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中小企業M&Aガイドライン(1)基礎知識・手法・事例

※中小M&Aガイドライン(令和2年3月 中小企業庁)より抜粋

1.M&A 関連用語

○M&A

M&A とは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称であるが、我が国では、広く、会社法の定める組織再編(合併や会社分割)に加え、株式譲渡や事業譲渡を含む、各種手法による事業の引継ぎ(譲り渡し・譲り受け)をいう。

○中小 M&A

中小 M&A とは、後継者不在の中小企業(以下「譲り渡し側」という。)の事業を、M&A の手法により、社外の第三者である後継者(以下「譲り受け側」といい、本ガイドラインでは譲り受け側の候補者も含むことがある。)が引き継ぐ場合をいう。

したがって、本ガイドラインにおいて、中小企業の経営者の親族による事業承継(以下「親族内承継」という。)及び従業員承継は、中小 M&A に含めないものとする。

なお、会社について記載する場合、持分会社等の形態もあり得るものの、本ガイドラインでは、代表的な会社形態である株式会社を念頭に記載する。その際には、譲り渡し側が金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式(いわゆる上場株式)又は同法第67条の11第1項に規定する店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式(いわゆる店頭登録株式)を発行している株式会社に該当しない場合を前提とする。

○マッチング

マッチングとは、譲り渡し側と譲り受け側が M&A の当事者となり得る者として接触することをいう。譲り渡し側と譲り受け側の交渉は、マッチング後に開始することになる。

○支援機関

支援機関とは、中小 M&A を支援する機関である。具体的には、M&A 専門業者、金融機関、商工団体、士業等専門家、M&A プラットフォーマーのほか、事業引継ぎ支援センター等の公的機関等をいう。

M&A 専門業者は、譲り渡し側・譲り受け側に対するマッチング支援や、中小 M&Aの手続進行に関する総合的な支援(以下「マッチング支援等」という。)を専門に行う民間業者であり、主に仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)に分類される(なお、金融機関、士業等専門家や M&A プラットフォーマーがこれらと同様の業務を行うこともある。)。

金融機関には、与信(融資)業務等に加え、主に顧客に対してマッチング支援等を行う者もいる。

商工団体(商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、商店街振興組合連合会等)は、中小企業の経営全般に関する地域の身近な相談窓口として中小企業支援を行っている。

○士業等専門家

士業等専門家とは、公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士等の資格を有する専門家をいう。

これら士業等専門家の中には本来業務のほか、マッチング支援等を行う者もいる。

○仲介者/仲介契約

仲介者とは、譲り渡し側(※)・譲り受け側の双方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいい、一部の M&A 専門業者がこれに該当する(業務範囲は個別の支援機関ごとに異なる。)。なお、金融機関、士業等専門家や M&A プラットフォーマーにおいても仲介者と同様の業務を行う場合は、業務の性質・内容が共通する限りにおいて、仲介者として本ガイドラインの適用があるものとする。

仲介契約とは、仲介者が譲り渡し側(※)・譲り受け側双方との間で結ぶ契約をいい、これに基づく業務を仲介業務という。

※株式譲渡を前提に、株主である経営者等が当事者となる場合もある。

○FA(フィナンシャル・アドバイザー)/FA 契約

FA(フィナンシャル・アドバイザー)とは、譲り渡し側(※)又は譲り受け側の一方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいい、一部の M&A 専門業者がこれに該当する(業務範囲は個別の支援機関ごとに異なる。)。なお、金融機関、士業等専門家や M&Aプラットフォーマーにおいても FA と同様の業務を行う場合は、業務の性質・内容が共通する限りにおいて、FA として本ガイドラインの適用があるものとする。

FA 契約とは、FA が譲り渡し側(※)・譲り受け側の一方との間で結ぶ契約をいい、これに基づく業務を FA 業務という。

なお、海外においては、主に大規模な M&A に関して、高度な助言業務等を提供する FA に限定して FA(Financial Adviser)と称することがあるが、我が国においては、中小 M&A に関しても、譲り渡し側・譲り受け側の一方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関を FA と称することが一般的であるため、本ガイドラインでは、この解釈に従うものとする。

※株式譲渡を前提に、株主である経営者等が当事者となる場合もある。

〇M&A プラットフォーム/M&A プラットフォーマー

M&Aプラットフォームとは、インターネット上のシステムを活用し、オンラインで譲り渡し側・譲り受け側のマッチングの場を提供するウェブサイトをいう。

M&A プラットフォーマーとは、M&A プラットフォームを運営する支援機関をいう(利用対象者や提供されるサービスの内容は、各M&Aプラットフォーマーにおいて異なる。)。

○セカンド・オピニオン

セカンド・オピニオンとは、中小 M&A を行おうとしている者が支援機関と契約を締結する際や、支援機関から受けた助言の内容の妥当性を検証したい場合等に、他の支援機関から意見を求めることをいう。

○ノンネーム・シート(ティーザー)

ノンネーム・シート(ティーザー)とは、譲り渡し側が特定されないよう企業概要を簡単に要約した企業情報をいう。譲り受け側に対して関心の有無を打診するために使用される。

○ロングリスト/ショートリスト

ロングリストとは、基本的には、譲り渡し側がノンネーム・シート(ティーザー)の送付先を選定するにあたり、譲り受け側となり得る候補先(数十社程度となることが多い。)についての基礎情報をまとめた一覧表をいう。

ショートリストとは、基本的には、ノンネーム・シート(ティーザー)を送付して関心を示した譲り受け側の候補先の中から、具体的に検討可能な候補先(数社程度となることが多い。)を絞り込んだ一覧表をいう。

なお、譲り渡し側に関する情報の拡散を可能な限り防止する観点から、仲介者・FAがロングリストの内容を譲り渡し側と協議しながら精査し、候補先を数社程度に絞り込んでショートリストとした後、ショートリスト記載の候補先にのみノンネーム・シート(ティーザー)を送付するケースもある。

○秘密保持契約(NDA、CA)

秘密保持契約とは、秘密保持を確約する趣旨で締結する契約をいう。具体的には、譲り受け側が、ノンネーム・シート(ティーザー)を参照して譲り渡し側に関心を抱いた場合に、より詳細な情報を入手するために譲り渡し側との間で締結するケースや、譲り渡し側や譲り受け側が仲介者・FA との間で締結するケース(仲介契約・FA契約の中で秘密保持条項として含められるケースが多い。)がある。「NDA(NonDisclosure Agreement)」や「CA(Confidential Agreement)」ともいう。

○企業概要書(IM、IP)

企業概要書とは、譲り渡し側が、秘密保持契約を締結した後に、譲り受け側に対して提示する、譲り渡し側についての具体的な情報(実名や事業・財務に関する一般的な情報)が記載された資料をいう。インフォメーション・メモランダム「IM(InformationMemorandum)」やインフォメーション・パッケージ「IP(Information Package)」ともいう。

○意向表明書

意向表明書とは、譲り渡し側が譲り受け側を選定する入札手続を行う場合等に、譲り受け側が譲り受けの際の希望条件等を表明するために提出する書面をいう。企業概要書に記載された情報等を踏まえて暫定的な希望条件等を記載し、デュー・ディリジェンス(DD)に進む意向を表明する書面を第一次意向表明書、DD の結果を踏まえて最終的な希望条件等を記載し、譲り受けを希望する意向を明確に表明する書面を第二次意向表明書(最終意向表明書)等と称することがある。

例えば、債務超過企業において譲り受け側(スポンサー)を選定する場合に、その過程の透明性・公正性を確保するため入札手続を実施するケース等において、意向表明書が用いられることがある。

なお、譲り受け側からの意向表明書に対する応諾書を、譲り渡し側が提出することにより、基本合意とほぼ同様の合意を締結したものとして扱うこともある。

○基本合意書(LOI、MOU)

基本合意書とは、譲り渡し側が、特定の譲り受け側に絞って M&A に関する交渉を行うことを決定した場合に、その時点における譲り渡し側・譲り受け側の了解事項を確認する目的で記載した書面をいう。「LOI(Letter Of Intent)」「MOU(MemorandumOf Understanding)」ともいう。

基本的に法的拘束力がないものの、譲り受け側の独占的交渉権や秘密保持義務等については、法的拘束力を認めることが通常である。

○デュー・ディリジェンス(DD)

デュー・ディリジェンス(Due Diligence)とは、対象企業である譲り渡し側における各種のリスク等を精査するため、主に譲り受け側がFAや士業等専門家に依頼して実施する調査をいう(「DD」と略することが多い。)。調査項目は、M&A の規模や実施希望者の意向等により異なるが、一般的に、資産・負債等に関する財務調査(財務 DD)や株式・契約内容等に関する法務調査(法務 DD)等から構成される。

なお、その他にも、ビジネスモデル等に関するビジネス(事業)DD、税務 DD(財務DD 等に一部含まれることがある。)、人事労務 DD(法務 DD 等に一部含まれることがある。)、知的財産(知財)DD、環境 DD、不動産 DD、ITDD といった多様な DD が存在する。

○クロージング

クロージングとは、M&A における最終契約の決済のことをいい、株式譲渡、事業譲渡等に係る最終契約を締結した後、株式・財産の譲渡や譲渡代金(譲渡対価)の全部又は一部の支払を行う工程をいう。

○PMI

PMI(Post-Merger Integration)とは、クロージング後の一定期間内に行う経営統合作業をいう。

○バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)

バリュエーションとは、企業又は事業の価値を定量的に評価することをいう。評価額は、中小 M&A で譲渡額を決める際の目安の一つとして取り扱われる。評価手法は様々なものがあり、企業の実態や事業の特性等に応じた手法が選択される。

○チェンジ・オブ・コントロール(COC)条項

チェンジ・オブ・コントロール条項とは、ある企業が締結している契約(例えば、賃貸借契約、取引基本契約、フランチャイズ契約等)について、当該企業の株主の異動や支配権の変動等により当該契約の相手方当事者に解除権が発生すること等を定める条項をいう。COC(Change Of Control)条項ともいう。

○表明保証条項

表明保証条項とは、契約の一方当事者が、他方当事者に対し一定の時点(一般的には最終契約締結時・クロージング時の両時点)において、当該契約に関する事項について、当該事項が真実かつ正確であることを表明し、かつその内容を保証する条項をいう(同条項違反に基づく損害賠償・契約の解除といった補償等についての規定も設けられることが通常である。)。

特に、譲り渡し側(又はその経営者等)が一定の事項について表明保証していたにもかかわらずこれに違反した場合に、譲り受け側に生じた損害について補償等を行うこと等により、契約当事者間における潜在的なリスクの分担を図る機能を有している。例えば、従業員との間の労働紛争が存在しないことを表明保証していたにもかかわらず実際には紛争が生じており、中小 M&A 実行後に和解が成立した場合、従業員に支払う和解金相当額を譲り渡し側(又はその経営者等)が負担するケース等が想定される。

○債務超過企業

債務超過企業とは、本ガイドラインでは、譲り渡し側が債務超過状態の場合における当該譲り渡し側をいう。債務超過企業であっても中小 M&A を実行できる可能性はあるが、その際には債務整理手続等を伴うことがある。

なお、本ガイドラインでは、債務超過企業における「債務超過」とは、特に説明のない限り、貸借対照表の簿価上の債務超過ではなく、資産・負債の時価評価を踏まえた実態貸借対照表上の債務超過を意味するものとする。

○経営者保証に関するガイドライン

「経営者保証に関するガイドライン」とは、中小企業の経営者による個人保証(以下「経営者保証」という。)に関する契約時及び履行時等における中小企業、経営者及び金融機関による対応についての、中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的自律的な準則として、「経営者保証に関するガイドライン研究会」により、平成25年12月に策定・公表され、平成26年2月1日より適用されているガイドラインをいう(以下「経営者保証に関するガイドライン」という。)。

また、これを補完するものとして、事業承継時に先代経営者及び後継者の双方から二重に保証を求めること(二重徴求)を原則として禁止する、「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」(以下「経営者保証に関するガイドラインの特則」という。)が、「経営者保証に関するガイドライン研究会」により、令和元年12月に策定・公表され、令和2年4月1日より適用される。

2.事業引継ぎ支援センター関連用語

○事業引継ぎ支援センター

事業引継ぎ支援センターとは、中小 M&A を支援する目的で、平成23年から設置されている国の機関をいう。令和2年3月現在、全国47都道府県48か所(東京都のみ、千代田区と立川市の2か所)に設置されている。

なお、事業引継ぎ支援センターは、中小 M&A 及び従業員承継(以下「用語集」においては、これらを「事業引継ぎ」と総称する。)や、事業承継に関連した幅広い相談対応を行っている。

○登録機関等(登録民間支援機関/マッチングコーディネーター)

登録民間支援機関とは、各事業引継ぎ支援センターに登録された仲介者・FA(主に、M&A 専門業者又は金融機関)をいう。マッチングコーディネーターも同様であるが、主に、より小規模な事業者の中小 M&A 支援を目的とする。以下では、登録民間支援機関及びマッチングコーディネーターを併せて「登録機関等」と総称する。

登録機関等は、事業引継ぎ支援センターからの依頼を受け、利用者と仲介契約・FA 契約を結び、M&A 支援を行う。

○外部専門家

外部専門家とは、事業引継ぎ支援センターから事業引継ぎ業務を依頼された士業等専門家をいう。

○「後継者人材バンク」事業

「後継者人材バンク」事業とは、事業引継ぎ支援センターが実施する後継者不在の小規模事業者(主として個人事業主)と創業希望者(事業を営んでいない個人)とのマッチング支援等を行う事業をいう。

 


(参考資料1)中小 M&A の主な手法と特徴

中小 M&A で用いられる主な手法と特徴は以下のとおりである。

(1)株式譲渡

株式譲渡とは、譲り渡し側の株主(下図の X 株主)が、保有している発行済株式を譲り受け側(下図の B 社)に譲渡する手法であり、譲り渡し側(下図の A 社)を譲り受け側の子会社とするイメージである。

譲り渡し側の株主が変わるだけで、会社組織はそのまま引き継ぐ形となり、会社の資産、負債、従業員や社外の第三者との契約、許認可等は原則存続する。また、手続も他の手法に比べて相対的に簡便であると言える。

ただし、未払残業代等、貸借対照表上の数字には表れない簿外債務や、紛争に関する損害賠償債務等、現時点では未発生だが将来的に発生し得る偶発債務もそのまま引き継ぐことになる。また、賃貸借契約等についてのチェンジ・オブ・コントロール条項の定めがある場合には、当該契約等の継続のために事前に賃貸人等との協議や交渉が必要になることがあるため、注意が必要である。

※B 社が A 社の単独株主 X から A 社の全株式(100%)を譲り受けた場合を想定

(2)事業譲渡

事業譲渡とは、譲り渡し側(下図の A 社)が有する事業の全部又は一部(土地、建物、機械設備等の資産や負債に加え、ノウハウや知的財産権等も含む。)を、譲り受け側(下図の B 社)に譲渡する手法である。

資産、負債、契約及び許認可等を個別に移転させるため、債権債務、雇用関係を含む契約関係を、一つ一つ、債権者や従業員の同意を取り付けて切り替えていかなければならず、譲渡する資産の中に不動産を含むような場合には登記手続も必要となる。また、許認可等は譲り受け側に承継されないことが多く、その場合には譲り受け側で許認可等を新規に取得する必要がある。事業譲渡の手法を選択した場合には株式譲渡に比べて手続が煩雑になることが一般的であるが、個別の事業・財産ごとに譲渡が可能なことから、事業の一部を手元に残すことも可能となる。

譲り受け側にとっては、特定の事業・財産のみを譲り受けることができるため、簿外債務・偶発債務のリスクを遮断しやすいというメリットがある。

※B 社が A 社の一部事業(乙事業)を譲り受けた場合を想定

(3)その他の手法

以上の他にも、以下のような手法が採用されることがある。

ア 会社分割

会社分割とは、会社法が定める組織再編の手続の1つであり、会社の事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割し、他の会社(又は分割に伴い新たに設立する会社)に包括的に承継させる手続である。

会社分割においては、「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(労働契約承継法)」によって、一定の要件を備えた場合には、原則として雇用が確保される。

また、許認可等についても、個別の各種業法等によりそのまま引き継がれるケースもある。

なお、原則として、会社分割につき債権者が異議を述べることができる期間を1か月以上設けること(債権者保護手続)を含む会社法上の所定の手続等を要するため、そのための時間的余裕や費用等を要することがある点には注意が必要である。また、登記手続も必要であり、会社分割を行った旨は履歴事項全部証明書にも記載される。

イ 合併

合併とは、会社法が定める組織再編の手続の1つであり、譲り渡し側の権利義務の全部(会社の全ての資産、負債、契約等)を他の会社(又は合併に伴い新たに設立する会社)に包括的に承継させ、譲り渡し側は消滅する手続である。

法的に一つの法人となることから結合は強くなる。また、許認可等についても、個別の各種業法等によりそのまま引き継がれるケースもある。一方で、組織内における雇用条件の調整や、事務処理手続の一本化等を要することがあり、また簿外債務・偶発債務にも注意する必要がある。

なお、原則として、合併につき債権者が異議を述べることができる期間を1か月以上設けること(債権者保護手続)を含む会社法上の所定の手続等を要するため、そのための時間的余裕や費用等を要することがある点には注意が必要である。また、登記手続も必要であり、合併を行った旨は履歴事項全部証明書にも記載される。

ウ 業務提携・資本提携

業務提携とは、企業間で業務上の協力関係を築く手法(共同物流や資材の共同調達、商品の共同開発等)であり、事業承継に向けた第一歩と位置付けられる。他方、資本提携は、業務提携の強化や資本増強等のために、一定の限度で相互の株式を持ち合うことや、一方の会社の株式の取得、第三者割当増資等を行う手法である。

業務提携や資本提携は、一定の提携を足がかりにして、両者の融合を図りつつ、徐々に事業承継を進めていくような場合に活用可能な手法である。

※ 譲り渡し側である債務超過企業において事業譲渡や会社分割を活用するような場合には、収益性の高い優良な事業だけを別会社(第二会社)として切り出し、残された不採算部門を特別清算等の手続により整理する「第二会社方式」による対応も可能である(ただし、譲り渡し側の債権者の同意が必要である。)。

※ 以上の他にも、会社法上の組織再編の手続である株式交換、株式移転や(令和元年12月11日に公布された改正会社法により認められた)株式交付といった手法に加え、各種手法を組み合わせることもあり得るが、本資料では主に利用される手法のみの紹介に留めることとする。

 

(参考資料2)中小 M&A の譲渡額の算定方法

中小 M&A では、(1)「簿価純資産法」、(2)「時価純資産法」又は(3)「類似会社比

較法(マルチプル法)」といったバリュエーションの手法により算定した株式価値・事業価値を基に譲渡額を交渉するケースが多いが、事例ごとに適切な方法は異なるため、相談先の支援機関に相談の上、事例に即した適切な方法を選択することが望ましい。

また、算出された金額が、必ずそのまま譲渡額となるわけではなく、交渉等の結果、(1)又は(2)で算出された金額に数年分の任意の利益(税引後利益又は経常利益等)を加算する場合等もあり、当事者同士が最終的に合意した金額が譲渡額となるという点は理解されたい。

○中小 M&A で用いられるバリュエーションの主な手法と特徴は以下のとおりである。

(1)簿価純資産法

簿価純資産法とは、貸借対照表の純資産が株式価値となる手法である。譲り渡し側経営者をはじめとする関係者にとってイメージがしやすく、コストをかけずに株式価値を算定できるメリットがある。

他方、帳簿価額(簿価)と時価が大幅に乖離している場合や簿外資産・負債がある場合等は、本来の株式価値を表していないこともある。

(2)時価純資産法(修正簿価純資産法)

時価純資産法とは、貸借対照表の資産・負債を時価評価(例えば、棚卸資産の場合、実在性や評価の妥当性等を検証して、時価評価を行う)し、また、貸借対照表に計上されていない簿外資産・負債(例えば、保険の解約返戻金や退職給付債務等)も時価評価して算定した純資産を株式価値とする手法である。

譲り受け側にとって対象企業(譲り渡し側)の実態を把握するためには有効な手法である一方、時価の算定等にコストや時間を要するケースがある。

このため、中小 M&A においては、資産・負債の全てを時価評価するのではなく、株式価値の評価への影響が大きく、比較的時価が把握しやすい不動産や有価証券といった一部の資産・負債のみ時価評価する「修正簿価純資産法」を用いるケースも多い。

<参考>時価純資産法(又は簿価純資産法)に数年分の利益を加算する場合時価純資産法(又は簿価純資産法)により算定した純資産に、数年分の任意の利益を加算した金額を譲渡額とする場合もある。

なお、加算対象とする利益の種類(税引後利益又は経常利益等)及び年数(通常1年~3年)は事例ごとに異なり、交渉によって決まるケースが多い。

○時価純資産法に数年分の利益を加算した場合のイメージ

(3)類似会社比較法(マルチプル法)

類似会社比較法(マルチプル法)とは、対象会社(譲り渡し側)に類似した上場会社の企業価値(EV:エンタープライズバリューの略称)及び財務指標から算定した評価倍率(EV/財務指標)を基に、対象会社の株式価値を算定する手法である。評価倍率を算定するための指標として「EBIT」「EBITDA」「PER」等があるが、中小 M&A においては、EBITDA(イービットダーやイービットディーエーと呼ぶ。 )を用いた手法(EV/EBITDA 倍率法)が多く用いられるため、以下ではこの手法について説明する。

EV/EBITDA 倍率法とは、譲渡代金(譲受代金)を EBITDA(簡易的に「営業利益+減価償却費」で算定をするケースが多く、「償却前利益」とも呼ばれる。)の何年分で回収できるのかを、類似上場会社から算出し、対象会社の株式価値を算定する手法であり、具体的には以下の算式で算出する。

株式価値 = EBITDA × EV/EBITDA 倍率 - 純有利子負債(有利子負債-現預金)

※中小企業は上場会社と比し、株式の流動性が低い点を考慮し、30%程度ディスカウント(非流動性ディスカウント)するケースもある。

なお、EV/EBITDA 倍率法は、上場会社に比準して、株式価値を算定することから比較的客観性の高い手法であるが、選定する上場会社等が適切か否かは注意する必要がある。


(参考資料4)中小 M&A の事例

(1)小規模企業・個人事業主において中小 M&A が成立した事例

➀小規模企業において成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:計測機器の製造

・売上高:3000万円

・従業員:3名

・業歴:40年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:計測機器の施工・メンテナンス

・売上高:5億円

〇 関与した支援機関:地元信用金庫、事業引継ぎ支援センター

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○10年前に先代経営者の他界に伴い、当時既に65歳を超えていた佐伯友彦(仮)が A 社の社長に就任した。その後、業績は伸び悩み従業員の高齢化も進んだため廃業を検討したが、取引先に迷惑を掛けられないと、事業の継続を決断した。

○地元信用金庫に相談をしたところ、M&A の公的機関として事業引継ぎ支援センターを紹介された。佐伯は自社の事業規模や財務状況から M&A は難しいと考えていたが、同センターでの相談は無料と聞いたため、取りあえず相談した。

【成立に至った経緯】

○佐伯の予想に反し、事業引継ぎ支援センターから4社の紹介を受け、うち2社と面談し、A 社の技術力や商圏を高く評価した B 社への事業譲渡実行に至った。

【成立に至った後の経緯】

○A 社の製品は熟練の技術が必要であるため、A 社の従業員は引き続き雇用され、また取引先との関係から佐伯は顧問として B 社の事業拡大に貢献している。

②個人事業主において成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:田中和夫(仮)

・業種:靴小売業

・売上高:4000万円

・従業員:3名

・業歴:50年

〇 譲り受け側:佐藤八郎(仮)

・業種:創業希望者

〇 関与した支援機関:地元信用金庫、日本政策金融公庫、事業引継ぎ支援センター、弁護士、商工会、商工会議所等

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○田中は、靴の小売店を営む72歳の個人事業主で引退したいと考えていたが、親族に継ぐ者はおらず自分の代で廃業せざるを得ないのかと悩んでいた。

○懇意にしていた商工会の経営指導員より、事業承継の個別説明会を案内され、そこで、個人事業主でも、M&A で事業を譲り渡した例が多くあるという話を聞いた。

○自分が育てた事業を、意欲のある人に引き継いでもらえるならありがたいと感じ、M&A を決意し、事業引継ぎ支援センターにて譲り受け相手を探すこととなった。

【成立に至った経緯】

○田中は、同センターから靴店の創業を希望する佐藤を紹介され、意気投合した。

○なお、代金について、佐藤の自己資金が不足していたことから、複数の金融機関が協調融資を実施し、更に同センターは弁護士を紹介し契約のサポートをする等、支援機関が一丸となった支援が行われ、事業譲渡実行に至った。

【成立に至った後の経緯】

○事業譲渡実行後、佐藤は事業承継補助金の交付を受け、新たなチャレンジを行う等、精力的な事業拡大に乗り出した。また、田中も引き続き従業員として、佐藤を支えている。

③家業的経営(家族経営)である中小企業において成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:寿司・懐石料理店

・売上高:3500万円

・従業員:5名(うち家族3名)

・業歴:30年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:レジャー業

・売上高:50億円

〇 関与した支援機関:地元信用金庫

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○地元で寿司・懐石料理店を営む宇田川大輔(仮)は、多数の地元常連客に愛されていたが、厨房設備等が老朽化したことに伴い、設備の更新を検討していた。

○しかし、多額の費用を要することが分かり、自身の年齢から多額の借入を負うことに抵抗があり、また家族からも反対されたことから、廃業を考えていた。

○お店の常連でもあった地元信用金庫の担当者に相談したところ、飲食業への参入を検討していた B 社をスポンサーとして紹介された。

【成立に至った経緯】

○家族経営を行ってきた宇田川は、当初は第三者がスポンサーとなることに抵抗があったが、B 社社長の加藤裕三(仮)と面談を重ねる中で、信頼関係を構築した。

○宇田川は家族経営の維持を条件に、B 社から資金援助を受けるのと引換えに飲食店経営のノウハウを B 社に提供するという業務提携の合意に至った。

【成立に至った後の経緯】

○A 社は、宇田川の希望通り、家族経営を継続したまま、B 社からの支援により、老朽化した店舗設備を更新し、内装等も新装することができた。

○また、B 社と協働してグルメサイト等による PR を行った結果、新規顧客やインバウンド需要による外国人観光客の獲得にも成功している。

④M&A プラットフォームを利用してマッチングが実現し、成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:教育業

・売上高:5000万円

・従業員:5名

・業歴:25年

〇 譲り受け側:三宅一郎(仮)

・業種:創業希望者

〇 関与した支援機関:M&A プラットフォーマー、(顧問)税理士

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○地域の小・中・高校生が通う個別指導学習塾を経営していた小山克彦(仮)は年齢や持病等により、自身で塾を継続していくことに限界を感じ、廃業を検討。

○塾の生徒や保護者から塾の存続を望む声が多く、廃業以外の道を顧問税理士に相談したところ M&A の可能性を示唆された。

【成立に至った経緯】

○顧問税理士から紹介された M&A 専門業者とはコスト面で折り合いがつかず、低コストで事業の承継者を探すことができる方法を探していたところ、インターネット上で候補者を探せるマッチングサイトである、M&A プラットフォームの存在を知った。

○M&A プラットフォーム上で複数の候補者から打診を受け、その中で、塾講師の経験があり、学習塾経営の創業希望者であった30代男性会社員の三宅と出会い、基本合意に至った。

○小山は、三宅の人柄や能力があれば、塾の子供達を安心して任せることができると考え、事業譲渡実行に至った。

【成立に至った後の経緯】

○M&A プラットフォームを利用したことにより、低コストで中小 M&A が実現した。

○小山は現在、塾経営の経験がない三宅をサポートし、子供達の成長を見守りながら、地域のボランティアに参加するなど充実したセカンドライフを送っている。

⑤フランチャイズ(FC)店において成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:野原花子(仮)

・業種:コンビニエンスストア

・売上高:1億5000万円

・従業員:5名

・業歴:20年

〇 譲り受け側:山田太郎(仮)

・業種:創業希望者

〇 関与した支援機関:事業引継ぎ支援センター

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○野原は、コンビニエンスストアを20年間個人事業主として運営していたが、体調不良もあり、引退を決意した。

○一方、従業員の雇用は継続したいと考え思案していたところ、事業引継ぎ支援センターからのダイレクトメール(DM)が届いたのをきっかけに、相談を決意した。

【成立に至った経緯】

○野原は、従業員をリードしてくれる経営者を希望しており、事業引継ぎ支援センターの「後継者人材バンク」を利用することとなった。

〇複数の譲り受け側候補の紹介があったものの、最終的には現在別会社で管理職として辣腕を振るっている同地域在住の60代の山田への事業譲渡を決めた。

〇山田にとっても定年退職後の起業を考えていた絶好のタイミングであり、約1か月でのスピード成約となった。

〇FC 本部にとっても事業継続は歓迎であったことも成約の後押しとなった。

【成立に至った後の経緯】

○野原は、長年の事業の負担から解放され、肩の荷を下ろすことができ、体調も快方に向かった。野原の熱のこもった現場指揮の結果、離職した従業員もおらず、引き続き同地区で親しまれ続けている。

(2)経営状況が良好でない中小企業において中小 M&A が成立した事例

➀赤字であるにもかかわらず成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:ホテル事業

・売上高:10億円

・従業員:20名

・業歴:45年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:ホテル事業

・売上高:50億円

〇 関与した支援機関:(顧問)税理士、M&A 専門業者

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A 社代表者である斉藤勇(仮)は、裸一貫でホテル事業を立ち上げ、丁寧かつ時流をとらえたサービスが評判を呼び、業界でも有名な経営者となった。しかし、近年は競合他社が増えたこともあり、客足が徐々に遠のき始め、最近3期は経常損失を計上していた。また、後継者候補であった一人息子は病気で亡くなっていた。

○75歳となった斉藤は、まだ自分の体が動くうちに中小 M&A により事業を残したいと考え、顧問税理士に相談した。

【成立に至った経緯】

○顧問税理士から紹介された M&A 専門業者が業界内に太いパイプを有していたため、約2か月で B 社とのマッチングが成立した。B 社は、A 社の知名度だけでなく、丁寧なサービス、教育体制と人材の質を評価した。斉藤も「自分の会社を評価してもらえた」と喜んだ。斉藤は、A 社の全株式を B 社に譲渡し、A 社から引退した。

【成立に至った後の経緯】

○斉藤は、株式の対価である譲渡代金と退職慰労金を受け取り、老後資金として十分な額を確保することができた。引退後は、悠々自適な日々を過ごしている。

②債務超過であるにもかかわらず成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:卸売業

・売上高:12億円

・従業員:30名

・業歴:50年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:卸売業

・売上高:30億円

〇 関与した支援機関:弁護士、中小企業再生支援協議会、M&A 専門業者

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A 社代表者である鈴木智子(仮)は、創業者である父から A 社の経営を引き継ぎ、2代目経営者として A 社を運営していた。しかし、父の代に金融機関から借り入れた金額が合計約20億円あり、既に大幅な債務超過となっていた。

○金融機関への返済で資金繰りが圧迫され、新規投資する余力もなく、このままでは近いうちに破綻すると考えた鈴木は、知人の弁護士に事業再生の相談をした。

【成立に至った経緯】

○鈴木は、弁護士に委任して中小企業再生支援協議会の手続を活用するとともに、当該弁護士の紹介した M&A 専門業者に譲り受け側(スポンサー)探索を依頼し、これによりスポンサー1社が確定した。当該スポンサーは、A 社の販路や地域における知名度を高く評価し、A 社の全事業を事業譲渡の手法により譲り受けた。

○鈴木は、A 社の金融機関からの借入についての個人保証(経営者保証)があったが、「経営者保証に関するガイドライン」により経営者保証を外して当面の生活費と(華美でない)自宅を残すことができた。

【成立に至った後の経緯】

○鈴木は、破産を回避できたことに安堵した。今は、自分が本当にやりたかったけれども父に反対されて実現できなかったビジネスの立ち上げを目指している。

(3)親族内承継の頓挫から中小 M&A に移行し成立した事例

◇ 後継者候補が承継を拒んだため中小 M&A に移行し成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:建設業

・売上高:1億円

・従業員:5名

・業歴:20年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:建設業

・売上高:10億円

〇 関与した支援機関:事業引継ぎ支援センター、弁護士

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A 社代表者である北澤淳二(仮)は、創業者である父から引き継ぎ、2代目として

A 社を経営していた。北澤は自身が65歳を超えたこともあり、事業の承継を考え、明確に意思確認はしていなかったが、同業他社で修行をしていた長男を後継者として迎え入れようとした。しかしながら、A 社の経営状況がよくないこと等から、長男は経営者保証に対する不安等を抱き、継ぐつもりがないことを北澤に伝えた。

○経営を委ねられる従業員はおらず廃業も考えていたところ、事業引継ぎ支援センターからのダイレクトメールで M&A による事業継続という方法があることを知った。

【成立に至った経緯】

○A 社のベテランの職人の技術力が評判であったため、同センターにより2か月で同業者 B 社とのマッチングが実現し、北澤は A 社の全株式を譲渡した。

【成立に至った後の経緯】

○B 社は人手不足の中、A 社のベテラン従業員を採用することができ、職人の育成及び事業拡大を図ることができた。北澤も顧問として職人の育成に寄与している。

(4)意思決定のタイミングが中小 M&A の成立内容に影響を与えた事例

◇ 適切なタイミングで中小 M&A を決断していれば、より好条件で譲り渡せた事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:ギフト用品販売(小売業)

・売上高:2億円

・従業員:15名

・業歴:40年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:ギフト用品販売(小売業)

・売上高:9億円

〇 関与した支援機関:地域銀行、事業引継ぎ支援センター

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A社は創業者・会長の竹橋清(仮)が90歳と高齢ながらまだ実権を握っており、その婿養子・現社長の上原雄太(仮)に発言権はなかった。A 社の取扱商品や販売方法は時代遅れで徐々に売上が減少し、遂に2期連続で経常赤字に陥った。

○上原の経営意欲は低下しつつあった。危機感を持った竹橋も渋々了解の上、地域銀行から紹介された事業引継ぎ支援センターに譲渡相談を行うことになった。

【成立に至った経緯】

○同センターは他地域の同業他社B社に A 社との中小 M&A について打診した。B社は他地域への進出を希望しており、A 社事業を譲り受ける意思も固まっていた。

〇一方、A社は業績と資金繰りが急激に悪化し、事業の継続が危ぶまれた。竹橋は、長年の取引先や従業員のことを第一に考え、譲渡代金の早急な支払を条件とし、当初オファーを受けていた金額よりも相当低額で B 社へ事業譲渡を実行した。

【成立に至った後の経緯】

○竹橋は既存取引先に迷惑を掛けず、従業員の雇用継続が図れたことは満足しているものの、決断が遅れたため低額での譲り渡しとなり後悔の念が残った。

(5)譲り渡し側の条件の明確化が中小 M&A の成立に寄与した事例

①譲り渡し側経営者の希望通り、従業員の雇用が引き継がれることを条件として

成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:メッキ加工業

・売上高:2億円

・従業員10名

・業歴:45年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:溶接加工業

・売上高:10億円

〇 関与した支援機関:(顧問)税理士、M&A プラットフォーム

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A 社は、代表者である隅田紀子(仮)が80歳間近となる中、熟練の職人を抱えていたものの、親族・従業員に承継意思のある後継者が不在のため、中小 M&A を検討し始め、顧問税理士に相談した。

【成立に至った経緯】

〇A 社は顧問税理士に勧められ M&A プラットフォームを活用した。複数件の譲り受け側候補のうちの一社が、他地域で溶接加工会社を営む B 社であった。

〇B 社は、A 社の熟練の職人の技術力を評価し、自動車用金属部品の加工の点で自社事業との相乗効果(シナジー)があると考え、事業譲渡契約締結に至った。

○A 社及び隅田は従業員の雇用継続を第一条件として伝え、譲渡額は譲歩した。

【成立に至った後の経緯】

○B 社は A 社及び隅田との約束通り、A 社従業員の雇用を全て引き継いだ。それと並行して B 社は全従業員へのヒアリングを行い、中小 M&A を機に人事制度改革・ 働き方改革等を進め、待遇の改善が実現した。

②譲り渡し側経営者が中小 M&A の成立後にも一定期間経営に関与することを条

件として成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:家具等製造業

・売上高:3億円

・従業員:20名

・業歴:35年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:家具等製造業

・売上高:60億円

〇 関与した支援機関:事業引継ぎ支援センター、M&A 専門業者

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A 社代表者である大野隆(仮)は65歳になったが、子はおらず他の後継者候補もいないことから、事業引継ぎ支援センターに譲り受け側探索の相談をした。大野は、長年いそしんだ事業に愛着があり、引き続き事業に関与したいと考えていたが、他人に譲った事業に関与させてもらうことは難しいだろうと半ば諦めていた。

【成立に至った経緯】

○A 社は決して大規模ではないが良い製品を作ると業界内では評判であり、譲り受け側 B 社(同業の大手)がすぐ見つかった。大野は言い出して良いものか悩みながら、事業を譲り渡した後も引き続き事業に関与したい、その代わりに譲渡額については譲歩しても良い、とトップ面談で B 社に正直に打ち明けた。

○B 社は、A 社の生産体制にとって大野の高い技術力が重要であると認識しており、大野による提案を受け入れ、非常勤(週3日勤務)で技術指導を依頼することにした。譲渡額は若干減額したが、大野は A 社の全株式を B 社に譲渡した。

【成立に至った後の経緯】

○大野は、希望通り引き続き事業に関与している。一方、毎週4日間の休日は妻と一緒に「夫婦水入らず」の時間を楽しんでいる。

(6)従業員の反対にもかかわらず成立した事例

◇ 中小 M&A に反対していた従業員の理解を得た上で成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:中古厨房機器販売会社

・売上高:1億円

・従業員:7名

・業歴:30年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:厨房機器販売会社

・売上高:20億円

〇 関与した支援機関:(顧問)公認会計士、M&A プラットフォーム

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○中古厨房機器の市場は市況が厳しく、A社も前期から赤字に転落してしまっており、会社に資産が残っている段階での廃業を検討していた。

〇A社代表者の小林誠(仮)が顧問の公認会計士に相談したところ、高額の廃業費用、従業員への影響等を考慮し、より良い選択肢として中小 M&A を提示された。

【成立に至った経緯】

〇顧問の公認会計士が M&A プラットフォームを活用して譲り受け側候補を探索した結果、他県で新品厨房機器販売を営む B 社とつながった。B 社も、業界全体が苦しい中、生き残りのための中小 M&A と考えており、両社のニーズが合致した。

〇これに対し、数名の A 社従業員は、「すぐに全員解雇される」と誤解し、中小 M&Aに反対した。そこで B 社は小林と共同で従業員説明会を開催し、あくまで会社の将来を案じての意思決定であり、従業員の雇用も守る旨を膝詰めで丁寧に説明したところ、全員からの納得が得られ、円満に小林との株式譲渡契約締結に至った。

【成立に至った後の経緯】

○B 社は約束通り A 社従業員の雇用を守り、事業を継続している。

(7)廃業を予定していたものの中小 M&A が成立した事例

➀事業の一部を中小 M&A により譲渡し、廃業費用を捻出した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:製造業・小売業

・売上高:8億円

・従業員:30名

・業歴:30年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:製造業

・売上高:10億円

〇 関与した支援機関:(顧問)税理士

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A社は、製造業・小売業の2つの事業を営んでいた。小売業は黒字で採算がとれている一方、製造業は常に大幅な赤字で不採算であった。しかし、製造業のみに利用している工場の閉鎖には、数千万円単位の廃業費用が見込まれており、A 社の代表者である伊藤博(仮)は、製造業の部門の閉鎖を決断できずにいた。

○そのような状況で、伊藤は70歳となり、後継者候補もいないことから、顧問税理士に中小 M&A の相談をしたところ、その関与先である B 社を紹介された。

【成立に至った経緯】

○B 社は、A 社の小売業部門の独自性・流通網に大きな魅力を感じる一方、製造業部門は不採算部門として認識し、小売業部門のみの譲り受けを希望した。そのため、A 社は、B 社に対し、小売業部門のみを一部事業譲渡した。

【成立に至った後の経緯】

○A 社は、B 社から受け取った事業譲渡対価から、製造業部門の廃業費用を捻出することができたため、伊藤は A 社を解散・清算して無事に閉じることができた。

②廃業を考えていたものの、支援機関から中小 M&A を提案されたことを機に中小

M&A に挑み、成立した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:製造業

・売上高:5億円

・従業員:20名

・業歴:40年

〇 譲り受け側:B 社

・業種:製造業

・売上高:30億円

〇 関与した支援機関:M&A 専門業者

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A 社代表者である青田豊(仮)は、A 社を設立して40年、A 社の事業に全力投球してきた。しかし、子はおらず、他の後継者候補もいなかった。また、創業時から二人三脚で A 社の事業に尽力してきた妻が最近亡くなったため、事業を継続していく気力をなくし、廃業を検討し始めていた。

○そのような状況で、知人から紹介された M&A 専門業者に相談したところ、中小M&A という選択肢があることを知った。青田は、もともと従業員や取引先に迷惑を掛けたくないと思っていたことに加え、亡き妻と一緒に大きくしてきた事業を可能な限り継続させたいと思い直したことから、中小 M&A に踏み切ることを決意した。

【成立に至った経緯】

○A 社は地元では優良企業として知られており、すぐに同地域内の B 社から声が掛かり、青田と B 社の間で株式譲渡が円滑に実行された。

【成立に至った後の経緯】

○青田は、妻との思い出の詰まった A 社をそのまま残せていることを、心から嬉しく思っている。一方で、青田は B 社から「顧問」という立場で A 社に残ることを打診されたが、これを断り、A 社の外から、A 社のますますの発展を祈っている。

(8)何らかの理由により中小 M&A が成立しなかった事例

➀中小 M&A 着手が遅れたため、資金繰りが尽きてしまい、中小 M&A が不成立に

終わり廃業した事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:設備工事業

・売上高:5000万円

・従業員:5名

・業歴:40年

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A 社代表者である大岡千太(仮)は70歳で、後継者候補もいないものの、多忙な毎日に追われ、事業承継を考える暇がなかった。

○A 社は、金融機関から約2億円の借入を行い、なんとか事業を継続していたが、大岡は体力が徐々に落ち始め、満足に営業できなくなってしまった。それと並行して、A 社は顧客が少しずつ離れていき、3年前に約1億円あった売上も約5000万円に落ち込んだ。資金繰りは日に日に悪化していき、2~3か月以内に資金繰りが尽きることが見込まれる状況に陥ってしまった。

○そこで、大岡は弁護士に相談し、社外の第三者に事業を譲り渡そうと決意した。

【不成立に至った経緯】

○資金繰りが悪化する中で、A 社が譲り受け側(スポンサー)を探す時間的な余裕はほとんど残されていなかった。また、弁護士が紹介した M&A 専門業者が懸命にスポンサー探索を行った結果、スポンサー候補が複数社、A 社に関心を示したものの、活気を失った A 社の事業を譲り受ける決意をしたスポンサーは現れなかった。

【不成立に至った後の経緯】

○A 社は、資金繰り悪化に耐えきれず破産し、廃業した。また、A 社の金融機関からの借入について個人保証(経営者保証)していた大岡も、同時に破産した。

②社外へ情報が漏れたことに伴い、中小 M&A が不成立になった事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:製造業

・売上高:3億円

・従業員:20名

・業歴:30年

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A 社代表者である遠藤茂(仮)は、後継者候補がいないことから、金融機関からの紹介で M&A 専門業者に中小 M&A の相談を行った。

【不成立に至った経緯】

○M&A 専門業者が迅速に動いたことから、4か月で、B 社とのマッチングが実現した。基本合意を締結し、あとは最終契約に向けて交渉を詰めていく段階にあった。

○遠藤は、当該 M&A 専門業者から「M&A が成立して無事に決済が完了するまでは、M&A に関する情報は慎重に取り扱うようにし、自社の従業員や社外の方には決して知らせないように。」と再三にわたって忠告されていた。しかし、遠藤は、B 社が譲り受け側に事実上内定したと認識して安堵し、まだ決済どころか最終契約も完了していないにもかかわらず、従業員や一部取引先を含め、色々な関係者に B 社の名前を出した上で、中小 M&A を行おうとしている事実を伝えてしまった。

○B 社は、遠藤により中小 M&A の情報が流出したことを知って激怒し、信頼関係が破壊されたことを理由に、その後の中小 M&A に関する交渉を打ち切った。

【不成立に至った後の経緯】

○その後、A 社は、遠藤が90歳を迎える頃まで徐々に事業規模を縮小していき、最終的には廃業に至った。遠藤は、B 社との交渉が決裂した後になって初めて、中小 M&A に関する情報の取扱いの重要性を理解した。

③オーナー一族間の不和、コミュニケーション不足により、中小 M&A が不成立に

なった事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:製造小売業

・売上高:5億円

・従業員:50名

・業歴:60年

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○15年前、先代オーナーであった父親の他界に伴い、製造部門の責任者であった長男(芦田幸平(仮))が A 社の社長に就任し、販売部門の責任者であった次男(芦田淳平(仮))が副社長に就任した。その後、A 社は新規事業に挑戦するも失敗し、また、人件費の高騰等で業績は伸び悩み、資金繰りが悪化した。

○淳平はこのままでは A 社が破産してしまうと危機感を持ち、知り合いの弁護士に相談をしたところ、事業再生のためにはスポンサー探しが必要と示唆され、当該弁護士の紹介した M&A 専門業者に依頼した。

【不成立に至った経緯】

○M&A 専門業者が複数のスポンサー候補を提示した。このうち、B 社は A 社の販路や知名度を高く評価し、A 社の主力事業を事業譲渡の手法により譲り受けたいと興味を示し、淳平と面談を実施した。

○一方で、3代続く家業を第三者に譲ることに反対していた幸平は、淳平が社長である自分に相談せずスポンサー探しをしていたことに激怒し、淳平に副社長としての役職を辞任させ、更に B 社との交渉を打ち切った。

【不成立に至った後の経緯】

○A 社従業員は、経営陣の内紛に不安を感じ、退職者が急増した。A 社は売上も伸びず、徐々に事業規模を縮小していき、最終的には廃業に至った。

④譲り渡し側が不誠実であったため中小 M&A が成立しなかった事例

<事例の概要>

〇 譲り渡し側:A 社

・業種:運送業

・売上高:10億円

・従業員:30名

・業歴:30年

<中小 M&A の経緯等>

【意思決定に至るまでの経緯】

○A社は地域密着で運送業を営んでいたが、社長である近藤勝(仮)が75歳となり、後継者候補がいなかったことから、中小 M&A を決意し、M&A 専門業者にマッチング支援を依頼した。

【不成立に至った経緯】

〇A 社は地域内では有名な企業であり、同地域内の B 社とのマッチングがすぐに実現し、近藤の有する A 社株式の全部譲渡を前提に、順調に基本合意締結に至った。しかし、近藤は、B 社への対応を甘く考えており、B 社による DD にほとんど協力せず、4か月経っても DD の必要資料がほとんど揃わない状況であった。

○また、近藤は、A 社を手放すのが段々と惜しくなってきたため、譲渡条件がほぼ固まった後になって突然、中小 M&A 後も自分を A 社の顧問として登用し、A 社の経営を自分に委ねるよう、B 社に対して要求するようになった。

〇B 社は、近藤の不誠実な対応に嫌気が差し、A 社及び近藤との信頼関係が損なわれたことを理由に、A 社との中小 M&A を断念し、交渉を中止した。

【不成立に至った後の経緯】

○その後も A 社において中小 M&A が成立することはなく、近藤は数年後に持病で亡くなった。突然トップ不在となった A 社は、役員・従業員間での経営権争いを経て元役員により承継されたが、長い社内抗争を経てすっかり弱体化し、その後、廃業した。

(参考資料5)日本政策金融公庫「事業承継マッチング支援」

日本政策金融公庫(略称:日本公庫)国民生活事業本部(小規模事業者や創業企業向けの事業資金融資等を担当)は、事業引継ぎ支援センター等と連携し、令和2年4月から、「事業承継マッチング支援」を、全国規模(沖縄県を除く各都道府県)で実施。

◆ 「事業承継マッチング支援」の概要

「事業承継マッチング支援」は、後継者不在の小規模事業者(※1)から、「第三者に事業を譲り渡したい」というニーズを引き出し、「他の事業者から事業を譲り受けたい」という事業者等(※1)の中から希望条件の合致するケースを探して、両者の引き合わせ及び引き合わせ後に生じる事業・株式譲渡の手続を支援する取組である。

※1 本サービスは原則として、日本公庫に事業資金の借入残高がある企業を対象としているが、借入残高がない企業であっても、商工会議所・商工会、生活衛生同業組合、税理士等の中小企業・小規模事業者支援に取り組む団体又は専門家からの紹介により、本サービスを利用することが可能である。

※2 引き合わせ(マッチング)後に生じる事業・株式譲渡の手続において、専門家の支援が必要な場合は、事業引継ぎ支援センターへの取次ぎを行う。

◆ 「事業承継マッチング支援」の主な特徴

① 事業を譲り受けて創業する者も対象である。

② 日本公庫の専任担当者が、顧客の希望を踏まえ、マッチング候補先を探す。

③ 譲渡希望・譲受希望いずれの者も、本サービスを無料で利用できる。

(参考資料6)仲介契約・FA 契約締結時のチェックリスト

  • 中小 M&A に関する希望条件を、明確に伝えたか。
  • 譲り渡し側・譲り受け側の双方から受任する仲介者と、譲り渡し側・譲り受け側いずれかのみから受任する FAの違いを理解しているか。その上で、本件では仲介者と FA のいずれに該当するかを確認したか。

※仲介者の場合は、譲り渡し側・譲り受け側の双方に対し手数料を請求することが通常である。

  • 業務範囲はどの工程か。具体的な業務の内容は何か。

例:譲り渡し側・譲り受け側のマッチングまで支援する。具体的には○○のような方法で支援する。

  • 手数料はどのような基準で算定し、どのタイミングで支払う必要があるのか。また、最低手数料は設けられているのか。

例:本件では、着手金・月額報酬・中間金は請求せず、成功報酬のみ請求する。成功報酬額は純資産額を基準に算定し、○○円未満の場合には最低手数料○○円を請求する。

  • 秘密保持条項は設けられているか。その場合、どのような情報の秘密を守る必要があるのか。また、特定の者への情報の共有は許されているか。

例:本件取引の内容や交渉の経緯は秘密である。ただし、弁護士等の士業等専門家に必要な情報を共有することは許される。

  • マッチング支援等において並行して他の仲介者・FA への依頼を行うことを禁止する条項(専任条項)は設けられているか。士業等専門家等にセカンド・オピニオンを求めることは可能か。
  • 契約期間はいつまでか。中途解約に関する条項はあるか。(専任条項が設けられている場合)いつまで専任条項が有効か。
  • M&A 未成立で仲介契約・FA 契約が終了した後、一定期間内に譲り渡し側が M&A を行った場合に、その仲介者・FA が手数料を請求できることとする条項(テール条項)は設けられているか。その期間は2年~3年以内か。対象となる M&A は、その仲介者・FAが実際に紹介してきた譲り受け側とのM&A に限定されるか。

 


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● 事業承継を希望される事業分野において、売り手情報と買い手情報のご案内、業界の調査(希望地域のニーズや競合の調査)、適切な事業承継の形態についての事前のご相談、売り手企業様と買い手企業様の協議の支援、事業承継計画立案の支援、事業承継に必要な各種の手続の代行、事業承継に必要な各種の許可認可の申請代行、事業承継に必要な各種の書類の準備、助成金・補助金の申請や金融機関の融資などの資金調達支援、求人手続・採用面接など人材の確保、各種法人の設立・合併・解散の手続、事業承継に関わる様々な法律問題についての企業法務、事業承継後の事業経営の諸問題への対応・コンサルティングほか、事業承継のための諸手続を、すべて代行・サポートさせて頂きます。

事業承継、M&Aの諸手続は、専門の行政書士にお任せください。

● 税理士・公認会計士・社会保険労務士・司法書士・弁護士・公証人・土地家屋調査士・不動産鑑定士、その他、経営・金融・保険などの専門家とも常に連携しております。

● ご相談窓口一つで、様々なご事情やご要望に、適切に迅速に対応させて頂けると存じます。

 

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■ ご相談承り窓口(芦屋)でも、出張でも、承ります。

◆ 神戸市・芦屋市・西宮市・尼崎市・伊丹市・宝塚市・大阪市などの皆様には、芦屋市大桝町(三八通り)に、ご相談窓口をご用意しており、多くの皆様にご利用頂き、ご好評を賜っております。

JR芦屋から徒歩5分、阪神芦屋から徒歩5分、阪急芦屋川から徒歩8分、専用駐車場もございます。どうぞ、お気軽にお越しください。

◆ ご予約頂ければ、平日夜間、土曜・日曜のご相談(面談)も、承ります。

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青森県】・青森市・八戸市・弘前市・十和田市・むつ市・五所川原市・三沢市・黒石市・つがる市・平川市

岩手県】・盛岡市・宮古市・大船渡市・花巻市・北上市・久慈市・遠野市・一関市・陸前高田市・釜石市・二戸市・八幡平市・奥州市・滝沢市

宮城県】・仙台市・石巻市・塩竈市・気仙沼市・白石市・名取市・角田市・多賀城市・岩沼市・登米市・栗原市・東松島市・大崎市・富谷市

秋田県】・秋田市・能代市・横手市・大館市・男鹿市・湯沢市・鹿角市・由利本荘市・潟上市・大仙市・北秋田市・にかほ市・仙北市

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茨城県】・水戸市・日立市・土浦市・古河市・石岡市・結城市・龍ケ崎市・下妻市・常総市・常陸太田市・高萩市・北茨城市・笠間市・取手市・牛久市・つくば市・ひたちなか市・鹿嶋市 ・潮来市・守谷市・常陸大宮市・那珂市・筑西市・坂東市・稲敷市・かすみがうら市・桜川市 ・神栖市・行方市・鉾田市・つくばみらい市・小美玉市

栃木県】・宇都宮市・足利市・栃木市・佐野市・鹿沼市・日光市・小山市・真岡市・大田原市・矢板市・那須塩原市・さくら市・那須烏山市・下野市

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千葉県】・千葉市・銚子市・市川市・船橋市・館山市・木更津市・松戸市・茂原市・成田市・佐倉市・東金市・旭市・習志野市・柏市・勝浦市・市原市・流山市・八千代市・我孫子市・鴨川市・鎌ケ谷市・君津市・富津市・浦安市・四街道市・袖ケ浦市・八街市・印西市・白井市・富里市・南房総市・匝瑳市・香取市・山武市・いすみ市・大網白里市

東京都】・千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・台東区・墨田区・江東区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・中野区・杉並区・豊島区・北区・荒川区・板橋区・練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区・八王子市・立川市・武蔵野市・三鷹市・青梅・府中市・昭島市・調布市・町田市・小金井市・小平市・日野市・東村山市・国分寺市・国立市・福生市・狛江市・東大和市・清瀬市・東久留米市・武蔵村山市・多摩市・稲城市・羽村市・あきる野市・西東京市

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※なお、下記の地域は、初回の出張相談の日当を無料とさせて頂きます。

【東京都】・世田谷区・練馬区・大田区・江戸川区・足立区・杉並区・板橋区・江東区・葛飾区・品川区・北区・新宿区・中野区・豊島区・目黒区・墨田区・港区・渋谷区・荒川区・文京区・台東区・中央区・千代田区

【千葉市】・千葉市中央区・千葉市花見川区・千葉市稲毛区・千葉市若葉区・千葉市緑区・千葉市美浜区

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