員総会の議長は、その命令に従わない者その他当該社員総会の秩序を乱す者を退場させることができる。

〇第四十六条の三の六 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第五十七条の規定は、医療法人の社員総会について準用する。この場合において、同条第一項、第三項及び第四項第二号中「法務省令」とあるのは、「厚生労働省令」と読み替えるものとする。

◎第三款 評議員及び評議員会

〇第四十六条の四 評議員となる者は、次に掲げる者とする。

一 医療従事者のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者

二 病院、診療所又は介護老人保健施設の経営に関して識見を有する者のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者

三 医療を受ける者のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者

四 前三号に掲げる者のほか、寄附行為の定めるところにより選任された者

2 次の各号のいずれかに該当する者は、医療法人の評議員となることができない。

一 法人

二 成年被後見人又は被保佐人

三 この法律、医師法、歯科医師法その他医事に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

四 前号に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

3 評議員は、当該財団たる医療法人の役員又は職員を兼ねてはならない。

4 財団たる医療法人と評議員との関係は、委任に関する規定に従う。

〇第四十六条の四の二 評議員会は、理事の定数を超える数の評議員(第四十六条の五第一項ただし書の認可を受けた医療法人にあつては、三人以上の評議員)をもつて、組織する。

2 評議員会は、第四十六条の四の五第一項の意見を述べるほか、この法律に規定する事項及び寄附行為で定めた事項に限り、決議をすることができる。

3 この法律の規定により評議員会の決議を必要とする事項について、理事、理事会その他の評議員会以外の機関が決定することができることを内容とする寄附行為の定めは、その効力を有しない。

〇第四十六条の四の三 財団たる医療法人の理事長は、少なくとも毎年一回、定時評議員会を開かなければならない。

2 理事長は、必要があると認めるときは、いつでも臨時評議員会を招集することができる。

3 評議員会に、議長を置く。

4 理事長は、総評議員の五分の一以上の評議員から評議員会の目的である事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。ただし、総評議員の五分の一の割合については、寄附行為でこれを下回る割合を定めることができる。

5 評議員会の招集の通知は、その評議員会の日より少なくとも五日前に、その評議員会の目的である事項を示し、寄附行為で定めた方法に従つてしなければならない。

6 評議員会においては、前項の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、寄附行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

〇第四十六条の四の四 評議員会は、総評議員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、決議をすることができない。

2 評議員会の議事は、この法律に別段の定めがある場合を除き、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

3 前項の場合において、議長は、評議員として議決に加わることができない。

4 評議員会の決議について特別の利害関係を有する評議員は、議決に加わることができない。

〇第四十六条の四の五 理事長は、医療法人が次に掲げる行為をするには、あらかじめ、評議員会の意見を聴かなければならない。

一 予算の決定又は変更

二 借入金(当該会計年度内の収入をもつて償還する一時の借入金を除く。)の借入れ

三 重要な資産の処分

四 事業計画の決定又は変更

五 合併及び分割

六 第五十五条第三項第二号に掲げる事由のうち、同条第一項第二号に掲げる事由による解散

七 その他医療法人の業務に関する重要事項として寄附行為で定めるもの

2 前項各号に掲げる事項については、評議員会の決議を要する旨を寄附行為で定めることができる。

〇第四十六条の四の六 評議員会は、医療法人の業務若しくは財産の状況又は役員の業務執行の状況について、役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は役員から報告を徴することができる。

〇第四十六条の四の七 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十三条の規定は、医療法人の評議員会について準用する。この場合において、同条第一項、第三項及び第四項第二号中「法務省令」とあるのは、「厚生労働省令」と読み替えるものとする。

◎第四款 役員の選任及び解任

〇第四十六条の五 医療法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。ただし、理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、一人又は二人の理事を置けば足りる。

2 社団たる医療法人の役員は、社員総会の決議によって選任する。

3 財団たる医療法人の役員は、評議員会の決議によって選任する。

4 医療法人と役員との関係は、委任に関する規定に従う。

5 第四十六条の四第二項の規定は、医療法人の役員について準用する。

6 医療法人は、その開設する全ての病院、診療所又は介護老人保健施設(指定管理者として管理する病院等を含む。)の管理者を理事に加えなければならない。ただし、医療法人が病院、診療所又は介護老人保健施設を二以上開設する場合において、都道府県知事の認可を受けたときは、管理者(指定管理者として管理する病院等の管理者を除く。)の一部を理事に加えないことができる。

7 前項本文の理事は、管理者の職を退いたときは、理事の職を失うものとする。

8 監事は、当該医療法人の理事又は職員を兼ねてはならない。

9 役員の任期は、二年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。

〇第四十六条の五の二 社団たる医療法人の役員は、いつでも、社員総会の決議によって解任することができる。

2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、社団たる医療法人に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

3 社団たる医療法人は、出席者の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成がなければ、第一項の社員総会(監事を解任する場合に限る。)の決議をすることができない。

4 財団たる医療法人の役員が次のいずれかに該当するときは、評議員会の決議によって、その役員を解任することができる。

一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。

二 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。

5 財団たる医療法人は、出席者の三分の二(これを上回る割合を寄附行為で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成がなければ、前項の評議員会(監事を解任する場合に限る。)の決議をすることができない。

〇第四十六条の五の三 この法律又は定款若しくは寄附行為で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

2 前項に規定する場合において、医療法人の業務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、都道府県知事は、利害関係人の請求により又は職権で、一時役員の職務を行うべき者を選任しなければならない。

3 理事又は監事のうち、その定数の五分の一を超える者が欠けたときは、一月以内に補充しなければならない。

〇第四十六条の五の四 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十二条及び第七十四条(第四項を除く。)の規定は、社団たる医療法人及び財団たる医療法人の役員の選任及び解任について準用する。この場合において、社団たる医療法人の役員の選任及び解任について準用する同条第三項中「及び第三十八条第一項第一号に掲げる事項」とあるのは「並びに当該社員総会の日時及び場所」と読み替えるものとし、財団たる医療法人の役員の選任及び解任について準用する同法第七十二条及び第七十四条第一項から第三項までの規定中「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同項中「及び第三十八条第一項第一号に掲げる事項」とあるのは「並びに当該評議員会の日時及び場所」と読み替えるものとする。

◎第五款 理事

〇第四十六条の六 医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯医師でない理事のうちから選出することができる。

2 第四十六条の五第一項ただし書の認可を受けて一人の理事を置く医療法人にあっては、この章(次条第三項を除く。)の規定の適用については、当該理事を理事長とみなす。

〇第四十六条の六の二 理事長は、医療法人を代表し、医療法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

2 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

3 第四十六条の五の三第一項及び第二項の規定は、理事長が欠けた場合について準用する。

〇第四十六条の六の三 理事は、医療法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を監事に報告しなければならない。

〇第四十六条の六の四 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条、第八十条、第八十二条から第八十四条まで、第八十八条(第二項を除く。)及び第八十九条の規定は、社団たる医療法人及び財団たる医療法人の理事について準用する。この場合において、当該理事について準用する同法第八十四条第一項中「社員総会」とあるのは「理事会」と、同法第八十八条第一項中「著しい」とあるのは「回復することができない」と読み替えるものとし、財団たる医療法人の理事について準用する同法第八十三条中「定款」とあるのは「寄附行為」と、「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同法第八十八条の見出し及び同条第一項中「社員」とあるのは「評議員」と、同項及び同法第八十九条中「定款」とあるのは「寄附行為」と、同条中「社員総会」とあるのは「評議員会」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

◎第六款 理事会

〇第四十六条の七 理事会は、全ての理事で組織する。

2 理事会は、次に掲げる職務を行う。

一 医療法人の業務執行の決定

二 理事の職務の執行の監督

三 理事長の選出及び解職

3 理事会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を理事に委任することができない。

一 重要な資産の処分及び譲受け

二 多額の借財

三 重要な役割を担う職員の選任及び解任

四 従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止

五 社団たる医療法人にあっては、第四十七条の二第一項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十四条第一項の規定による定款の定めに基づく第四十七条第一項の責任の免除

六 財団たる医療法人にあっては、第四十七条の二第一項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十四条第一項の規定による寄附行為の定めに基づく第四十七条第四項において準用する同条第一項の責任の免除

〇第四十六条の七の二 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十一条から第九十八条まで(第九十一条第一項各号及び第九十二条第一項を除く。)の規定は、社団たる医療法人及び財団たる医療法人の理事会について準用する。この場合において、当該理事会について準用する同法第九十一条第一項中「次に掲げる理事」とあり、及び同条第二項中「前項各号に掲げる理事」とあるのは「理事長」と、同法第九十五条第三項及び第四項並びに第九十七条第二項第二号中「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と読み替えるものとし、財団たる医療法人の理事会について準用する同法第九十一条第二項、第九十三条第一項、第九十四条第一項、第九十五条第一項及び第三項並びに第九十六条中「定款」と

あるのは「寄附行為」と、同法第九十七条第二項中「社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て」とあるのは「評議員は、財団たる医療法人の業務時間内は、いつでも」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

2 前項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十七条第二項及び第三項の許可については、同法第二百八十七条第一項、第二百八十八条、第二百八十九条(第一号に係る部分に限る。)、第二百九十条本文、第二百九十一条(第二号に係る部分に限る。)、第二百九十二条本文、第二百九十四条及び第二百九十五条の規定を準用する。

◎第七款 監事

〇第四十六条の八 監事の職務は、次のとおりとする。

一 医療法人の業務を監査すること。

二 医療法人の財産の状況を監査すること。

三 医療法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後三月以内に社員総会又は評議員会及び理事会に提出すること。

四 第一号又は第二号の規定による監査の結果、医療法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事、社員総会若しくは評議員会又は理事会に報告すること。

五 社団たる医療法人の監事にあっては、前号の規定による報告をするために必要があるときは、社員総会を招集すること。

六 財団たる医療法人の監事にあっては、第四号の規定による報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること。

七 社団たる医療法人の監事にあっては、理事が社員総会に提出しようとする議案、書類その他厚生労働省令で定めるもの(次号において「議案等」という。)を調査すること。この場合において、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を社員総会に報告すること。

八 財団たる医療法人の監事にあっては、理事が評議員会に提出しようとする議案等を調査すること。この場合において、法令若しくは寄附行為に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を評議員会に報告すること。

〇第四十六条の八の二 監事は理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。

2 監事は、前条第四号に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事(第四十六条の七の二第一項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十三条第一項ただし書に規定する場合にあつては、同条第二項に規定する招集権者)に対し、理事会の招集を請求することができる。

3 前項の規定による請求があつた日から五日以内に、その請求があつた日から二週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。

〇第四十六条の八の三 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百三条から第百六条までの規定は、社団たる医療法人及び財団たる医療法人の監事について準用する。この場合において、財団たる医療法人の監事について準用する同法第百三条第一項中「定款」とあるのは「寄附行為」と、同法第百五条第一項及び第二項中「定款」とあるのは「寄附行為」と、「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同条第三項中「社員総会」とあるのは「評議員会」と読み替えるものとする。

◎第八款 役員等の損害賠償責任

〇第四十七条 社団たる医療法人の理事又は監事は、その任務を怠つたときは、当該医療法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2 社団たる医療法人の理事が第四十六条の六の四において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第八十四条第一項の規定に違反して同項第一号の取引をしたときは、当該取引によって理事又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。

3 第四十六条の六の四において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第八十四条第一項第二号又は第三号の取引によって社団たる医療法人に損害が生じたときは、次に掲げる理事は、その任務を怠ったものと推定する。

一 第四十六条の六の四において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第八十四条第一項の理事

二 社団たる医療法人が当該取引をすることを決定した理事

三 当該取引に関する理事会の承認の決議に賛成した理事

4 前三項の規定は、財団たる医療法人の評議員又は理事若しくは監事について準用する。

〇第四十七条の二 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十二条から第百十六条までの規定は、前条第一項の社団たる医療法人の理事又は監事の責任及び同条第四項において準用する同条第一項の財団たる医療法人の評議員又は理事若しくは監事の責任について準用する。この場合において、これらの者の責任について準用する同法第百十三条第一項第二号及び第四項中「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と読み替えるものとし、財団たる医療法人の評議員又は理事若しくは監事の責任について準用する同法第百十二条中「総社員」とあるのは「総評議員」と、同法第百十三条中「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同法第百十四条の見出し並びに同条第一項及び第二項中「定款」とあるのは「寄附行為」と、同項中「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同条第三項中「定款」とあるのは「寄附行為」と、「社員」とあるのは「評議員」と、同条第四項中「総社員」とあるのは「総評議員」と、「定款」とあるのは「寄附行為」と、「社員が」とあるのは「評議員が」と、同条第五項並びに同法第百十五条第一項及び第三項中「定款」とあるのは「寄附行為」と、同項及び同条第四項中「社員総会」とあるのは「評議員会」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

2 社団たる医療法人は、出席者の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成がなければ、前項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十三条第一項の社員総会の決議をすることができない。

3 財団たる医療法人は、出席者の三分の二(これを上回る割合を寄附行為で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成がなければ、第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十三条第一項の評議員会の決議をすることができない。

〇第四十八条 医療法人の評議員又は理事若しくは監事(以下この項、次条及び第四十九条の三において「役員等」という。)がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があつたときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかつたことを証明したときは、この限りでない。

一 理事 次に掲げる行為

イ 第五十一条第一項の規定により作成すべきものに記載すべき重要な事項についての虚偽の記載

ロ 虚偽の登記

ハ 虚偽の公告

二 監事 監査報告に記載すべき重要な事項についての虚偽の記載

〇第四十九条 役員等が医療法人又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員等も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

〇第四十九条の二 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第六章第二節第二款の規定は、社団たる医療法人について準用する。この場合において、同法第二百七十八条第一項中「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と、「設立時社員、設立時理事、役員等(第百十一条第一項に規定する役員等をいう。第三項において同じ。)又は清算人」とあるのは「理事又は監事」と、同条第三項中「設立時社員、設立時理事、役員等若しくは清算人」とあるのは「理事又は監事」と、「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と、同法第二百八十条第二項中「清算人並びにこれらの者」とあるのは「理事」と読み替えるものとする。

〇第四十九条の三 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第六章第二節第三款の規定は、医療法人の役員等の解任の訴えについて準用する。この場合において、同法第二百八十四条中「定款」とあるのは、「定款若しくは寄附行為」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

◎第四節 計算

〇第五十条 医療法人の会計はこの法律及びこの法律に基づく厚生労働省令の規定によるほか一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。

〇第五十条の二 医療法人は、厚生労働省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

2 医療法人は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。

〇第五十一条 医療法人は、毎会計年度終了後二月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、関係事業者(理事長の配偶者がその代表者であることその他の当該医療法人又はその役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者をいう。)との取引の状況に関する報告書その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」という。)を作成しなければならない。

2 医療法人(その事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。

3 医療法人は、貸借対照表及び損益計算書を作成した時から十年間、当該貸借対照表及び損益計算書を保存しなければならない。

4 医療法人は、事業報告書等について、厚生労働省令で定めるところにより、監事の監査を受けなければならない。

5 第二項の医療法人は、財産目録、貸借対照表及び損益計算書について、厚生労働省令で定めるところにより、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならない。

6 医療法人は、前二項の監事又は公認会計士若しくは監査法人の監査を受けた事業報告書等について、理事会の承認を受けなければならない。

〇第五十一条の二 社団たる医療法人の理事は、前条第六項の承認を受けた事業報告書等を社員総会に提出しなければならない。

2 理事は、前項の社員総会の招集の通知に際して、厚生労働省令で定めるところにより、社員に対し、前条第六項の承認を受けた事業報告書等を提供しなければならない。

3 第一項の規定により提出された事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書に限る。)は、社員総会の承認を受けなければならない。

4 理事は、第一項の規定により提出された事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書を除く。)の内容を社員総会に報告しなければならない。

5 前各項の規定は、財団たる医療法人について準用する。この場合において、前各項中「社員総会」とあるのは「評議員会」と、第二項中「社員」とあるのは「評議員」と読み替えるものとする。

〇第五十一条の三 医療法人(その事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)は、厚生労働省令で定めるところにより、前条第三項(同条第五項において読み替えて準用する場合を含む。)の承認を受けた事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書に限る。)を公告しなければならない。

〇第五十一条の四 医療法人(次項に規定する者を除く。)は、次に掲げる書類をその主たる事務所に備えて置き、その社員若しくは評議員又は債権者から請求があつた場合には、正当な理由がある場合を除いて、厚生労働省令で定めるところにより、これを閲覧に供しなければならない。

一 事業報告書等

二 第四十六条の八第三号の監査報告書(以下「監事の監査報告書」という。)

三 定款又は寄附行為

2 社会医療法人及び第五十一条第二項の医療法人(社会医療法人を除く。)は、次に掲げる書類(第二号に掲げる書類にあっては、第五十一条第二項の医療法人に限る。)をその主たる事務所に備えて置き、請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、厚生労働省令で定めるところによりこれを閲覧に供しなければならない。

一 前項各号に掲げる書類

二 公認会計士又は監査法人の監査報告書(以下「公認会計士等の監査報告書」という。)

3 医療法人は、第五十一条の二第一項の社員総会の日(財団たる医療法人にあっては、同条第五項において読み替えて準用する同条第一項の評議員会の日)の一週間前の日から五年間、事業報告書等、監事の監査報告書及び公認会計士等の監査報告書をその主たる事務所に備え置かなければならない。

4 前三項の規定は、医療法人の従たる事務所における書類の備置き及び閲覧について準用する。この場合において、第一項中「書類」とあるのは「書類の写し」と、第二項中「限る。)」とあるのは「限る。)の写し」と、前項中「五年間」とあるのは「三年間」と、「事業報告書等」とあるのは「事業報告書等の写し」と、「監査報告書」とあるのは「監査報告書の写し」と読み替えるものとする。

〇第五十二条 医療法人は、厚生労働省令で定めるところにより、毎会計年度終了後三月以内に、次に掲げる書類を都道府県知事に届け出なければならない。

一 事業報告書等

二 監事の監査報告書

三 第五十一条第二項の医療法人にあっては、公認会計士等の監査報告書

2 都道府県知事は、定款若しくは寄附行為又は前項の届出に係る書類について請求があつた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、これを閲覧に供しなければならない。

〇第五十三条 医療法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。ただし、定款又は寄附行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。

〇第五十四条 医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。

◎第五節 社会医療法人債

(省略)

◎第六節 定款及び寄附行為の変更

〇第五十四条の九 社団たる医療法人が定款を変更するには、社員総会の決議によらなければならない。

2 財団たる医療法人が寄附行為を変更するには、あらかじめ、評議員会の意見を聴かなければならない。

3 定款又は寄附行為の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

4 都道府県知事は、前項の規定による認可の申請があつた場合には、第四十五条第一項に規定する事項及び定款又は寄附行為の変更の手続が法令又は定款若しくは寄附行為に違反していないかどうかを審査した上で、その認可を決定しなければならない。

5 医療法人は、第三項の厚生労働省令で定める事項に係る定款又は寄附行為の変更をしたときは、遅滞なく、その変更した定款又は寄附行為を都道府県知事に届け出なければならない。

6 第四十四条第五項の規定は、定款又は寄附行為の変更により、残余財産の帰属すべき者に関する規定を設け、又は変更する場合について準用する。

◎第七節 解散及び清算

〇第五十五条 社団たる医療法人は、次の事由によって解散する。

一 定款をもつて定めた解散事由の発生

二 目的たる業務の成功の不能

三 社員総会の決議

四 他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る。次条第一項及び第五十六条の三において同じ。)

五 社員の欠亡

六 破産手続開始の決定

七 設立認可の取消し

2 社団たる医療法人は、総社員の四分の三以上の賛成がなければ、前項第三号の社員総会の決議をすることができない。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。

3 財団たる医療法人は、次に掲げる事由によって解散する。

一 寄附行為をもつて定めた解散事由の発生

二 第一項第二号、第四号、第六号又は第七号に掲げる事由

4 医療法人がその債務につきその財産をもつて完済することができなくなった場合には、裁判所は、理事若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。

5 前項に規定する場合には、理事は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

6 第一項第二号又は第三号に掲げる事由による解散は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

7 都道府県知事は、前項の認可をし、又は認可をしない処分をするに当たっては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。

8 清算人は、第一項第一号若しくは第五号又は第三項第一号に掲げる事由によって医療法人が解散した場合には、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

〇第五十六条 解散した医療法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、定款又は寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。

2 前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

〇第五十六条の二 解散した医療法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

〇第五十六条の三 医療法人が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、又は社員総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。

〇第五十六条の四 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。

〇第五十六条の五 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。

〇第五十六条の六 清算中に就職した清算人は、その氏名及び住所を都道府県知事に届け出なければならない。

〇第五十六条の七 清算人の職務は、次のとおりとする。

一 現務の結了

二 債権の取立て及び債務の弁済

三 残余財産の引渡し

2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

〇第五十六条の八 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。

2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、判明している債権者を除斥することができない。

3 清算人は、判明している債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4 第一項の公告は、官報に掲載してする。

〇第五十六条の九 前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、医療法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

〇第五十六条の十 清算中に医療法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。

2 清算人は、清算中の医療法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。

3 前項に規定する場合において、清算中の医療法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

〇第五十六条の十一 清算が結了したときは、清算人は、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

〇第五十六条の十二 医療法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。

2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

3 医療法人の解散及び清算を監督する裁判所は、都道府県知事に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。

4 前項に規定する都道府県知事は、同項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。

〇第五十六条の十三 医療法人の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

〇第五十六条の十四 清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

〇第五十六条の十五 裁判所は、第五十六条の四の規定により清算人を選任した場合には、医療法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。

〇第五十六条の十六 裁判所は、医療法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。

2 前二条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。この場合において、前条中「清算人及び監事」とあるのは、「医療法人及び検査役」と読み替えるものとする。

◎第八節 合併及び分割

◎第一款 合併

◎第一目 通則

〇第五十七条 医療法人は、他の医療法人と合併をすることができる。この場合においては、合併をする医療法人は、合併契約を締結しなければならない。

◎第二目 吸収合併

〇第五十八条 医療法人が吸収合併(医療法人が他の医療法人とする合併であって、合併により消滅する医療法人の権利義務の全部を合併後存続する医療法人に承継させるものをいう。以下この目において同じ。)をする場合には、吸収合併契約において、吸収合併後存続する医療法人(以下この目において「吸収合併存続医療法人」という。)及び吸収合併により消滅する医療法人(以下この目において「吸収合併消滅医療法人」という。)の名称及び主たる事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項を定めなければならない。

〇第五十八条の二 社団たる医療法人は、吸収合併契約について当該医療法人の総社員の同意を得なければならない。

2 財団たる医療法人は、寄附行為に吸収合併をすることができる旨の定めがある場合に限り、吸収合併をすることができる。

3 財団たる医療法人は、吸収合併契約について理事の三分の二以上の同意を得なければならない。ただし、寄附行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。

4 吸収合併は、都道府県知事(吸収合併存続医療法人の主たる事務所の所在地の都道府県知事をいう。)の認可を受けなければ、その効力を生じない。

5 第五十五条第七項の規定は、前項の認可について準用する。

〇第五十八条の三 医療法人は、前条第四項の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。

2 医療法人は、前条第四項の認可を受けた吸収合併に係る合併の登記がされるまでの間、前項の規定により作成した財産目録及び貸借対照表を主たる事務所に備え置き、その債権者から請求があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、これを閲覧に供しなければならない。

〇第五十八条の四 医療法人は、前条第一項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。ただし、その期間は、二月を下ることができない。

2 債権者が前項の期間内に吸収合併に対して異議を述べなかつたときは、吸収合併を承認したものとみなす。

3 債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。以下同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、吸収合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

〇第五十八条の五 吸収合併存続医療法人は、吸収合併消滅医療法人の権利義務(当該医療法人がその行う事業に関し行政庁の許可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

〇第五十八条の六 吸収合併は、吸収合併存続医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令で定めるところにより合併の登記をすることによって、その効力を生ずる。

◎第三目 新設合併

〇第五十九条 二以上の医療法人が新設合併(二以上の医療法人がする合併であって、合併により消滅する医療法人の権利義務の全部を合併により設立する医療法人に承継させるものをいう。以下この目において同じ。)をする場合には、新設合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 新設合併により消滅する医療法人(以下この目において「新設合併消滅医療法人」という。)の名称及び主たる事務所の所在地

二 新設合併により設立する医療法人(以下この目において「新設合併設立医療法人」という。)の目的、名称及び主たる事務所の所在地

三 新設合併設立医療法人の定款又は寄附行為で定める事項

四 前三号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項

〇第五十九条の二 第五十八条の二から第五十八条の四までの規定は、医療法人が新設合併をする場合について準用する。この場合において、第五十八条の二第一項及び第三項中「吸収合併契約」とあるのは「新設合併契約」と、同条第四項中「吸収合併存続医療法人」とあるのは「新設合併設立医療法人」と読み替えるものとする。

〇第五十九条の三 新設合併設立医療法人は、新設合併消滅医療法人の権利義務(当該医療法人がその行う事業に関し行政庁の許可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

〇第五十九条の四 新設合併は、新設合併設立医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令で定めるところにより合併の登記をすることによって、その効力を生ずる。

〇第五十九条の五 第二節(第四十四条第二項、第四項及び第五項並びに第四十六条第二項を除く。)の規定は、新設合併設立医療法人の設立については、適用しない。

◎第二款 分割

◎第一目 吸収分割

〇第六十条 医療法人(社会医療法人その他の厚生労働省令で定める者を除く。以下この款において同じ。)は、吸収分割(医療法人がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の医療法人に承継させることをいう。以下この目において同じ。)をすることができる。この場合においては、当該医療法人がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該医療法人から承継する医療法人(以下この目において「吸収分割承継医療法人」という。)との間で、吸収分割契約を締結しなければならない。

〇第六十条の二 医療法人が吸収分割をする場合には、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 吸収分割をする医療法人(以下この目において「吸収分割医療法人」という。)及び吸収分割承継医療法人の名称及び主たる事務所の所在地

二 吸収分割承継医療法人が吸収分割により吸収分割医療法人から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務に関する事項

三 前二号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項

〇第六十条の三 社団たる医療法人は、吸収分割契約について当該医療法人の総社員の同意を得なければならない。

2 財団たる医療法人は、寄附行為に吸収分割をすることができる旨の定めがある場合に限り、吸収分割をすることができる。

3 財団たる医療法人は、吸収分割契約について理事の三分の二以上の同意を得なければならない。ただし、寄附行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。

4 吸収分割は、都道府県知事(吸収分割医療法人及び吸収分割承継医療法人の主たる事務所の所在地が二以上の都道府県の区域内に所在する場合にあっては、当該吸収分割医療法人及び吸収分割承継医療法人の主たる事務所の所在地の全ての都道府県知事)の認可を受けなければ、その効力を生じない。

5 第五十五条第七項の規定は、前項の認可について準用する。

〇第六十条の四 医療法人は、前条第四項の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作成しなければならない。

2 医療法人は、前条第四項の認可を受けた吸収分割に係る分割の登記がされるまでの間、前項の規定により作成した財産目録及び貸借対照表を主たる事務所に備え置き、その債権者から請求があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、これを閲覧に供しなければならない。

〇第六十条の五 医療法人は、前条第一項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。ただし、その期間は、二月を下ることができない。

2 債権者が前項の期間内に吸収分割に対して異議を述べなかったときは、吸収分割を承認したものとみなす。

3 債権者が異議を述べたときは、医療法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、吸収分割をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

〇第六十条の六 吸収分割承継医療法人は、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割医療法人の権利義務(当該医療法人がその行う事業の用に供する施設に関しこの法律の規定による許可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

2 前項の規定にかかわらず、吸収分割医療法人の債権者であって、前条第一項の各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割医療法人に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割医療法人に対して、吸収分割医療法人が次条の分割の登記のあった日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

3 第一項の規定にかかわらず、吸収分割医療法人の債権者であって、前条第一項の各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割承継医療法人に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割承継医療法人に対して、その承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

〇第六十条の七 吸収分割は、吸収分割承継医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令で定めるところにより分割の登記をすることによって、その効力を生ずる。

◎第二目 新設分割

〇第六十一条 一又は二以上の医療法人は、新設分割(一又は二以上の医療法人がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する医療法人に承継させることをいう。以下この目において同じ。)をすることができる。この場合においては、新設分割計画を作成しなければならない。

2 二以上の医療法人が共同して新設分割をする場合には、当該二以上の医療法人は、共同して新設分割計画を作成しなければならない。

〇第六十一条の二 一又は二以上の医療法人が新設分割をする場合には、新設分割計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 新設分割により設立する医療法人(以下この目において「新設分割設立医療法人」という。)の目的、名称及び主たる事務所の所在地

二 新設分割設立医療法人の定款又は寄附行為で定める事項

三 新設分割設立医療法人が新設分割により新設分割をする医療法人(以下この目において「新設分割医療法人」という。)から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務に関する事項

四 前三号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項

〇第六十一条の三 第六十条の三から第六十条の五までの規定は、医療法人が新設分割をする場合について準用する。この場合において、第六十条の三第一項及び第三項中「吸収分割契約」とあるのは「新設分割計画」と、同条第四項中「吸収分割医療法人」とあるのは「新設分割医療法人」と、「吸収分割承継医療法人」とあるのは「新設分割設立医療法人」と読み替えるものとする。

〇第六十一条の四 新設分割設立医療法人は、新設分割計画の定めに従い、新設分割医療法人の権利義務(当該医療法人がその行う事業の用に供する施設に関しこの法律の規定による許可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

2 前項の規定にかかわらず、新設分割医療法人の債権者であって、前条において準用する第六十条の五第一項の各別の催告を受けなかつたものは、新設分割計画において新設分割後に新設分割医療法人に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割医療法人に対して、新設分割医療法人が次条の分割の登記のあった日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

3 第一項の規定にかかわらず、新設分割医療法人の債権者であって、前条において準用する第六十条の五第一項の各別の催告を受けなかったものは、新設分割計画において新設分割後に新設分割設立医療法人に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、新設分割設立医療法人に対して、その承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

〇第六十一条の五 新設分割は、新設分割設立医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令で定めるところにより分割の登記をすることによって、その効力を生ずる。

〇第六十一条の六 第二節(第四十四条第二項、第四項及び第五項並びに第四十六条第二項を除く。)の規定は、新設分割設立医療法人の設立については、適用しない。

◎第三目 雑則

〇第六十二条 会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成十二年法律第百三号)第二条から第八条まで(第二条第三項各号及び第四条第三項各号を除く。)及び商法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十号)附則第五条第一項の規定は、この款の規定により医療法人が分割をする場合について準用する。この場合において、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律第二条第一項及び第二項中「承継会社等」とあるのは「承継医療法人等」と、同項中「分割会社」とあるのは「分割医療法人」と、同条第三項中「次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める」とあるのは「医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十条の三第四項の認可の通知又は同法第六十一条の三において読み替えて準用する同法第六十条の三第四項の認可の通知のあった日から起算して、二週間を経過する」と、同法第三条から第八条まで(第四条第三項を除く。)の規定中「分割会社」とあるのは「分割医療法人」と、「承継会社等」とあるのは「承継医療法人等」と、同法第四条第三項中「次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に」とあるのは「医療法第六十条の三第四項の認可を受けた吸収分割又は同法第六十一条の三において読み替えて準用する同法第六十条の三第四項の認可を受けた新設分割に係る分割の登記のあった日の前日までの日で分割医療法人が」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

〇第六十二条の二 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百九十八条の九第三項から第五項まで並びに第三百九十八条の十第一項及び第二項の規定は、この款の規定により医療法人が分割をする場合について準用する。この場合において、同法第三百九十八条の九第三項中「前二項」とあるのは「医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十二条の二において準用する次条第一項又は第二項」と、「前項」とあるのは「同項」と読み替えるものとする。

◎第三款 雑則

〇第六十二条の三 この節に特に定めるもののほか、医療法人の合併及び分割に関し必要な事項は、政令で定める。

◎第九節 監督

〇第六十三条 都道府県知事は、医療法人の業務若しくは会計が法令、法令に基づく都道府県知事の処分、定款若しくは寄附行為に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、当該医療法人に対し、その業務若しくは会計の状況に関し報告を求め、又は当該職員に、その事務所に立ち入り、業務若しくは会計の状況を検査させることができる。

2 第六条の八第三項及び第四項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

〇第六十四条 都道府県知事は、医療法人の業務若しくは会計が法令、法令に基づく都道府県知事の処分、定款若しくは寄附行為に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該医療法人に対し、期限を定めて、必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

2 医療法人が前項の命令に従わないときは、都道府県知事は、当該医療法人に対し、期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は役員の解任を勧告することができる。

3 都道府県知事は、前項の規定により、業務の停止を命じ、又は役員の解任を勧告するに当たっては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。

〇第六十四条の二 都道府県知事は、社会医療法人が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、社会医療法人の認定を取り消し、又は期間を定めて収益業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第四十二条の二第一項各号に掲げる要件を欠くに至ったとき。

二 定款又は寄附行為で定められた業務以外の業務を行ったとき。

三 収益業務から生じた収益を当該社会医療法人が開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の経営に充てないとき。

四 収益業務の継続が、社会医療法人が開設する病院、診療所又は介護老人保健施設(指定管理者として管理する病院等を含む。)の業務に支障があると認めるとき。

五 不正の手段により第四十二条の二第一項の認定を受けたとき。

六 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。

2 都道府県知事は、前項の規定により認定を取り消すに当たっては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。

第六十五条 都道府県知事は、医療法人が、成立した後又はすべての病院、診療所及び介護老人保健施設を休止若しくは廃止した後一年以内に正当の理由がないのに病院、診療所又は介護老人保健施設を開設しないとき、又は再開しないときは、設立の認可を取り消すことができる。

第六十六条 都道府県知事は、医療法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基く都道府県知事の命令に違反した場合においては、他の方法により監督の目的を達することができないときに限り、設立の認可を取り消すことができる。

2 都道府県知事は、前項の規定により設立の認可を取り消すに当たっては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。

〇第六十六条の二 厚生労働大臣は、第六十四条第一項及び第二項、第六十四条の二第一項、第六十五条並びに前条第一項の規定による処分を行わないことが著しく公益を害するおそれがあると認めるときは、都道府県知事に対し、これらの規定による処分を行うべきことを指示することができる。

〇第六十六条の三 関係都道府県知事(医療法人が開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の所在地の都道府県知事であって、当該医療法人の主たる事務所の所在地の都道府県知事以外の者をいう。)は、当該医療法人に対して適当な措置をとることが必要であると認めるときは、当該医療法人の主たる事務所の所在地の都道府県知事に対し、その旨の意見を述べることができる。

〇第六十七条 都道府県知事は、第四十四条第一項、第五十五条第六項、第五十八条の二第四項(第五十九条の二において読み替えて準用する場合を含む。)若しくは第六十条の三第四項(第六十一条の三において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による認可をしない処分をし、又は第六十四条第二項の規定により役員の解任を勧告するに当たっては、当該処分の名宛人又は当該勧告の相手方に対し、その指名した職員又はその他の者に対して弁明する機会を与えなければならない。この場合においては、都道府県知事は、当該処分の名宛人又は当該勧告の相手方に対し、あらかじめ、書面をもつて、弁明をするべき日時、場所及び当該処分又は当該勧告をするべき事由を通知しなければならない。

2 前項の通知を受けた者は、代理人を出頭させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。

3 第一項の規定による弁明の聴取をした者は、聴取書を作り、これを保存するとともに、報告書を作成し、かつ、当該処分又は当該勧告をする必要があるかどうかについて都道府県知事に意見を述べなければならない。

〇第六十八条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四条、第百五十八条及び第百六十四条並びに会社法第六百六十二条、第六百六十四条、第八百六十八条第一項、第八百七十一条、第八百七十四条(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十五条及び第八百七十六条の規定は、医療法人について準用する。この場合において、同法第六百六十四条中「社員に分配する」とあるのは「残余財産の帰属すべき者又は国庫に帰属させる」と、同法八百六十八条第一項中「本店」とあるのは「主たる事務所」と読み替えるものとする。

〇第六十九条 この章に特に定めるもののほか、医療法人の監督に関し必要な事項は、政令で定める。

◎第七章 地域医療連携推進法人

(省略)

◎第八章 雑則

(省略)

◎第九章 罰則

〇第七十七条 社会医療法人の役員が、自己若しくは第三者の利益を図り又は社会医療法人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該社会医療法人に財産上の損害を加えたときは、七年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

(第七十八条から第九十二条まで 省略)

〇第九十三条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、医療法人の理事、監事若しくは清算人又は地域医療連携推進法人の理事、監事若しくは清算人は、これを二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

一 この法律に基づく政令の規定による登記をすることを怠ったとき。

二 第四十六条第二項の規定による財産目録の備付けを怠り、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。

三 第四十六条の三の六において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第五十七条第二項から第四項まで、第四十六条の四の七において準用する同法第百九十三条第二項から第四項まで若しくは第四十六条の七の二第一項において準用する同法第九十七条第一項から第三項までの規定による議事録の備付けを怠り、これに記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をし、又はこれらの規定による閲覧若しくは謄写を拒んだとき。

四 第五十一条の三(第七十条の十四において準用する場合を含む。)の規定による公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。

五 第五十一条の四第一項(同条第四項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)、第二項(同条第四項(第七十条の十四において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)及び第七十条の十四において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)若しくは第三項(第五十一条の四第四項及び第七十条の十四において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による書類の備付けを怠り、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当の理由がないのに第五十一条の四第一項若しくは第二項の規定による閲覧を拒んだとき。

六 第五十二条第一項(第七十条の十四において準用する場合を含む。)又は第五十四条の九第五項(第七十条の十八第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

七 第五十四条(第七十条の十四において準用する場合を含む。)の規定に違反して剰余金の配当をしたとき。

八 第五十五条第五項又は第五十六条の十第一項(これらの規定を第七十条の十五において準用する場合を含む。)の規定による破産手続開始の申立てを怠ったとき。

九 第五十六条の八第一項又は第五十六条の十第一項(これらの規定を第七十条の十五において準用する場合を含む。)の規定による公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。

十 第五十八条の三第二項(第五十九条の二において準用する場合を含む。)又は第六十条の四第二項(第六十一条の三において準用する場合を含む。)の規定による書類の備付けを怠り、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又はこれらの規定による閲覧を拒んだとき。

十一 第五十八条の四第一項若しくは第三項(これらの規定を第五十九条の二において準用する場合を含む。)又は第六十条の五第一項若しくは第三項(これらの規定を第六十一条の三において準用する場合を含む。)の規定に違反して、吸収合併、新設合併、吸収分割又は新設分割をしたとき。

十二 第六十三条第一項(第七十条の二十において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

十三 第六十四条第二項(第七十条の二十において準用する場合を含む。)又は第六十四条の二第一項の規定による命令に違反して業務を行ったとき。

〇第九十四条 第四十条又は第七十条の五第四項若しくは第五項の規定に違反した者は、これを十万円以下の過料に処する。

 

医療法施行規則のご案内

医療法施行規則の条文(一部抜粋)をご案内します。ご参考になれば幸いです。

◇医療法施行規則(抄)

第五章 医療法人

第一節 通則(第三十条の三十四―第三十条の三十九)

第二節 設立(第三十一条・第三十一条の二)

第三節 機関

第一款 社員総会(第三十一条の三―第三十一条の三の四)

第二款 評議員及び評議員会(第三十一条の四・第三十一条の四の二)

第三款 役員等(第三十一条の五―第三十二条の四)

第四節 計算(第三十二条の五―第三十三条の二の十二)

第五節 社会医療法人債(第三十三条の三―第三十三条の二十四)

第六節 定款及び寄附行為の変更(第三十三条の二十五・第三十三条の二十六)

第七節 解散及び清算(第三十四条)

第八節 合併及び分割

第一款 合併

第一目 吸収合併(第三十五条―第三十五条の三)

第二目 新設合併(第三十五条の四・第三十五条の五)

第二款 分割

第一目 吸収分割(第三十五条の六―第三十五条の九)

第二目 新設分割(第三十五条の十・第三十五条の十一)

第九節 雑則(第三十六条―第三十九条)

第六章 地域医療連携推進法人(第三十九条の二―第三十九条の三十)

第七章 雑則(第四十条―第四十三条の四)

第五章 医療法人

◎第一節 通則

(医療法人の資産)

〇第三十条の三十四 医療法人は、その開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の業務を行うために必要な施設、設備又は資金を有しなければならない。

(基金)

〇第三十条の三十七 社団である医療法人(持分の定めのあるもの、法第四十二条の二第一項に規定する社会医療法人及び租税特別措置法第六十七条の二第一項に規定する特定の医療法人を除く。社団である医療法人の設立前にあっては、設立時社員。)は、基金(社団である医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該社団である医療法人が拠出者に対して本条及び次条並びに当該医療法人と当該拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価額に相当する金銭の返還義務)を負うものをいう。以下同じ。)を引き受ける者の募集をすることができる旨を定款で定めることができる。この場合においては、次に掲げる事項を定款で定めなければならない。

一 基金の拠出者の権利に関する規定

二 基金の返還の手続

2 前項の基金の返還に係る債権には、利息を付することができない。

〇第三十条の三十八 基金の返還は、定時社員総会の決議によって行わなければならない。

2 社団である医療法人は、ある会計年度に係る貸借対照表上の純資産額が次に掲げる金額の合計額を超える場合においては、当該会計年度の次の会計年度に関する定時社員総会の日の前日までの間に限り、当該超過額を返還の総額の限度として基金の返還をすることができる。

一 基金(次項の代替基金を含む。)の総額

二 資産につき時価を基準として評価を行っている場合において、その時価の総額がその取得価額の総額を超えるときは、時価を基準として評価を行ったことにより増加した貸借対照表上の純資産額

3 基金の返還をする場合には、返還をする基金に相当する金額を代替基金として計上しなければならない。

4 前項の代替基金は、取り崩すことができない。

(持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行)

〇第三十条の三十九 社団である医療法人で持分の定めのあるものは、定款を変更して、社団である医療法人で持分の定めのないものに移行することができる。

2 社団である医療法人で持分の定めのないものは、社団である医療法人で持分の定めのあるものへ移行できないものとする。

◎第二節 設立

(設立の認可の申請)

〇第三十一条 法第四十四条第一項の規定により、医療法人設立の認可を受けようとする者は、申請書に次の書類を添付して、その主たる事務所の所在地の都道府県知事(以下単に「都道府県知事」という。)に提出しなければならない。

一 定款又は寄附行為

二 設立当初において当該医療法人に所属すべき財産の財産目録

三 設立決議録

四 不動産その他の重要な財産の権利の所属についての登記所、銀行等の証明書類

五 当該医療法人の開設しようとする病院、法第三十九条第一項に規定する診療所又は介護老人保健施設の診療科目、従業者の定員並びに敷地及び建物の構造設備の概要を記載した書類

六 法第四十二条第四号又は第五号に掲げる業務を行おうとする医療法人にあっては、当該業務に係る施設の職員、敷地及び建物の構造設備の概要並びに運営方法を記載した書類

七 設立後二年間の事業計画及びこれに伴う予算書

八 設立者の履歴書

九 設立代表者を定めたときは、適法に選任されたこと並びにその権限を証する書類

十 役員の就任承諾書及び履歴書

十一 開設しようとする病院、診療所又は介護老人保健施設の管理者となるべき者の氏名を記載した書面

(残余財産の帰属すべき者となることができる者)

〇第三十一条の二 法第四十四条第五項に規定する厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとする。

一 法第三十一条に定める公的医療機関の開設者又はこれに準ずる者として厚生労働大臣が認めるもの

二 財団である医療法人又は社団である医療法人であって持分の定めのないもの

◎第三節 機関

◎第一款 社員総会

(法第四十六条の三の四の厚生労働省令で定める場合)

〇第三十一条の三 法第四十六条の三の四に規定する厚生労働省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

一 社員が説明を求めた事項について説明をすることにより社員の共同の利益を著しく害する場合

二 社員が説明を求めた事項について説明をするために調査をすることが必要である場合(次に掲げる場合を除く。)

イ 当該社員が社員総会の日より相当の期間前に当該事項を医療法人に対して通知した場合

ロ 当該事項について説明をするために必要な調査が著しく容易である場合

三 社員が説明を求めた事項について説明をすることにより医療法人その他の者(当該社員を除く。)の権利を侵害することとなる場合

四 社員が当該社員総会において実質的に同一の事項について繰り返して説明を求める場合

五 前各号に掲げる場合のほか、社員が説明を求めた事項について説明をしないことにつき正当な理由がある場合

(社員総会の議事録)

〇第三十一条の三の二 法第四十六条の三の六において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第五十七条第一項の規定による社員総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。

2 社員総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもつて作成しなければならない。

3 社員総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。

一 社員総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事又は社員が社員総会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)

二 社員総会の議事の経過の要領及びその結果

三 決議を要する事項について特別の利害関係を有する社員があるときは、当該社員の氏名

四 次に掲げる規定により社員総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要

イ 法第四十六条の五の四において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第一項

ロ 法第四十六条の五の四において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第二項

ハ 法第四十六条の八第四号

ニ 法第四十六条の八第七号後段

ホ 法第四十六条の八の三において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百五条第三項

五 社員総会に出席した理事又は監事の氏名

六 社員総会の議長の氏名

七 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名

(法第四十六条の三の六において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第五十七条第三項の厚生労働省令で定める措置)

〇第三十一条の三の三 法第四十六条の三の六において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第五十七条第三項に規定する厚生労働省令で定める措置は、医療法人の使用に係る電子計算機を電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて医療法人の従たる事務所において使用される電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録するものによる措置とする。

(電磁的記録に記録された事項を表示する方法)

〇第三十一条の三の四 次に掲げる規定に規定する厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる規定の電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法とする。

一 法第四十六条の三の六において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第五十七条第四項第二号

二 法第四十六条の四の七において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十三条第四項第二号

三 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十七条第二項第二号

◎第二款 評議員及び評議員会

(評議員会の議事録)

〇第三十一条の四 法第四十六条の四の七において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十三条第一項の規定による評議員会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。

2 評議員会の議事録は、書面又は電磁的記録をもつて作成しなければならない。

3 評議員会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。

一 評議員会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事又は評議員が評議員会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)

二 評議員会の議事の経過の要領及びその結果

三 決議を要する事項について特別の利害関係を有する評議員があるときは、当該評議員の氏名

四 次に掲げる規定により評議員会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要

イ 法第四十六条の五の四において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第一項

ロ 法第四十六条の五の四において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第二項

ハ 法第四十六条の八第四号

ニ 法第四十六条の八第八号後段

ホ 法第四十六条の八の三において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百五条第三項

五 評議員会に出席した評議員、理事又は監事の氏名

六 評議員会の議長の氏名

七 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名

(社員総会の議事録に関する規定の準用)

〇第三十一条の四の二 第三十一条の三の三の規定は法第四十六条の四の七において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十三条第三項の厚生労働省令で定める措置について準用する。

◎第三款 役員等

(一人又は二人の理事を置く場合の認可の申請)

〇第三十一条の五 法第四十六条の五第一項ただし書の規定による認可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

一 当該医療法人の開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の数

二 常時勤務する医師又は歯科医師の数

三 理事を一人又は二人にする理由

(管理者の一部を理事に加えない場合の認可の申請)

〇第三十一条の五の二 法第四十六条の五第六項ただし書の規定による認可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

一 理事に加えない管理者の住所及び氏名

二 当該管理者が管理する病院、診療所又は介護老人保健施設の名称及び所在地

三 当該管理者を理事に加えない理由

2 前項に規定する申請書の提出と同時に、第三十三条の二十五第一項の規定により、いかなる者であるかを問わずその管理者を理事に加えないことができる病院、診療所又は介護老人保健施設を明らかにする旨の定款又は寄附行為の変更の認可の申請書の提出を行う場合は、前項第一号の記載を要しない。

(医師又は歯科医師でない理事のうちから理事長を選出する場合の認可の申請)

〇第三十一条の五の三 法第四十六条の六第一項ただし書の規定による認可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

一 当該理事の住所及び氏名

二 理事長を医師又は歯科医師でない理事のうちから選出する理由

(理事会の議事録)

〇第三十一条の五の四 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十五条第三項の規定による理事会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。

2 理事会の議事録は、書面又は電磁的記録をもつて作成しなければならない。

3 理事会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。

一 理事会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事又は監事が理事会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)

二 理事会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨

イ 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十三条第二項の規定による理事の請求を受けて招集されたもの

ロ 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十三条第三項の規定により理事が招集したもの

ハ 法第四十六条の八の二第二項の規定による監事の請求を受けて招集されたもの

ニ 法第四十六条の八の二第三項の規定により監事が招集したもの

三 理事会の議事の経過の要領及びその結果

四 決議を要する事項について特別の利害関係を有する理事があるときは、当該理事の氏名

五 次に掲げる規定により理事会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要

イ 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十二条第二項

ロ 法第四十六条の八第四号

ハ 法第四十六条の八の二第一項

六 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十五条第三項の定款又は寄附行為の定めがあるときは、理事長以外の理事であつて、理事会に出席した者の氏名

七 理事会の議長が存するときは、議長の氏名

4 次の各号に掲げる場合には、理事会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。

一 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十六条の規定により理事会の決議があつたものとみなされた場合 次に掲げる事項

イ 理事会の決議があつたものとみなされた事項の内容

ロ イの事項の提案をした理事の氏名

ハ 理事会の決議があつたものとみなされた日

ニ 議事録の作成に係る職務を行つた理事の氏名

二 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十八条第一項の規定により理事会への報告を要しないものとされた場合 次に掲げる事項

イ 理事会への報告を要しないものとされた事項の内容

ロ 理事会への報告を要しないものとされた日

ハ 議事録の作成に係る職務を行つた理事の氏名

(電子署名)

〇第三十一条の五の五 法第四十六条の七の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十五条第四項の厚生労働省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。

2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。

二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

(監事の調査の対象)

〇第三十一条の五の六 法第四十六条の八第七号に規定する厚生労働省令で定めるものは、電磁的記録その他の資料とする。

(法第四十七条の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十三条第一項第二号の厚生労働省令で定める方法により算定される額)

〇第三十二条 法第四十七条の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十三条第一項第二号の厚生労働省令で定める方法により算定される額は、次に掲げる額の合計額とする。

一 理事又は監事がその在職中に報酬、賞与その他の職務執行の対価(当該理事が当該医療法人の職員を兼ねている場合における当該職員の報酬、賞与その他の職務執行の対価を含む。)として医療法人から受け、又は受けるべき財産上の利益(次号に定めるものを除く。)の額の会計年度(次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める日を含む会計年度及びその前の各会計年度に限る。)ごとの合計額(当該会計年度の期間が一年でない場合にあつては、当該合計額を一年当たりの額に換算した額)のうち最も高い額

イ 法第四十七条の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十三条第一項の社員総会の決議を行った場合 当該社員総会の決議の日

ロ 法第四十七条の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十四条第一項の規定による定款の定めに基づいて責任を免除する旨の理事会の決議を行った場合 当該決議のあつた日

ハ 法第四十七条の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十五条第一項の契約を締結した場合 責任の原因となる事実が生じた日(二以上の日がある場合にあつては、最も遅い日)

二 イに掲げる額をロに掲げる数で除して得た額

イ 次に掲げる額の合計額

(1) 当該理事又は監事が当該医療法人から受けた退職慰労金の額

(2) 当該理事が当該医療法人の職員を兼ねていた場合における当該職員としての退職手当のうち当該理事を兼ねていた期間の職務執行の対価である部分の額

(3) (1)又は(2)に掲げるものの性質を有する財産上の利益の額

ロ 当該理事又は監事がその職に就いていた年数(当該理事又は監事が次に掲げるものに該当する場合における次に定める数が当該年数を超えている場合にあっては、当該数)

(1) 理事長 六

(2) 理事長以外の理事であって、当該医療法人の職員である者 四

(3) 理事((1)及び(2)に掲げる者を除く。)又は監事 二

2 財団たる医療法人について前項の規定を適用する場合においては、同項中「理事又は監事」とあるのは「評議員又は理事若しくは監事」と、「社員総会」とあるのは「評議員会」と、同項第一号ロ中「定款」とあるのは「寄附行為」と、同項第二号ロ中「理事」とあるのは「評議員又は理事」と、「又は監事」とあるのは「若しくは監事」と読み替えるものとする。

(法第四十七条の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十三条第四項の厚生労働省令で定める財産上の利益)

〇第三十二条の二 法第四十七条の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十三条第四項(法第四十七条の二第一項において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百十四条第五項及び第百十五条第五項において準用する場合を含む。)の厚生労働省令で定める財産上の利益は、次に掲げるものとする。

一 退職慰労金

二 当該理事が当該医療法人の職員を兼ねていたときは、当該職員としての退職手当のうち当該理事を兼ねていた期間の職務執行の対価である部分

三 前二号に掲げるものの性質を有する財産上の利益

(法第四十九条の二において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百七十八条第一項の厚生労働省令で定める方法)

〇第三十二条の三 法第四十九条の二において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百七十八条第一項の厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる事項を記載した書面の提出又は当該事項の電磁的方法による提供とする。

一 被告となるべき者

二 請求の趣旨及び請求を特定するのに必要な事実

(法第四十九条の二において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百七十八条第三項の厚生労働省令で定める方法)

〇第三十二条の四 法第四十九条の二において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百七十八条第三項の厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる事項を記載した書面の提出又は当該事項の電磁的方法による提供とする。

一 医療法人が行った調査の内容(次号の判断の基礎とした資料を含む。)

二 請求対象者(理事又は監事であって、法第四十九条の二において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百七十八条第一項の規定による請求に係る前条第一号に掲げる者をいう。次号において同じ。)の責任又は義務の有無についての判断及びその理由

三 請求対象者に責任又は義務があると判断した場合において、責任追及の訴え(法第四十九条の二において読み替えて準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第二百七十八条第一項に規定する責任追及の訴えをいう。)を提起しないときは、その理由

◎第四節 計算

(会計帳簿の作成)

〇第三十二条の五 法第五十条の二第一項の規定により作成すべき会計帳簿は、書面又は電磁的記録をもつて作成しなければならない。

(法第五十一条第一項の厚生労働省令で定める特殊の関係)

〇第三十二条の六 法第五十一条第一項の厚生労働省令で定める特殊の関係は、第一号に掲げる者が当該医療法人と第二号に掲げる取引を行う場合における当該関係とする。

一 次のいずれかに該当する者

イ 当該医療法人の役員又はその近親者(配偶者又は二親等内の親族をいう。ロ及びハにおいて同じ。)

ロ 当該医療法人の役員又はその近親者が代表者である法人

ハ 当該医療法人の役員又はその近親者が株主総会若しくは社員総会若しくは評議員会又は取締役会若しくは理事会の議決権の過半数を占めている法人

ニ 他の法人の役員が当該医療法人の社員総会若しくは評議員会又は理事会の議決権の過半数を占めている場合における当該他の法人

ホ ハの法人の役員が他の法人(当該医療法人を除く。)の株主総会若しくは社員総会若しくは評議員会又は取締役会若しくは理事会の議決権の過半数を占めている場合における他の法人

二 次のいずれかに該当する取引

イ 事業収益又は事業費用の額が、一千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における本来業務事業収益、附帯業務事業収益及び収益業務事業収益の総額又は本来業務事業費用、附帯業務事業費用及び収益業務事業費用の総額の十パーセント以上を占める取引

ロ 事業外収益又は事業外費用の額が、一千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業外収益又は事業外費用の総額の十パーセント以上を占める取引

ハ 特別利益又は特別損失の額が一千万円以上である取引

ニ 資産又は負債の総額が、当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の一パーセント以上を占め、かつ一千万円を超える残高になる取引

ホ 資金貸借、有形固定資産及び有価証券の売買その他の取引の総額が、一千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の一パーセント以上を占める取引

ヘ 事業の譲受又は譲渡の場合にあっては、資産又は負債の総額のいずれか大きい額が、一千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の一パーセント以上を占める取引

(法第五十一条第一項の厚生労働省令で定める書類等)

〇第三十三条 法第五十一条第一項に規定する厚生労働省令で定める書類は次に掲げる書類とする。

一 社会医療法人については、法第四十二条の二第一項第一号から第六号までの要件に該当する旨を説明する書類

二 社会医療法人債発行法人(法第五十四条の二第一項に規定する社会医療法人債を発行した医療法人をいい、当該社会医療法人債の総額について償還済みであるものを除く。次項及び次条第三号において同じ。)については次に掲げる書類

イ 前号に掲げる書類(当該社会医療法人債発行法人が社会医療法人である場合に限る。)

ロ 純資産変動計算書、キャッシュ・フロー計算書及び附属明細表

三 法第五十一条第二項に規定する医療法人については純資産変動計算書及び附属明細表

2 社会医療法人債発行法人は、法第五十一条第一項の規定に基づき、同項に規定する事業報告書等(以下単に「事業報告書等」という。)のうち、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び前項第二号ロに掲げる書類を作成するに当たっては、別に厚生労働省令で定めるところにより作成するものとする。

(法第五十一条第二項の厚生労働省令で定める基準に該当する者)

〇第三十三条の二 法第五十一条第二項の厚生労働省令で定める基準に該当する者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。

一 最終会計年度(事業報告書等につき法第五十一条第六項の承認を受けた直近の会計年度をいう。以下この号及び次号において同じ。)に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が五十億円以上又は最終会計年度に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が七十億円以上である医療法人

二 最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二十億円以上又は最終会計年度に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が十億円以上である社会医療法人

三 社会医療法人債発行法人である社会医療法人

(監事及び公認会計士等の監査)

〇第三十三条の二の二 法第五十一条第四項及び第五項の規定による監査については、この条から第三十三条の二の六までに定めるところによる。

2 前項に規定する監査には、公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第二条第一項に規定する監査のほか、貸借対照表及び損益計算書に表示された情報と貸借対照表及び損益計算書に表示すべき情報との合致の程度を確かめ、かつ、その結果を利害関係者に伝達するための手続を含むものとする。

(監事の監査報告書の内容)

〇第三十三条の二の三 法第五十一条第四項の監事(以下単に「監事」という。)は、事業報告書等を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監事の監査報告書(法第五十一条の四第一項第二号に規定する監事の監査報告書をいう。以下この条及び次条において同じ。)を作成しなければならない。

一 監事の監査の方法及びその内容

二 事業報告書等が法令に準拠して作成されているかどうかについての意見

三 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由

四 監事の監査報告書を作成した日

(監事の監査報告書の通知期限等)

〇第三十三条の二の四 監事は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、法第五十一条の二第一項の理事(この条及び第三十三条の二の六において単に「理事」という。)に対し、監事の監査報告書の内容を通知しなければならない。

一 事業報告書等を受領した日から四週間を経過した日

二 当該理事及び当該監事が合意により定めた日があるときは、その日

(公認会計士等の監査報告書の内容)

〇第三十三条の二の五 法第五十一条第五項の公認会計士又は監査法人(以下この条及び次条において「公認会計士等」という。)は、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする公認会計士等の監査報告書(法第五十一条の四第二項第二号に規定する公認会計士等の監査報告書をいう。以下この項及び次条において同じ。)を作成しなければならない。

一 公認会計士等の監査の方法及びその内容

二 財産目録、貸借対照表及び損益計算書が法令に準拠して作成されているかどうかについての意見

三 前号の意見がないときは、その旨及びその理由

四 追記情報

五 公認会計士等の監査報告書を作成した日

2 前項第四号の「追記情報」とは、次に掲げる事項その他の事項のうち、公認会計士等の判断に関して説明を付す必要がある事項又は財産目録、貸借対照表及び損益計算書の内容のうち強調する必要がある事項とする。

一 正当な理由による会計方針の変更

二 重要な偶発事象

三 重要な後発事象

(公認会計士等の監査報告書の通知期限等)

〇第三十三条の二の六 公認会計士等は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、理事及び監事に対し、公認会計士等の監査報告書の内容を通知しなければならない。

一 財産目録、貸借対照表及び損益計算書を受領した日から四週間を経過した日

二 当該理事、当該監事及び当該公認会計士等が合意により定めた日があるときは、その日

2 財産目録、貸借対照表及び損益計算書について、理事及び監事が前項の規定による公認会計士等の監査報告書の内容の通知を受けた日に、法第五十一条第二項の医療法人は、公認会計士等の監査を受けたものとする。

3 公認会計士等が第一項の規定により通知をすべき日までに同項の規定による公認会計士等の監査報告書の内容の通知をしない場合には、前項の規定にかかわらず、当該通知をすべき日に、財産目録、貸借対照表及び損益計算書について、法第五十一条第二項の医療法人は、公認会計士等の監査を受けたものとする。

(事業報告書等の提供方法)

〇第三十三条の二の七 社団たる医療法人の理事は、社員に対し法第五十一条の二第一項の社員総会の招集の通知を電磁的方法により発するときは、同項の規定による事業報告書等の提供に代えて、当該事業報告書等に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、この場合においても、社員の請求があつたときは、当該事業報告書等を当該社員に提供しなければならない。

2 前項の規定は、財団たる医療法人について準用する。この場合において、同項中「社員」とあるのは「評議員」と読み替えるものとする。

(法第五十一条の三の厚生労働省令で定める基準に該当する者)

〇第三十三条の二の八 法第五十一条の三の厚生労働省令で定める基準に該当する者は、次に掲げる者とする。

一 第三十三条の二第一号に規定する医療法人

二 社会医療法人

(公告方法)

〇第三十三条の二の九 法第五十一条の三に規定する医療法人は、同条の規定による公告の方法として、次に掲げる方法のいずれかを定めることができる。

一 官報に掲載する方法

二 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

三 電子公告(公告方法のうち、電磁的方法により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって、インターネットに接続された自動公衆送信装置を使用するものによる措置を採る方法をいう。以下同じ。)

(電子公告の公告期間)

〇第三十三条の二の十 医療法人が電子公告により公告をする場合には、法第五十一条の三の貸借対照表及び損益計算書について、法第五十一条の二第三項の承認をした社員総会又は同条第五項において読み替えて準用する同条第三項の承認をした評議員会の終結の日後三年を経過する日までの間、継続して電子公告による公告をしなければならない。

(書類の閲覧)

〇第三十三条の二の十一 法第五十一条の四第一項及び第二項の規定による書類の閲覧は、書面又は電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスクに記録されている事項を紙面又は主たる事務所に設置された入出力装置の映像面に表示する方法により行うものとする。

(事業報告書等の届出等)

〇第三十三条の二の十二 法第五十二条第一項の規定に基づく届出を行う場合には、同項各号に掲げる書類(第三十三条第一項第一号に規定する書類については、法第四十二条の二第一項第五号の要件に該当する旨を説明する書類、第三十条の三十五の三第一項第一号ニに規定する支給の基準を定めた書類及び同条第二項に規定する保有する資産の明細表に限る。)には、副本を添付しなければならない。

2 法第五十二条第二項の閲覧は、同条第一項の届出に係る書類(第三十三条第一項第一号に規定する書類については、法第四十二条の二第一項第五号の要件に該当する旨を説明する書類、第三十条の三十五の三第一項第一号ニに規定する支給の基準を定めた書類及び同条第二項に規定する保有する資産の明細表に限る。)であつて過去三年間に届け出られた書類について行うものとする。

◎第六節 定款及び寄附行為の変更

(定款及び寄附行為の変更の認可)

〇第三十三条の二十五 法第五十四条の九第三項の規定により定款又は寄附行為の変更の認可を受けようとするときは、申請書に次の書類を添付して、都道府県知事に提出しなければならない。

一 定款又は寄附行為変更の内容(新旧対照表を添付すること。)及びその事由を記載した書類

二 定款又は寄附行為に定められた変更に関する手続を経たことを証する書類

2 定款又は寄附行為の変更が、当該医療法人が新たに病院、法第三十九条第一項に規定する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする場合に係るものであるときは、前項各号の書類のほか、第三十一条第五号及び第十一号に掲げる書類並びに定款又は寄附行為変更後二年間の事業計画及びこれに伴う予算書を、前項の申請書に添付しなければならない。

3 定款又は寄附行為の変更が、当該医療法人が法第四十二条各号に掲げる業務を行う場合に係るものであるときは、第一項各号の書類のほか、第三十一条第六号に掲げる書類並びに定款又は寄附行為変更後二年間の事業計画及びこれに伴う予算書を、第一項の申請書に添付しなければならない。

4 定款又は寄附行為の変更が、社会医療法人である医療法人が法第四十二条の二第一項の収益業務を行う場合に係るものであるときは、第一項各号の書類のほか、収益業務の概要及び運営方法を記載した書類並びに定款又は寄附行為変更後二年間の事業計画及びこれに伴う予算書を、第一項の申請書に添付しなければならない。

(法第五十四条の九第三項の厚生労働省令で定める事項)

〇第三十三条の二十六 法第五十四条の九第三項の厚生労働省令で定める事項は、法第四十四条第二項第四号及び第十二号に掲げる事項とする。

◎第七節 解散及び清算

(解散の認可の申請)

〇第三十四条 法第五十五条第六項の規定により、解散の認可を受けようとするときは、申請書に次の書類を添付して、都道府県知事に提出しなければならない。

一 理由書

二 法、定款又は寄附行為に定められた解散に関する手続を経たことを証する書類

三 財産目録及び貸借対照表

四 残余財産の処分に関する事項を記載した書類

◎第八節 合併及び分割

◎第一款 合併

◎第一目 吸収合併

(法第五十八条の厚生労働省令で定める事項)

〇第三十五条 法第五十八条に規定する厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。

一 吸収合併存続医療法人(法第五十八条に規定する吸収合併存続医療法人をいう。以下この目において同じ。)の吸収合併(同条に規定する吸収合併をいう。以下この款において同じ。)後二年間の事業計画又はその要旨

二 吸収合併がその効力を生ずる日

(吸収合併の認可の申請)

〇第三十五条の二 法第五十八条の二第四項の規定により吸収合併の認可を受けようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、都道府県知事に提出しなければならない。

一 理由書

二 法第五十八条の二第一項又は第三項の手続を経たことを証する書類

三 吸収合併契約書の写し

四 吸収合併後の吸収合併存続医療法人の定款又は寄附行為

五 吸収合併前の吸収合併存続医療法人及び吸収合併消滅医療法人(法第五十八条に規定する吸収合併消滅医療法人をいう。次号において同じ。)の定款又は寄附行為

六 吸収合併前の吸収合併存続医療法人及び吸収合併消滅医療法人の財産目録及び貸借対照表

七 吸収合併存続医療法人に係る第三十一条第七号、第十号及び第十一号に掲げる書類(この場合において、同条第七号中「設立後」とあるのは「吸収合併後」と、第十号中「役員」とあるのは「新たに就任する役員」と読み替えるものとする。)

2 吸収合併前の医療法人のいずれもが持分の定めのある医療法人である場合であって、前項第四号の吸収合併存続医療法人の定款において残余財産の帰属すべき者に関する規定を設けるときは、法第四十四条第五項の規定にかかわらず、同項に規定する者以外の者を規定することができる。

(財産目録及び貸借対照表の閲覧の方法)

〇第三十五条の三 法第五十八条の三第二項の規定による書類の閲覧は、書面又は電磁的記録の当該ファイル又は磁気ディスクに記録されている事項を紙面又は当該事務所に設置された入出力装置の映像面に表示する方法により行うものとする。

◎第二目 新設合併

(法第五十九条第四号の厚生労働省令で定める事項)

〇第三十五条の四 法第五十九条第四号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。

一 新設合併設立医療法人(法第五十九条第二号に規定する新設合併設立医療法人をいう。)の新設合併(同条に規定する新設合併をいう。次条において同じ。)後二年間の事業計画又はその要旨

二 新設合併がその効力を生ずる日

(吸収合併に関する規定の準用)

〇第三十五条の五 第三十五条の二及び第三十五条の三の規定は、医療法人が新設合併をする場合について準用する。この場合において、第三十五条の二第一項中「第五十八条の二第四項」とあるのは「第五十九条の二において読み替えて準用する法第五十八条の二第四項」と、同項第二号中「第五十八条の二第一項」とあるのは「第五十九条の二において読み替えて準用する法第五十八条の二第一項」と、同項第三号中「吸収合併契約書」とあるのは「新設合併契約書」と、同項第四号中「吸収合併存続医療法人」とあるのは「新設合併設立医療法人(法第五十九条第二号に規定する新設合併設立医療法人をいう。第七号及び次項において同じ。)」と、同項第五号中「吸収合併存続医療法人及び吸収合併消滅医療法人(法第五十八条に規定する吸収合併消滅医療法人」とあるのは「新設合併消滅医療法人(法第五十九条第一号に規定する新設合併消滅医療法人」と、同項第六号中「吸収合併存続医療法人及び吸収合併消滅医療法人」とあるのは「新設合併消滅医療法人」と、同項第七号及び同条第二項中「吸収合併存続医療法人」とあるのは「新設合併設立医療法人」と、第三十五条の三中「第五十八条の三第二項」とあるのは「第五十九条の二において読み替えて準用する法第五十八条の三第二項」と読み替えるものとする。

◎第二款 分割

◎第一目 吸収分割

(法第六十条の厚生労働省令で定める者)

〇第三十五条の六 法第六十条の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。

一 社会医療法人

二 租税特別措置法第六十七条の二第一項に規定する特定の医療法人

三 持分の定めのある医療法人

四 法第四十二条の三第一項の規定による実施計画の認定を受けた医療法人

(法第六十条の二第三号の厚生労働省令で定める事項)

〇第三十五条の七 法第六十条の二第三号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。

一 吸収分割医療法人(法第六十条の二第一号に規定する吸収分割医療法人をいう。以下この目において同じ。)及び吸収分割承継医療法人(法第六十条に規定する吸収分割承継医療法人をいう。以下この目において同じ。)の吸収分割(同条に規定する吸収分割をいう。以下この款において同じ。)後二年間の事業計画又はその要旨

二 吸収分割がその効力を生ずる日

(吸収分割の認可の申請)

〇第三十五条の八 法第六十条の三第四項の規定により吸収分割の認可を受けようとするときは、申請書に次に掲げる書類を添付して、都道府県知事に提出しなければならない。

一 理由書

二 法第六十条の三第一項又は第三項の手続を経たことを証する書類

三 吸収分割契約書の写し

四 吸収分割後の吸収分割医療法人及び吸収分割承継医療法人の定款又は寄附行為

五 吸収分割前の吸収分割医療法人及び吸収分割承継医療法人の定款又は寄附行為

六 吸収分割前の吸収分割医療法人及び吸収分割承継医療法人の財産目録及び貸借対照表

七 吸収分割後の吸収分割医療法人及び吸収分割承継医療法人について、第三十一条第七号、第十号及び第十一号に掲げる書類(この場合において、同条第七号中「設立後」とあるのは「吸収分割後」と、第十号中「役員」とあるのは「新たに就任する役員」と読み替えるものとする。)

(財産目録及び貸借対照表の閲覧の方法)

〇第三十五条の九 法第六十条の四第二項の規定による書類の閲覧は、書面又は電磁的記録の当該ファイル又は磁気ディスクに記録されている事項を紙面又は当該事務所に設置された入出力装置の映像面に表示する方法により行うものとする。

◎第二目 新設分割

(法第六十一条の二第四号の厚生労働省令で定める事項)

〇第三十五条の十 法第六十一条の二第四号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。

一 新設分割医療法人(法第六十一条の二第三号に規定する新設分割医療法人をいう。)及び新設分割設立医療法人(同条第一号に規定する新設分割設立医療法人をいう。)の新設分割(法第六十一条第一項に規定する新設分割をいう。次条において同じ。)後二年間の事業計画又はその要旨

二 新設分割がその効力を生ずる日

(吸収分割に関する規定の準用)

〇第三十五条の十一 第三十五条の八及び第三十五条の九の規定は、医療法人が新設分割をする場合について準用する。この場合において、第三十五条の八中「第六十条の三第四項」とあるのは「第六十一条の三において読み替えて準用する法第六十条の三第四項」と、同条第二号中「第六十条の三第一項」とあるのは「第六十一条の三において読み替えて準用する法第六十条の三第一項」と、同条第三号中「吸収分割契約書」とあるのは「新設分割計画」と、同条第四号中「吸収分割医療法人」とあるのは「新設分割医療法人(法第六十一条の二第三号に規定する新設分割医療法人をいう。次号から第七号までにおいて同じ。)」と、「吸収分割承継医療法人」とあるのは「新設分割設立医療法人(同条第一号に規定する新設分割設立医療法人をいう。第七号において同じ。)」と、同条第五号及び第六号中「吸収分割医療法人及び吸収分割承継医療法人」とあるのは「新設分割医療法人」と、同条第七号中「吸収分割医療法人」とあるのは「新設分割医療法人」と、「吸収分割承継医療法人」とあるのは「新設分割設立医療法人」と、第三十五条の九中「第六十条の四第二項」とあるのは「第六十一条の三において読み替えて準用する法第六十条の四第二項」と読み替えるものとする。

◎第九節 雑則

(副本の添付)

〇第三十六条 令第五条の十五並びに第三十一条、第三十三条の二十五第一項、第三十四条、第三十五条の二第一項(第三十五条の五において読み替えて準用する場合を含む。)及び第三十五条の八(前条において読み替えて準用する場合を含む。)第三十九条の二十三、第三十九条の二十四第一項及び第三十九条の二十七に規定する申請書及びこれに添付する書類並びに第三十一条の五から第三十一条の五の三までに規定する申請書には、それぞれ副本を添付しなければならない。

〇第三十七条 削除

(医療法人台帳の記載事項)

〇第三十八条 令第五条の十一第一項の医療法人台帳に記載しなければならない事項は、次のとおりとする。

一 名称

二 事務所の所在地

三 理事長の氏名

四 開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の名称及び所在地

五 法第四十二条各号に掲げる業務を行う場合はその業務

六 設立認可年月日及び設立登記年月日

七 設立認可当時の資産

八 役員に関する事項

九 法第四十二条の二第一項の収益業務を行う場合はその業務

十 その他必要な事項

2 前項各号の記載事項に変更を生じたときは、都道府県知事は、遅滞なく訂正しなければならない。

(都道府県知事が保存すべき書類)

第三十九条 令第五条の十四の厚生労働省令で定める書類は、法及びこの章の規定により提出された書類(法第五十二条第一項の規定により届け出られたものを除く。)とする。

 

医療法人のガバナンスに関する規定 ご案内します

医療法人のガバナンスに関する法律の条文をご案内します。ご参考になれば幸いです。

◇一般社団及び一般財団法人に関する法律(抄)

(議事録)

〇第五十七条 社員総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

2 一般社団法人は、社員総会の日から十年間、前項の議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。

3 一般社団法人は、社員総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。

4 社員及び債権者は、一般社団法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求

二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(監事の選任に関する監事の同意等)

〇第七十二条 理事は、監事がある場合において、監事の選任に関する議案を社員総会に提出するには、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。

2 監事は、理事に対し、監事の選任を社員総会の目的とすること又は監事の選任に関する議案を社員総会に提出することを請求することができる。

(監事等の選任等についての意見の陳述)

〇第七十四条 監事は、社員総会において、監事の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができる。

2 監事を辞任した者は、辞任後最初に招集される社員総会に出席して、辞任した旨及びその理由を述べることができる。

3 理事は、前項の者に対し、同項の社員総会を招集する旨及び第三十八条第一項第一号に掲げる事項を通知しなければならない。

4 (略)

(代表者の行為についての損害賠償責任)

〇第七十八条 一般社団法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

(理事の職務を代行する者の権限)

〇第八十条 民事保全法 (平成元年法律第九十一号)第五十六条 に規定する仮処分命令により選任された理事又は代表理事の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、一般社団法人の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。

2 前項の規定に違反して行った理事又は代表理事の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、一般社団法人は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

(表見代表理事)

〇第八十二条 一般社団法人は、代表理事以外の理事に理事長その他一般社団法人を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該理事がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。

(忠実義務)

〇第八十三条 理事は、法令及び定款並びに社員総会の決議を遵守し、一般社団法人のため忠実にその職務を行わなければならない。

(競業及び利益相反取引の制限)

〇第八十四条 理事は、次に掲げる場合には、社員総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

一 理事が自己又は第三者のために一般社団法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。

二 理事が自己又は第三者のために一般社団法人と取引をしようとするとき。

三 一般社団法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において一般社団法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。

2 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第百八条 の規定は、前項の承認を受けた同項第二号の取引については、適用しない。

(社員による理事の行為の差止め)

〇第八十八条 社員は、理事が一般社団法人の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該一般社団法人に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該理事に対し、当該行為をやめることを請求することができる。

2 監事設置一般社団法人における前項の規定の適用については、同項中「著しい損害」とあるのは、「回復することができない損害」とする。

(理事の報酬等)

〇第八十九条 理事の報酬等(報酬、賞与その他の職務執行の対価として一般社団法人等から受ける財産上の利益をいう。以下同じ。)は、定款にその額を定めていないときは、社員総会の決議によって定める。

(理事会設置一般社団法人の理事の権限)

〇第九十一条 次に掲げる理事は、理事会設置一般社団法人の業務を執行する。

一・二 (略)

2 前項各号に掲げる理事は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。ただし、定款で毎事業年度に四箇月を超える間隔で二回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、この限りでない。

(競業及び理事会設置一般社団法人との取引等の制限)

〇第九十二条 (略)

2 理事会設置一般社団法人においては、第八十四条第一項各号の取引をした理事は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を理事会に報告しなければならない。

(招集権者)

〇第九十三条 理事会は、各理事が招集する。ただし、理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときは、その理事が招集する。

2 前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた理事(以下この項及び第百一条第二項において「招集権者」という。)以外の理事は、招集権者に対し、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を請求することができる。

3 前項の規定による請求があった日から五日以内に、その請求があった日から二週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は、理事会を招集することができる。

(招集手続)

〇第九十四条 理事会を招集する者は、理事会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各理事及び各監事に対してその通知を発しなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、理事会は、理事及び監事の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

(理事会の決議)

〇第九十五条 理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。

2 前項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。

3 理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

5 理事会の決議に参加した理事であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

(理事会の決議の省略)

〇第九十六条 理事会設置一般社団法人は、理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

(議事録等)

〇第九十七条 理事会設置一般社団法人は、理事会の日(前条の規定により理事会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第九十五条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその主たる事務所に備え置かなければならない。

2 社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。

一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

3 債権者は、理事又は監事の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録等について前項各号に掲げる請求をすることができる。

4 裁判所は、前二項の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該理事会設置一般社団法人に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、前二項の許可をすることができない。

(理事会への報告の省略)

〇第九十八条 理事、監事又は会計監査人が理事及び監事の全員に対して理事会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を理事会へ報告することを要しない。

2 前項の規定は、第九十一条第二項の規定による報告については、適用しない。

(監事による理事の行為の差止め)

〇第百三条 監事は、理事が監事設置一般社団法人の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、当該行為によって当該監事設置一般社団法人に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該理事に対し、当該行為をやめることを請求することができる。

2 前項の場合において、裁判所が仮処分をもって同項の理事に対し、その行為をやめることを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。

(監事設置一般社団法人と理事との間の訴えにおける法人の代表)

〇第百四条 第七十七条第四項及び第八十一条の規定にかかわらず、監事設置一般社団法人が理事(理事であった者を含む。以下この条において同じ。)に対し、又は理事が監事設置一般社団法人に対して訴えを提起する場合には、当該訴えについては、監事が監事設置一般社団法人を代表する。

2 第七十七条第四項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、監事が監事設置一般社団法人を代表する。

一 監事設置一般社団法人が第二百七十八条第一項の訴えの提起の請求(理事の責任を追及する訴えの提起の請求に限る。)を受ける場合

二 監事設置一般社団法人が第二百八十条第三項の訴訟告知(理事の責任を追及する訴えに係るものに限る。)並びに第二百八十一条第二項の規定による通知及び催告(理事の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解に関するものに限る。)を受ける場合

(監事の報酬等)

〇第百五条 監事の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、社員総会の決議によって定める。

2 監事が二人以上ある場合において、各監事の報酬等について定款の定め又は社員総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監事の協議によって定める。

3 監事は、社員総会において、監事の報酬等について意見を述べることができる。

(費用等の請求)

〇第百六条 監事がその職務の執行について監事設置一般社団法人に対して次に掲げる請求をしたときは、当該監事設置一般社団法人は、当該請求に係る費用又は債務が当該監事の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。

一 費用の前払の請求

二 支出した費用及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求

三 負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求

(一般社団法人に対する損害賠償責任の免除)

〇第百十二条 前条第一項の責任は、総社員の同意がなければ、免除することができない。

(責任の一部免除)

第百十三条 前条の規定にかかわらず、役員等の第百十一条第一項の責任は、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額(第百十五条第一項において「最低責任限度額」という。)を控除して得た額を限度として、社員総会の決議によって免除することができる。

一 賠償の責任を負う額

二 当該役員等がその在職中に一般社団法人から職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の一年間当たりの額に相当する額として法務省令で定める方法により算定される額に、次のイからハまでに掲げる役員等の区分に応じ、当該イからハまでに定める数を乗じて得た額

イ 代表理事 六

ロ 代表理事以外の理事であって、次に掲げるもの 四

(1) 理事会の決議によって一般社団法人の業務を執行する理事として選定されたもの

(2) 当該一般社団法人の業務を執行した理事((1)に掲げる理事を除く。)

(3) 当該一般社団法人の使用人

ハ 理事(イ及びロに掲げるものを除く。)、監事又は会計監査人 二

2 前項の場合には、理事は、同項の社員総会において次に掲げる事項を開示しなければならない。

一 責任の原因となった事実及び賠償の責任を負う額

二 前項の規定により免除することができる額の限度及びその算定の根拠

三 責任を免除すべき理由及び免除額

3 監事設置一般社団法人においては、理事は、第百十一条第一項の責任の免除(理事の責任の免除に限る。)に関する議案を社員総会に提出するには、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、各監事)の同意を得なければならない。

4 第一項の決議があった場合において、一般社団法人が当該決議後に同項の役員等に対し退職慰労金その他の法務省令で定める財産上の利益を与えるときは、社員総会の承認を受けなければならない。

(理事等による免除に関する定款の定め)

〇第百十四条 第百十二条の規定にかかわらず、監事設置一般社団法人(理事が二人以上ある場合に限る。)は、第百十一条第一項の責任について、役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、前条第一項の規定により免除することができる額を限度として理事(当該責任を負う理事を除く。)の過半数の同意(理事会設置一般社団法人にあっては、理事会の決議)によって免除することができる旨を定款で定めることができる。

2 前条第三項の規定は、定款を変更して前項の規定による定款の定め(理事の責任を免除することができる旨の定めに限る。)を設ける議案を社員総会に提出する場合、同項の規定による定款の定めに基づく責任の免除(理事の責任の免除に限る。)についての理事の同意を得る場合及び当該責任の免除に関する議案を理事会に提出する場合について準用する。

3 第一項の規定による定款の定めに基づいて役員等の責任を免除する旨の同意(理事会設置一般社団法人にあっては、理事会の決議)を行ったときは、理事は、遅滞なく、前条第二項各号に掲げる事項及び責任を免除することに異議がある場合には一定の期間内に当該異議を述べるべき旨を社員に通知しなければならない。ただし、当該期間は、一箇月を下ることができない。

4 総社員(前項の責任を負う役員等であるものを除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する社員が同項の期間内に同項の異議を述べたときは、一般社団法人は、第一項の規定による定款の定めに基づく免除をしてはならない。

5 前条第四項の規定は、第一項の規定による定款の定めに基づき責任を免除した場合について準用する。

(責任限定契約)

〇第百十五条 第百十二条の規定にかかわらず、一般社団法人は、理事(業務執行理事(代表理事、代表理事以外の理事であって理事会の決議によって一般社団法人の業務を執行する理事として選定されたもの及び当該一般社団法人の業務を執行したその他の理事をいう。次項及び第百四十一条第三項において同じ。)又は当該一般社団法人の使用人でないものに限る。)、監事又は会計監査人(以下この条及び第三百一条第二項第十二号において「非業務執行理事等」という。)の第百十一条第一項の責任について、当該非業務執行理事等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ一般社団法人が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を非業務執行理事等と締結することができる旨を定款で定めることができる。

2 前項の契約を締結した非業務執行理事等が当該一般社団法人の業務執行理事又は使用人に就任したときは、当該契約は、将来に向かってその効力を失う。

3 第百十三条第三項の規定は、定款を変更して第一項の規定による定款の定め(同項に規定する理事と契約を締結することができる旨の定めに限る。)を設ける議案を社員総会に提出する場合について準用する。

4 第一項の契約を締結した一般社団法人が、当該契約の相手方である非業務執行理事等が任務を怠ったことにより損害を受けたことを知ったときは、その後最初に招集される社員総会において次に掲げる事項を開示しなければならない。

一 第百十三条第二項第一号及び第二号に掲げる事項

二 当該契約の内容及び当該契約を締結した理由

三 第百十一条第一項の損害のうち、当該非業務執行理事等が賠償する責任を負わないとされた額

5 第百十三条第四項の規定は、非業務執行理事等が第一項の契約によって同項に規定する限度を超える部分について損害を賠償する責任を負わないとされた場合について準用する。

(理事が自己のためにした取引に関する特則)

〇第百十六条 第八十四条第一項第二号の取引(自己のためにした取引に限る。)をした理事の第百十一条第一項の責任は、任務を怠ったことが当該理事の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない。

2 前三条の規定は、前項の責任については、適用しない。

(議事録)

〇第百九十三条 評議員会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

2 一般財団法人は、評議員会の日から十年間、前項の議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。

3 一般財団法人は、評議員会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。

4 評議員及び債権者は、一般財団法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求

二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(責任追及の訴え)

〇第二百七十八条 社員は、一般社団法人に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、設立時社員、設立時理事、役員等(第百十一条第一項に規定する役員等をいう。第三項において同じ。)又は清算人の責任を追及する訴え(以下この款において「責任追及の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及の訴えが当該社員若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該一般社団法人に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。

2 一般社団法人が前項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及の訴えを提起しないときは、当該請求をした社員は、一般社団法人のために、責任追及の訴えを提起することができる。

3 一般社団法人は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及の訴えを提起しない場合において、当該請求をした社員又は同項の設立時社員、設立時理事、役員等若しくは清算人から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。

4 第一項及び第二項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により一般社団法人に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の社員は、一般社団法人のために、直ちに責任追及の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。

5 第二項又は前項の責任追及の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。

6 社員が責任追及の訴えを提起したときは、裁判所は、被告の申立てにより、当該社員に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。

7 被告が前項の申立てをするには、責任追及の訴えの提起が悪意によるものであることを疎明しなければならない。

(訴えの管轄)

〇第二百七十九条 責任追及の訴えは、一般社団法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

(訴訟参加)

〇第二百八十条 社員又は一般社団法人は、共同訴訟人として、又は当事者の一方を補助するため、責任追及の訴えに係る訴訟に参加することができる。ただし、不当に訴訟手続を遅延させることとなるとき、又は裁判所に対し過大な事務負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。

2 監事設置一般社団法人が、理事及び清算人並びにこれらの者であった者を補助するため、責任追及の訴えに係る訴訟に参加するには、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、各監事)の同意を得なければならない。

3 社員は、責任追及の訴えを提起したときは、遅滞なく、一般社団法人に対し、訴訟告知をしなければならない。

4 一般社団法人は、責任追及の訴えを提起したとき、又は前項の訴訟告知を受けたときは、遅滞なく、その旨を社員に通知しなければならない。

(和解)

〇第二百八十一条 民事訴訟法第二百六十七条 の規定は、一般社団法人が責任追及の訴えに係る訴訟における和解の当事者でない場合には、当該訴訟における訴訟の目的については、適用しない。ただし、当該一般社団法人の承認がある場合は、この限りでない。

2 前項に規定する場合において、裁判所は、一般社団法人に対し、和解の内容を通知し、かつ、当該和解に異議があるときは二週間以内に異議を述べるべき旨を催告しなければならない。

3 一般社団法人が前項の期間内に書面により異議を述べなかったときは、同項の規定による通知の内容で社員が和解をすることを承認したものとみなす。

4 第二十五条、第百十二条(第二百十七条第四項において準用する場合を含む。)及び第百四十一条第五項(同項ただし書に規定する超過額を超えない部分について負う責任に係る部分に限る。)の規定は、責任追及の訴えに係る訴訟における和解をする場合には、適用しない。

(費用等の請求)

〇第二百八十二条 責任追及の訴えを提起した社員が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、当該責任追及の訴えに係る訴訟に関し、必要な費用(訴訟費用を除く。)を支出したとき又は弁護士若しくは弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該一般社団法人に対し、その費用の額の範囲内又はその報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。

2 責任追及の訴えを提起した社員が敗訴した場合であっても、悪意があったときを除き、当該社員は、当該一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する義務を負わない。

3 前二項の規定は、第二百八十条第一項の規定により同項の訴訟に参加した社員について準用する。

(再審の訴え)

〇第二百八十三条 責任追及の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して責任追及の訴えに係る訴訟の目的である一般社団法人の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、一般社団法人又は社員は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。

2 前条の規定は、前項の再審の訴えについて準用する。

(一般社団法人等の役員等の解任の訴え)

〇第二百八十四条 理事、監事又は評議員(以下この款において「役員等」という。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員等を解任する旨の議案が社員総会又は評議員会において否決されたときは、次に掲げる者は、当該社員総会又は評議員会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員等の解任を請求することができる。

一 総社員(当該請求に係る理事又は監事である社員を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する社員(当該請求に係る理事又は監事である社員を除く。)

二 評議員

(被告)

〇第二百八十五条 前条の訴え(次条及び第三百十五条第一項第一号ニにおいて「一般社団法人等の役員等の解任の訴え」という。)については、当該一般社団法人等及び前条の役員等を被告とする。

(訴えの管轄)

〇第二百八十六条 一般社団法人等の役員等の解任の訴えは、当該一般社団法人等の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

(非訟事件の管轄)

〇第二百八十七条 この法律の規定による非訟事件(次項に規定する事件を除く。)は、一般社団法人等の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2 (略)

(疎明)

〇第二百八十八条 この法律の規定による許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。

(陳述の聴取)

〇第二百八十九条 裁判所は、この法律の規定による非訟事件についての裁判のうち、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして申立てを却下する裁判をするときは、この限りでない。

一 この法律の規定により一般社団法人等が作成し、又は備え置いた書面又は電磁的記録についての閲覧又は謄写の許可の申立てについての裁判 当該一般社団法人等

二~六 (略)

(理由の付記)

〇第二百九十条 この法律の規定による非訟事件についての裁判には、理由を付さなければならない。ただし、次に掲げる裁判については、この限りでない。

一・二 (略)

(即時抗告)

〇第二百九十一条 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。

一 (略)

二 第二百八十九条各号に掲げる裁判 申立人及び当該各号に定める者(同条第二号及び第三号に掲げる裁判にあっては、当該各号に定める者)

(原裁判の執行停止)

〇第二百九十二条 前条の即時抗告は、執行停止の効力を有する。ただし、第二百八十九条第二号から第四号までに掲げる裁判に対するものについては、この限りでない。

(不服申立ての制限)

〇第二百九十三条 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

一 第二百八十九条第二号に規定する一時理事、監事、代表理事若しくは評議員の職務を行うべき者、清算人、代表清算人、同号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、検査役、第二百三十五条第一項の鑑定人又は第二百四十一条第二項の帳簿資料の保存をする者の選任又は選定の裁判

二 第二百六十二条第二項の管理人の選任又は解任についての裁判

三 第二百六十二条第六項の規定による裁判

四 この法律の規定による許可の申立てを認容する裁判(第二百八十九条第一号に掲げる裁判を除く。)

(非訟事件手続法 の規定の適用除外)

〇第二百九十四条 この法律の規定による非訟事件については、非訟事件手続法 (平成二十三年法律第五十一号)第四十条 及び第五十七条第二項第二号 の規定は、適用しない。

(最高裁判所規則)

〇第二百九十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の規定による非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

 

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