宗教法人の設立・運営をお考えの皆様へ
宗教団体は、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教法人法により法律上の能力を得ることができるとされています(宗教法人法第1条)
宗教法人を設立しようとする者は、所定の事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならず、所轄庁への認証申請の少なくとも1か月前に、信者その他の利害関係人に対し、規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨を公告しなければなりません。
宗教法人は、所轄庁の規則の認証を得た後、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します。
なお、設立後においても、一定の事項については認証を受けなければならない事項や届出を行わなければならない事項があります。
【宗教法人の設立手続の順序】 ※文化庁HPより
● 認証申請のための役所との事前協議
● 申請書類の作成
● 添付書類の準備
● 役所の窓口への申請代理・書類提出
● 宗教法人設立後の運営コンサルティング ほか
宗教法人の設立・運営に関わる手続を、すべて代行・サポートさせて頂きます。
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宗教法人運営ガイドブック
※「宗教法人運営のガイドブック」文化庁より抜粋
≪管理運営編≫
【1】 宗教法人法を知っていますか。
我が国には、宗教法人が全国で約18万余存在しています。ひとくちに宗教法人といっても、地域の神社、寺院、教会のようなものから全国的な組織をもつ教派、宗派、教団のようなものまで、大小さまざまですが、これらの宗教法人がすべて宗教法人法に基づいて法人となっていることはいうまでもありません。
ところが、実際には、宗教法人の代表役員の中には、宗教法人法の内容を良く知らない方がいらっしゃるようです。
もう一度、宗教法人法に何が書いてあるのか、振り返ってみませんか。
宗教法人法は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法人格を与えることを目的として作られた法律です。
※第一条 この法律は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。
宗教法人法の理念及び特徴は、次のようにまとめることができます。
1 宗教法人法の基本的理念
(1)信教の自由と政教分離の原則
憲法で保障された信教の自由と政教分離の原則が尊重され、行政等は宗教上の事項については調停や干渉を行ってはならないとされています。
(2)聖・俗分離の原則
宗教法人は宗教的事項と世俗的事項の二面の機能を併せ持っていますが、宗教法人法は宗教団体の世俗的事項に関してのみ規定しています。
(3)自治の尊重と自律性への期待
宗教活動の自由を最大限に保障するため、役員の資格・任免、必要な機関の設置、財産処分の方法等についても、できるだけそれぞれの宗教法人の特性に応じた自主的、自律的運営に委ねています。
(4)性善説
宗教は国民の道徳基盤を支えるものです。したがって、宗教法人には非違行為はないという考え方から、財産の処分等について、所轄庁の許可等は必要ありません。
※第八十五条 この法律のいかなる規定も、文部科学大臣、都道府県知事及び裁判所に対し、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項についていかなる形においても調停し、若しくは干渉する権限を与え、又は宗教上の役職員の任免その他の進退を勧告し、誘導し、若しくはこれに干渉する権限を与えるものと解釈してはならない。
2 宗教法人法の特徴
(1)認証制度
宗教法人の設立、規則の変更、合併、解散について、そのつど所轄庁の認証を得なければなりません。
※第二十六条 宗教法人は、規則を変更しようとするときは、規則で定めるところによりその変更のための手続をし、その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。(略)
(2)責任役員制度
宗教法人には、必ず3人以上の責任役員(うち1人は代表役員)を置き、規則に別段の定めがなければ、宗教法人の事務は責任役員の定数の過半数で決し、その議決権は、各々平等となっています。
※第十八条 宗教法人には、三人以上の責任役員を置き、そのうち一人を代表役員とする。
※第十九条 規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は、各々平等とする。
(3)公告制度
宗教法人が重要な行為(合併、解散、財産処分等)をしようとするときには、信者その他の利害関係人に公告することを義務づけています。
※第二十三条 宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。(略)
一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。
【2】宗教法人になれる条件とは。
電話による問い合わせです。
・「宗教法人を作りたいのですが、どういう手続をしたらいいですか?」
・「すでに宗教活動をしていて、信者さんや礼拝施設もあるわけですね。」
・「いや、これからです。以前から宗教には興味があったんですが、最近、退職して暇もできたので、これから宗教法人を始めたいのです。」
これでは、まだ、宗教法人の設立は無理です。
もちろん、憲法で信教の自由が保障されていますから、宗教活動を始めることは自由です。
しかし、宗教法人になるためには、その前提として、宗教法人法にいう宗教団体がすでに存在し、現に活動していなければなりません。
では、宗教法人法にいう宗教団体とはどんなものでしょうか。
◇宗教団体の要件
○ 教義をひろめる
宗教なら、当然、教義があるはずです。また、単にあればいいというのではなく、それを人々にひろめる活動をしていなければなりません。
○ 儀式行事を行う
宗教活動の一環として、日頃から儀式行事が行われていなければなりません。
○ 信者を教化育成する
教義の宣布によって信者を導くことが行われ、信者名簿等も備わっていなければなりません。
○ 礼拝の施設を備える
邸内施設ではなく、公開性を有する礼拝の施設がなければなりません。
※第二条 この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。
一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体
二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体
※第四条 宗教団体は、この法律により、法人となることができる。
2 この法律において「宗教法人」とは、この法律により法人となつた宗教団体をいう。
これらの要件は、宗教法人が存続するための条件でもあります。ですから、すでに宗教法人となっていても、これらの要件のいずれかが欠けた場合には、すみやかに再建するか、さもなければ法人を解散する必要があります。
※ 最近、宗教活動とは関わりのない者から、宗教団体の要件を満たしたとして、宗教法人の設立申請をする動きが一部にみられます。
しかし、宗教法人法でいう宗教団体とは、何もないところから一朝一夕に生まれるものではなく、いくら形式的には要件が整っているように見えても、実際に団体としての実体がなく、独自の活動実績がない場合は宗教法人にはなれません。
◇包括宗教団体
神社、寺院、教会等は、このような要件を備えて初めて宗教法人になることができる宗教団体です。このほか宗教団体には、神社、寺院、教会等を包括する教派、宗派、教団等の宗教団体があり、こうした団体も同様に宗教法人になることができます。包括宗教団体に包括される宗教法人は、規則の定めにより、包括宗教団体の承認等を受けて事務を進めなければならない場合もあります。
【3】宗教法人の運営は規則に決めたとおりにしましょう。
1まず、みなさんの法人の規則を見てください。
規則は、みなさんの法人を運営するための根本原則です。
みなさんの法人が、その運営方法について所定の手続を経て正式に作成し、所轄庁の認証を受けたものです。言い換えますと、みなさんの法人の運営方法について公に示したものです。ですから、法人の運営を規則に従って公明正大に行うことは、法人として当然の責務であり、社会的な信用を損なわないよう適正な管理運営が求められます。
※第十八条 5 代表役員及び責任役員は、常に法令、規則及び当該宗教法人を包括する宗教団体が当該宗教法人と協議して定めた規程がある場合にはその規程に従い、更にこれらの法令、規則又は規程に違反しない限り、宗教上の規約、規律、慣習及び伝統を十分に考慮して、当該宗教法人の業務及び事業の適切な運営をはかり、その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならない。
2 もし、規則を紛失していたら
宗教法人の規則が、法人の運営にとって絶対欠かせないものであることはお分かりいただけたと思います。
万一、規則を紛失していたら、直ちに所轄庁に相談して、規則の謄本の交付を受けてください。
3 規則と現状を見比べてください。
規則に定めてある内容と運営の実情は一致していなければなりません。
みなさんの法人ではいかがですか。もし、一致していなければ、①運営方法を規則の規定に合わせる、②規則の規定を実情に合うように変更する、のいずれかの処理が必要です。一度、規則の見直しを行ってみましょう。
なお、規則は、法人内部で変更しても、変更したことにはなりません。規則の変更も、やはり、所轄庁の認証が必要です。規則変更の手続きについては、「6.規則を変えるには。」をご覧ください。
※第二十六条 宗教法人は、規則を変更しようとするときは、規則で定めるところによりそ
の変更のための手続をし、その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならな
い。(略)
4 規則の備え付け
規則は、法人の事務所に常に備え付けておかなければなりません。
規則は、しまいこむものでなく、必要なときは、いつでも参照できる状態にあることが望ましいのです。ただ、規則は重要なものですから、その原本は厳重に保管し、原本をコピーするなどして、それを普段は使用されたらいかがでしょうか。
※第二十五条 2 宗教法人の事務所には、常に次に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。
一 規則及び認証書
【4】あなたのところには役員がそろっていますか。
宗教法人の管理運営は、これから述べる代表役員、責任役員、代務者等の諸機関及びその他の議決・諮問機関あるいは監査機関等によって行われます。これらの役員が欠けている場合は、新たに選任する必要があります。
(1)代表役員
代表役員は「宗教法人を代表し、その事務を総理する」者をいい、宗教法人の執行機関として必ず置かなければならない機関の一つです。
※第十八条 3 代表役員は、宗教法人を代表し、その事務を総理する。
代表役員は、このように法人の中枢機関であり、その氏名及び住所は登記して公示しなければなりません。したがって、代表役員が変更になった場合には、変更の登記をするとともに、所轄庁に届け出ることが必要です。なお、代表役員及びその代務者が1年以上にわたって欠けているときは、解散命令の対象となります。
※第九条 宗教法人は、第七章の規定による登記(所轄庁の嘱託によつてする登記を除く。)をしたときは、遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければならない。
(2)責任役員
責任役員は宗教法人の管理運営機関の一つとして、宗教法人法上必ず置かなければならないものであり、法人の事務に関して審議をし、宗教法人としての意思決定を行う機関です。
※第十八条 4 責任役員は、規則で定めるところにより、宗教法人の事務を決定する。
(3)代務者
代務者とは、法人の役員が何らかの事由で欠けたり、病気等で長期間職務を行うことができない場合に置かれる代行機関のことをいいます。
この代務者には、代表役員代務者と責任役員代務者とがあり、このうち代表役員代務者については、代表役員と同様に登記事項となっています。
※第二十条 左の各号の一に該当するときは、規則で定めるところにより、代務者を置かなければならない。
一 代表役員又は責任役員が死亡その他の事由に因つて欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。
二 代表役員又は責任役員が病気その他の事由に因つて三月以上その職務を行うことができないとき。
2 代務者は、規則で定めるところにより、代表役員又は責任役員に代つてその職務を行う。
(4)仮代表役員・仮責任役員
代表役員と法人との利益が相反するような場合には、当該事項については、代表役員に代わって仮代表役員を選任しなければなりません。
また、責任役員は、その責任役員と特別の利害関係がある事項については、議決権を有しません。この場合において、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過半数に満たないこととなったときは、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選任しなければなりません。
※第二十一条 代表役員は、宗教法人と利益が相反する事項については、代表権を有しない。この場合においては、規則で定めるところにより、仮代表役員を選ばなければならない。
2 責任役員は、その責任役員と特別の利害関係がある事項については、議決権を有しない。この場合において、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過半数に満たないこととなつたときは、規則で定めるところにより、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選ばなければならない。
3 仮代表役員は、第一項に規定する事項について当該代表役員に代つてその職務を行い、仮責任役員は、前項に規定する事項について、規則で定めるところにより、当該責任役員に代つてその職務を行う。
(5)役員の欠格
次の各項目に該当する者は、代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員となることができません。また、代表役員、責任役員等が、次の各項目に該当すれば、その資格を失うことになり、当然退任することになります。
1.未成年者
2.成年被後見人又は被保佐人
3.禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
(注)成年被後見人…精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、後見開始の審判を受けた者をいう。
被保佐人…精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者で、保佐開始の審判を受けた者をいう。
※第二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員となることができない。
一 未成年者
二 成年被後見人又は被保佐人
三 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
【5】宗教法人の事務運営の独断専行は許されません。
1 宗教法人の活動領域とその「事務」
宗教法人は宗教活動を主たる目的とする宗教団体が法人となったものです。ところが、宗教活動を行うためには、それに必要な業務が生じます。
例えば、礼拝施設などを維持管理したり、必要経費を支出したり、献金を収納・管理したり、第三者と取引したりすることです。こうした業務を宗教法人の「事務」と呼んでいます。
このように考えますと、宗教法人の活動領域は、宗教活動と「事務」の二つに大別されることが分かります。そして、宗教法人の「事務」の領域に宗教法人法がかかわり、その運営の仕方を法人の規則が規定しているのです。
宗教活動についてはそれぞれが自由に行って良いことは、いうまでもないことです。
2 宗教法人の「事務」の決め方
宗教法人の「事務」は、法人に置かれている責任役員会やそれぞれの法人が任意に置いた総会、総代会といった機関の議を経て、決定されることになります。また、場合によっては包括宗教団体の承認等が必要な場合があります。事務を決定する際には、規則で定められた手続を経る必要があり、代表役員が、独断的に行ってはいけません。
※第十八条 4 責任役員は、規則で定めるところにより、宗教法人の事務を決定する。
3 法人の「事務」の執行の仕方
事務の予定が法人として正式に決定されたら、それを代表役員が法人を代表して忠実に実行(執行)することになります。代表役員が、その計画の内容に不満を持っていても、規則に従って行われた法人としての意思決定に従って実行しなければならないのは、いうまでもないことです。なお、宗教法人には、宗教活動などに伴って、例えば予算案や決算案を作成したり、収入や支出を記帳したり、財産を管理するなどさまざまな日常の業務があります。
代表役員は、このような法人の内部において行われるいろいろな業務の責任者としての立場にあることも忘れてはいけません。
※第十八条 5 代表役員及び責任役員は、常に法令、規則及び当該宗教法人を包括する宗教団体が当該宗教法人と協議して定めた規程がある場合にはその規程に従い、更にこれらの法令、規則又は規程に違反しない限り、宗教上の規約、規律、慣習及び伝統を十分に考慮して、当該宗教法人の業務及び事業の適切な運営をはかり、その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならない。
【6】 規則を変えるには。
ある宗教法人の代表役員Aさんと別の法人の代表役員のBさんの会話です。
Aさん: 「私のところでは、駐車場を始めました。」
Bさん: 「なぜですか。」
Aさん: 「最近、信者が減って、法人の運営が財政的に苦しいものですから。」
Bさん: 「ところで、Aさん。規則の変更を行ったんでしょうね。」
Aさん: 「いえ、まだです。」
Bさん: 「そりゃ大変だ。事業を新たに始める場合には、規則の変更も必要なんですよ。早く、所轄庁に規則変更の認証申請をした方がいいですよ。」
Aさん: 「教えてくださって、どうもありがとう。」
宗教法人における規則は、法人の目的、組織、管理運営の根本原則を宗教法人法にのっとり、法人自身が定めたものであり、法人の業務運営は、この規則に従って行わなければなりません。
したがって、法人の運営方法等を変えようとするときには、規則を変更する必要があります。
◇規則変更の手続
規則を変更するには、2段階の手続が必要です。
- 第1段階
まず、法人内部の手続があります。法人内部の規則変更手続をどのように定めるかは、各法人の自主性に委ねられており、それぞれの規則でその手続を定めることになっています。規則変更については、一般に、責任役員会の議決の外に総代会や信者総会等の議決を経ることとし、しかも、その議決は、通常の事務決定の過半数ではなく3分の2以上とするなど重くしている例が多く見受けられます。
※第二十六条 宗教法人は、規則を変更しようとするときは、規則で定めるところによりその変更のための手続をし、その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。(略)
(2)第2段階 法人内部の規則変更の手続が完了したら、法人は、所轄庁に対し認証のための申請手続をとらねばなりません。そのためには、「規則変更認証申請書」に「変更しようとする事項を示す書類」、「規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類」などを添えて所轄庁に提出することが必要です。なお、規則変更は、規則変更認証書の交付によってその効力を生じます。
※第二十七条 宗教法人は、前条第一項の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書及びその変更しようとする事項を示す書類二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類
※第二十八条 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない。
一 その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
二 その変更の手続が第二十六条の規定に従つてなされていること。
※第三十条 宗教法人の規則の変更は、当該規則の変更に関する認証書の交付に因つてその効力を生ずる。
◇規則変更の手続の順序
・責任役員会の議決
⇒包括宗教団体の承認・総会、総代会等の同意
⇒規則変更認証申請⇒添付書類の有無等の審査⇒受理通知⇒審査
⇒変更認証 ⇒変更認証書、変更認証した規則(及びこれらの謄本)の交付
⇒変更登記⇒登記事項変更届
【7】 あなたのところは備えてますか、書類、帳簿類。
Aさん: 最近ある県で宗教法人を訪問して、「○○県庁から依頼を受けました。」といって、「法人の解散、再興手続を代行します。」とか、「法人規則を見せてください。それから、役員の就任状況等を聞かせてください。」という行政の名をかたった業者があったそうです。
Bさん: へー、そんなことがあるんですか。
Aさん: そうです。こういうときは、ほんとうにそうかどうか所轄庁に電話で確認してみる必要がありますね。
Bさん: 念のため、そうしたほうがいいですね。だけど、なぜ、そんなことをするんでしょう。
Aさん: 書類の管理がルーズな場合、その書類を手に入れた第三者が法人そのものを他に移転させたり、代表役員に就任したりすることがあるようです。そして、このような事件に巻き込まれると、元に戻すのに裁判に訴えるなどなかなか大変になります。
Bさん: 全くせちがらい世の中になってきましたね。自分の身は、自分で守らなくちゃ。
※宗教法人は、管理運営を行うに当たり、法人の状況を的確に把握するため、必要な書類、帳簿を常に備え付け、その保管には万全の注意を払う必要があります。また、宗教法人法に定められた備付け書類等は、信者その他の利害関係人の閲覧請求権の対象になりますし、その一部の写しは毎年所轄庁に提出する必要があります。(提出書類編を参照)
◇宗教法人の事務所には、常に、次の書類、帳簿を備え付けておくことが義務づけられています。
1 規則、認証書
宗教法人の運営は、常に規則の定めるところに従って行われなければなりませんので、所轄庁の認証を受けた「規則」とそれを証明する「認証書」を備え付けておき、規則による法人運営の適法性が常時確認できる状態にしておく必要があります。なお、規則や認証書を紛失していたら、直ちに所轄庁に相談して、規則や認証書の謄本の交付を受けてください。
2 役員名簿
宗教法人の運営は、責任役員等の役員により行われるものです。常時、現在の役員が誰であるかを把握できるように「役員名簿」を整備しておく必要があります。
3 財産目録
4 収支計算書
公益事業以外の事業を行っていない法人で、その一会計年度の収入が8,000万円以内の場合は、当分の間、収支計算書を作成しないことができます。ただし、そのような法人であっても、実際に収支計算書を作成しているときには、それを事務所に備え付ける必要があります。
5 貸借対照表(作成している場合)
6 境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類
7 責任役員会等の議事録
宗教法人の意思は、責任役員会で決定されるので、後日の証拠資料として会議の経過と決定した事項を記録として残しておく必要があります。責任役員会以外の規則で定める機関(総代会など)の会議内容についても同様です。
8 事務処理簿
宗教法人の管理運営に関する事務を処理した経過を簡潔に記録しておき、後日の参考とするため「事務処理簿」を備えておく必要があります。
9 事業に関する書類(事業を行っている場合)
10 その他の書類、帳簿
以上のほか、宗教法人法上は義務づけられていませんが、「規則の施行細則」、「法人の登記事項証明書」、「信者名簿」等の書類、帳簿を備え付けておくことが望まれます。
役員名簿や財産目録等の作成、備付けを怠ったときは、代表役員、その代務者、仮代表役員等は10万円以下の過料に処せられることとされています。また、虚偽の記載をしたときも同様です。
※第二十五条 宗教法人は、その設立(合併に因る設立を含む。)の時に財産目録を、毎会
計年度終了後三月以内に財産目録及び収支計算書を作成しなければならない。
2 宗教法人の事務所には、常に次に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。
一 規則及び認証書
二 役員名簿
三 財産目録及び収支計算書並びに貸借対照表を作成している場合には貸借対照表
四 境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類
五 責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び事務処理簿
六 第六条の規定による事業を行う場合には、その事業に関する書類
※第八十八条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、宗教法人の代表役員、その代務者、仮代表役員又は清算人は、十万円以下の過料に処する。
四 第二十五条第一項若しくは第二項の規定に違反してこれらの規定に規定する書類若しくは帳簿の作成若しくは備付けを怠り、又は同条第二項各号に掲げる書類若しくは帳簿に虚偽の記載をしたとき。
【8】 信者その他の利害関係人から事務所備付け書類等の閲覧請求があった場合には。
宗教法人は、信者その他の利害関係人で、宗教法人の事務所備付け書類等の閲覧につき正当な利益があり、かつ不当な目的によるものでない者から請求があったときは、閲覧させなければならないこととされています。
これは、閲覧について正当な利益のある利害関係人の一層の利便を図るとともに、宗教法人の管理運営の透明性が高められ、そのより適正な運営が行われることを目的としたものです。
※第二十五条 3 宗教法人は、信者その他の利害関係人であつて前項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項各号に掲げる書類又は帳簿を閲覧することについて正当な利益があり、かつ、その閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められる者から請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。
請求の対象となるのは、宗教法人法第25条第2項の書類及び帳簿です。これらの作成の元となった帳簿等は対象ではありません。
閲覧することに正当な利益がある信者その他の利害関係人の例としては、以下のような者が考えられます。なお、これはあくまでも例示です。
1 宗教法人と継続的な関係を有し、宗教法人の財産基盤の維持形成に貢献している寺院における檀徒や神社における氏子など
2 宗教法人の管理運営上の一定の地位が規則等で認められている総代など
3 宗教法人と継続的な雇用関係にあり、一定の宗教上の地位が認められている宗教教師
4 債権者
5 保証人
6 包括・被包括関係にある宗教団体
閲覧請求があった場合、宗教法人は、個別の事例に応じ、その閲覧につき正当な利益があるか、不当な目的によるものでないか等を考慮した上で、請求に応じるかどうかの判断をしなければなりません。
【9】 登記は宗教法人の実体を正確に表していますか。
登記とは、一定の事項を公開された公簿に記載することによって、第三者に対してもその権利の内容を明らかにし、取引の安全と円滑とを図ろうとするものです。このような制度を登記制度といいますが、登記には、権利義務の主体すなわち法人格に関するものと、権利の客体すなわち財産に関するものとがあります。
※第八条 宗教法人は、第七章第一節の規定により登記しなければならない事項については、登記に因り効力を生ずる事項を除く外、登記の後でなければ、これをもつて第三に対抗することができない。
(1)法人登記
宗教法人の存在、組織、財産関係の状況等を一定の帳簿(登記簿)に記載して公示し、いつでも一般に公開すること(登記事項証明書の交付)を目的としています。
宗教法人において、このような登記が必要とされるのは、宗教法人が法律関係の主体となり、法律上の行為を行う場合、誰が宗教法人を代表し、財産状況は現在どうなっているか等の事項を、第三者に対しても、法人の構成員その他利害関係人に対しても明らかにする必要があるからです。
なお、宗教法人は、所轄庁から規則の認証を得て、その主たる事務所の所在地に次のような事項を登記することによって成立します。
※ 1 目的(事業を行う場合は、その事業の種類を含む。)
※ 2 名称
※ 3 事務所の所在場所
※ 4 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人、非宗教法人の別
5 基本財産がある場合には、その総額
6 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
※ 7 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る財産処分行為に関する事項を定めた場合には、その事項
※ 8 規則で解散の事由を定めた場合には、その事由
※ 9 公告の方法
そして、前記の登記事項に変更が生じたら、変更の登記(※印については規則変更の認証が必要)をし、遅滞なく登記事項証明書を添えて所轄庁に届け出なければなりません。
特に、代表役員(代務者を含む。)が変更(再任も含む。)になっているにもかかわらずそのまま放置されていて取引の相手側に損害を与えた場合など損害を賠償する責任が生じてきますから、注意してください。
※第九条 宗教法人は、第七章の規定による登記(所轄庁の嘱託によつてする登記を除く。)をしたときは、遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければならない。
※第五十二条 2 設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的(第六条の規定による事業を行う場合には、その事業の種類を含む。)
二 名称
三 事務所の所在場所
四 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別
五 基本財産がある場合には、その総額
六 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
七 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項
八 規則で解散の事由を定めた場合には、その事由
九 公告の方法
※第五十五条 第五十二条第二項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。
(2)不動産登記
土地や建物を購入するとき、誰もが登記簿を見るように、不動産の取引で登記は一番大切なことです。宗教法人も不動産の売買等権利の変動のつど、登記を怠らないようにしましょう。
なお、宗教法人の所有に係る礼拝の用に供する建物及びその敷地については、その旨の登記をすることによって、特別の場合を除き、私法上の金銭債務のための差押えを免れることができます。
※第六十六条 宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地については、当該不動産が当該宗教法人において礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をすることができる。
2 敷地に関する前項の規定による登記は、その上に存する建物について同項の規定による登記がある場合に限りすることができる。
第八十三条 宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地で、第七章第二節の定めるところにより礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をしたものは、不動産の先取特権、抵当権又は質権の実行のためにする場合及び破産手続開始の決定があつた場合を除くほか、その登記後に原因を生じた私法上の金銭債権のために差し押さえることができない。
【10】 財産の管理・運用の心得 4 か条。
1 財産の保全の努力
宗教法人法は、宗教団体の財産の保全を目的とした法律ともいえます。
保全に値する財産が失われれば宗教法人として失格(解散命令)ということになりかねません。
むやみに不動産を処分したり、投機的な資金の運用を図って、宗教法人の財産を減少させたりすることのないように心掛けましょう。
※第十八条 5 代表役員及び責任役員は、常に法令、規則及び当該宗教法人を包括する宗教団体が当該宗教法人と協議して定めた規程がある場合にはその規程に従い、更にこれらの法令、規則又は規程に違反しない限り、宗教上の規約、規律、慣習及び伝統を十分に考慮して、当該宗教法人の業務及び事業の適切な運営をはかり、その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならない。
2 法人財産の認識
宗教法人の財産は、多数の信者の浄財の上に成り立っています。代表役員個人のものでも、責任役員個人のものでもありません。あくまでも宗教法人自身の財産であって、代表役員、責任役員等が法律に基づき管理し、運用するものです。したがって、財産の管理者は、経理をきちんとし、会計報告も行って疑念を抱かれないようにしましょう。信者との信頼関係が損なわれれば宗教活動にも多大な影響を及ぼしかねません。
3 法人財産と個人財産との区別
宗教活動の中心におられるのは多くの場合、代表役員とその家族でしょう。庫裏や教職舎での生活には私生活もないかもしれません。しかし、財務管理面からは宗教法人の財産と代表役員個人の財産はきちんと区別し、法人の会計帳簿と個人の家計簿の両方をはっきり区別して記帳しなければなりません。
4 宗教活動とその他の事業との区別
宗教法人は本来の宗教活動以外に公益事業や収益事業を行うことができます。(しかし、宗教活動に比して規模過大なものや、宗教法人としてふさわしくない風俗営業等は認められません。)こうした場合きちんと規則に記載し、区分経理をしなければなりません。
【11】 財産処分に公告を忘れていませんか。
宗教法人法は、宗教法人(包括法人を除く。)が次のような行為を行う場合は公告を行うことを定めています。
(1) 不動産の処分
土地、建物、立竹木についての譲渡(売却など)、交換、賃貸借(長期)、地上権、地役権の設定など
(2)宝物の処分
歴史上、信仰上、重要な価値を有する財産の処分
(3)担保の供与
不動産、宝物について抵当権や質権を設定したり譲渡担保に供すること
(4)借入又は保証
銀行等からの借入や宗債の発行、第三者の債務に対し保証人になること
(5)主要な境内建物の新築等
新築、改築、増築、移築、除却(とりこわし)、著しい模様替えなど
(6)境内地の著しい模様替え
(7)主要な境内建物又は境内地の用途変更等
※第二十三条 宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。但し、第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基くものであり、又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りでない。
一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。
二 借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く。)又は保証をすること。
三 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替をすること。
四 境内地の著しい模様替をすること。
五 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二条に規定する目的以外の目的のために供すること。
※第二十四条 宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない。
◇その手続きは
規則に定める手続(責任役員会の議決・総代会の同意・包括宗教団体の承認)⇒公告
⇒反対意見があれば⇒責任役員会で再検討
⇒反対意見がなければ⇒財産処分⇒財産台帳等の整理⇒処分した財産が基本財産の場合 基本財産総額の変更登記所轄庁への届出
(例)
①不動産の処分、②宝物の処分
処分する物件、価格、相手先、処分の目的、処分の方法、年月日等、当該行為をしようとする旨を信者その他利害関係人に対して公告する必要があります。
なお、意見の申し出等のため、1月の期間は据え置くことが必要です。
③借入
借入金額、借入目的、借入の条件、借入の相手先、借入年月日等を信者その他の利害関係人に対して公告する必要があります。
なお、意見の申し出等のため、1月の期間は据え置くことが必要です。
【12】安易な事業への取組みは宗教法人の姿勢が問われます。
【例1】
お寺の住職さんに石材業者Bさんからこういう話が持ち込まれました。
Bさん「そちらのお寺に、私の手持ちの土地(山林)を寄付したいのですが。」
住 職「本当にいただけるのでしょうか?でも、せっかくですが、山林をいただいても、こちらのお寺にはあまり意味がないのですが…。」
Bさん「大丈夫ですよ。それよりも一緒に霊園事業を始めませんか?お寺にもたくさんお金が入り、本堂の建て替えも出来ますよ。霊園の造成費用は、永代使用料からいただきますので、実質的には、お寺からの金銭の持ち出しはありません。」
住 職「しかし、責任役員や総代にも相談しないといけませんし…。それから、宗教法人の名前だけを借りて、実質的には営利企業が霊園を経営することは、『名義貸し』と言って禁止されているということも聞きますが、本当に大丈夫ですか?」
Bさん「何の心配もないですよ。運営やお金の管理等煩わしいことはこちらで行いますから、大船に乗ったつもりですべて任せてください。」
……その数十年後
住 職「あの時、Bさんに誘われるまま霊園事業を始めたが、結局、いい思いをしたのはBさんだけだった。近頃では霊園の管理費がかさんで借金続きだ。これから本当にやっていけるのかどうか……檀家の皆さんには本当に申し訳ない。」
◇宗教法人は公益事業やその目的に反しない限り収益事業も行うことができます。(ただし、規則に事業の種類や管理運営に関する事項を規定し、経理も分ける必要があります。)
本来、宗教法人の事業は、その公共的性格からいって、それにふさわしい内容のものであり、適正な規模であることが期待されます。そして当然、宗教法人が主体的に行うものでなければなりません。【例1】のような他人任せの霊園事業の「名義貸し」は、以下の通知により禁止されている行為です。甘言に誘われての事業への安易な参加により多額の負債を抱
え込み宗教法人の破産につながることもあります。大船に乗ったつもりがドロ船に変わらぬよう気をつけましょう。
※(参考)「墓地経営・管理の指針等について(平成12年12月6日)(生衛発第1764号)(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省生活衛生局長通知)」(抄)
○ いわゆる「名義貸し」が行われていないこと。
「特に宗教法人の墓地経営を許可する場合には、宗教法人の名を借りて実質的に経営の実権を営利企業が握るいわゆる「名義貸し」の防止に留意することが必要である。
この「名義貸し」については…次のような場合が考えられる。まず寺院(宗教法人)に対して石材店等の営利企業(仮にA社とする。)が墓地経営の話を持ちかけ、この寺院はA社より資金その他について全面的なバックアップを得て墓地経営の許可を受ける。ところが当の寺院は墓地販売権を始めとした墓地経営については実質的に関与しない取り決めがA社との間で交わされている。そしてA社は墓地使用権とともに墓石を販売して多大な収益を得るが、これは一部を除いて寺院の収入とはならない。しかしながら、使用者とのトラブルについては、最終的な責任者は寺院にあるとしてA社は責任を回避する。そして、運営の安定性を欠いたままで、後には資金力のない寺院と墓地だけが残る、といったような事例である。こうした事例で最も被害が及ぶのは墓地利用者である。…宗教法人の側も、自らが墓地経営の主体であることを十分に認識して事業に着手することが重要である。」
【例2】社務所に氏子が駆け込んで来ました。
氏子 「宮司さん大変ですよ、鳥居も本殿もこわされていますよ。」
宮司 「心配いりません。今度、境内地いっぱいに貸ビルを建設するんです。」
氏子 「神社はどうなるのですか?」
宮司 「ビルの屋上にでもお祀りしておきますかね。神様も眺めがよくて喜ばれるでしょう。」
氏子 「我々に相談もなくそういうことをしてよいのですか?」
宮司 「口は出してもお金は出さない氏子ばかりで神社の運営は苦しいのですよ。これからは皆さんに寄付の割当てをお願いすることもなく御同慶の至りじゃないですか。」
氏子 「…………………………………」
◇また、収益事業は、あくまでも宗教法人の目的達成のために付随的に行われるものですので、その収益は、必ず、①当該宗教法人、②当該宗教法人を包括する宗教団体、③当該宗教法人が援助する宗教法人、④当該宗教法人が援助する公益事業のために使用しなければなりません。
※第六条 宗教法人は、公益事業を行うことができる。
2 宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。
◇なお、所轄庁は、宗教法人が行う収益事業について宗教法人法第6条第2項の規定に違反する事実があると認めたときは、当該宗教法人に対し、1年以内の期間を限りその事業の停止を命じることができることとされています。
※第七十九条 所轄庁は、宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があると認めたときは、当該宗教法人に対し、一年以内の期間を限りその事業の停止を命ずることができる。
【例2】のように宮司が独断で財産を処分したりするようなことは論外ですが、それよりも、このように事業規模が本来の宗教活動に比べて過大である等により、収益事業を行うことが主たる目的となり、宗教法人の本来の目的を欠くこととなるようなことは許されません。宗教法人が事業を行う場合、その事業は宗教法人にふさわしいものとし、あくまで社会から誤解を招くことのないよう留意すべきです。
【13】所轄庁の報告徴収・質問がなされる場合
所轄庁は、宗教法人について、「公益事業以外の事業」の停止命令等の事由に該当する疑いがあると認めるときは、業務等の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求めたり、その職員から当該宗教法人の代表役員等の関係者に対して質問をすることができます。
この報告徴収、質問は、次の3つの場合にのみ法律の権限行使として、あらかじめ宗教法人審議会の意見を聞いて行われるものですから、平常の場合にまでこれが用いられるようなことはありません。
また、権限行使に当たっては、信教の自由を妨げることのないよう特に留意すべき規定や、所轄庁の職員が、質問するため、宗教法人の施設に立ち入ろうとする場合は、代表役員等宗教法人関係者の同意が必要で、職員はその身分を示す証明書を携帯し、宗教法人の関係者に提示しなければならない旨の規定が設けられています。
1 「公益事業以外の事業」について、その収益を当該宗教法人等のために使用していない疑いがあると認められる場合
2 設立に係る規則の認証及び新設合併の認証時に、宗教団体としての要件を欠いていた疑いがあると認められる場合
3 1年以上にわたってその目的のための行為をしない等の宗教法人法第81条第1項に規定された解散事由に該当する疑いがあると認められる場合
※第七十八条の二 所轄庁は、宗教法人について次の各号の一に該当する疑いがあると認めるときは、この法律を施行するため必要な限度において、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができる。この場合において、当該職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入るときは、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者の同意を得なければならない。
一 当該宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があること。
二 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証をした場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていること。
三 当該宗教法人について第八十一条第一項第一号から第四号までの一に該当する事由があること。
2 前項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部科学大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部科学大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。
3 前項の場合においては、文部科学大臣は、報告を求め、又は当該職員に質問させる事項及び理由を宗教法人審議会に示して、その意見を聞かなければならない。
4 所轄庁は、第一項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させる場合には、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。
5 第一項の規定により質問する当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に提示しなければならない。
6 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
なお、以上の報告徴収、質問とは別に、所轄庁は、信教の自由に配慮して、宗教法人の協力を得た上で、任意のお尋ねをすることがありますが、これはこれまでも行われていることで、法律上の権限に基づくものではありません。
【14】 宗教法人も税と無関係ではありません。
ある宗教法人の代表役員AさんとBさんの会話です。
Aさん 「先日の文化庁と県主催の実務研修会、忙しくて出席できなかったんですが、Bさんは行かれました?」
Bさん 「ええ、わたしは初めて行きました。文化庁と県の担当者のほか国税局の担当者が講演されていました。」
Aさん 「どんなお話でした?」
Bさん 「私の所には関係ないと思いまして、上の空でした。そもそも宗教法人というのは税金を納めなくてもいいんでしょう。」
Aさん 「そうですね。それに私どもの法人は、本来の宗教活動のほかには何もやっていませんから。」
Bさん 「あっ……、研修会の時に国税局の担当者が話されていたことを思い出しました。確か源泉徴収がどうのこうのと言っていました。」
Aさん 「それなら関係ないですわ。あなたも私のところも家族だけでやっておって、あなたも私も誰かに月給をもらっているわけ
じゃありませんよね。」
Bさん 「そうですね。」
さて、お二人の解釈でいいのでしょうか。「宗教法人と税金」について考えてみましょう。
◇宗教法人の役職員(住職、宮司、教会長、また一般僧侶、神職、牧師、教師及び事務職員等)も御自身の給与等の収入については、収入に見合った所得税等を納付しなければなりません。
そして、次に宗教法人は役職員に対する給与、報酬、退職金又は講演料等について、源泉徴収で所得税を預かり納付する義務があります。AさんもBさんも、それぞれの宗教法人から給与を受け取っていると思われますので、御自身の給与についても、所定の所得税を源泉徴収して、他の役職員の給与に対する源泉徴収額と併せて納付しなければならないわけです。宗教法人が宗教活動だけを行っている限り税金の話は無関係という発言は全くの誤解とおわかりいただけたでしょうか。
また、宗教法人は収益事業を営む場合は、法人税等がかかります。
この場合の収益事業とは、駐車場業や不動産貸付業など34種類の指定された事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいいます。
※〈収益事業一覧〉
物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供業、労働者派遣業
【15】 宗教法人に係わる問題が起こった場合。
宗教法人に係わる事務処理に当たっては様々な問題が発生することがあります。
実際の問題の処理等に当たっては、所轄庁に相談するなど、間違いないようにすべきだと思います。
なお、他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人の所轄庁は、文部科学大臣とされています。
他の都道府県内に境内建物を備えた場合には、その旨を都道府県知事を通じて、文部科学大臣あてに届け出ることが必要です。
また、何らかの事情により、他の都道府県に全く境内建物を備えなくなった場合には、所轄庁が主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に変更になりますので、その旨も同様に文部科学大臣に届け出ることが必要です。
具体的にこのような事実が発生したときは、所轄庁の担当部局にご相談ください。
※第五条 宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。
2 次に掲げる宗教法人にあつては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部科学大臣とする。
一 他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人
二 前号に掲げる宗教法人以外の宗教法人であつて同号に掲げる宗教法人を包括するもの
三 前二号に掲げるもののほか、他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人
《提出書類編》
【16】 毎年所轄庁へ提出することとされている書類とは。
1 提出する書類
宗教法人は、毎会計年度終了後4月以内に事務所備付け書類の一部の写しを所轄庁に提出しなければなりません。
写しを提出しなければならない書類は、
① 役員名簿(全法人提出)
② 財産目録(全法人提出)
③ 収支計算書(作成義務を免除され、実際に作成していない場合を除く。)
④ 貸借対照表(作成している場合に限る。)
⑤ 境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類(該当法人に限る。)
⑥ 事業に関する書類(宗教法人法第6条に規定する事業を行う場合に限る。)
です。
※第二十五条
4 宗教法人は、毎会計年度終了後四月以内に、第二項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項第二号から第四号まで及び第六号に掲げる書類の写しを所轄庁に提出しなければならない。
◇なお、公益事業以外の事業を行っていない宗教法人で、1年間の収入の額が8,000万円以内の宗教法人については、当分の間、収支計算書の作成義務が免除されております。これは、収入規模の小さな法人について直ちにその作成を義務づけることが、事務負担の面で困難が予想されるための経過措置であり、収支計算書を作成しないことを奨励するものではありません。実際に収支計算書を作成しているときには、それを事務所に備え付けるとともに、その写しを所轄庁に提出する必要があります。
また、収支計算書の作成が免除されている場合で、実際に作成していないときにも、他の役員名簿、財産目録等の書類の写しについては必ず提出しなければなりません。
2 提出期間
毎会計年度終了後4月以内に所轄庁に提出しなければなりません。
会計年度は、それぞれの法人の規則で定めていますから、規則で会計年度を調べ、いつまでに書類を提出すればよいのかを確認しておく必要があります。
3 提出に当たっての注意点
提出に当たっては、以下の点に注意してください。
(1)所轄庁へ書類の写しを提出する際は、様式例などを参考にして表紙を作成し、提出してください。その際、提出する書類と提出しない書類を明示するようにしてください。
(2)提出するのは、法人の事務所に備えている書類の写しです。所轄庁提出用に新たに作成する必要はありません。また、書類そのものを提出してしまうと、法人が備え付けるべき正式書類がなくなり、備付け義務違反となってしまいますので、備付け書類のコピーをとり、又は手書きで複写するなどして、書類の写しを提出してください。
(3)表紙と書類の準備が整ったら、提出する前にもう一度書類の確認をしましょう。すべての法人が提出することになっている役員名簿と財産目録の写しはありますか。このほかにあなたの法人が提出すべき書類がないかどうか、よく確認してください。
(4)提出する所轄庁は、原則として主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事です。巻末の一覧表であなたの法人の所轄庁の住所を調べ、主管部課宛に提出してください(郵送でも結構です)。文部科学大臣所轄法人の提出先は文化庁です。それ以外の法人は各都道府県の宗教法人事務主管課が提出先となります。
なお、教派、宗派等によっては、包括法人等が被包括法人の提出書類をまとめて所轄庁へ提出する場合がありますので、事前に包括法人(団体)に確認してください。
(5)提出は毎会計年度ごとに行うこととされています。したがって、前年度提出したときと書類の内容が変わっていない場合(例えば役員の構成に変更がなかった場合など)でも、毎年度、提出の必要があることに注意してください。
(6)所轄庁においては、提出された書類について内容を把握の上、必要な情報が欠落している場合、書類の記載内容について不明な事項がある場合等においては、必要に応じて、当該法人の協力を得て、問い合わせ、訂正、追加を求めるなど正確な情報の把握につとめることとしています。
4 提出を怠った場合
提出期限までに提出がない場合は、代表役員、その代務者、仮代表役員等は10万円以下の過料に処せられることとされています。
※第八十八条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、宗教法人の代表役員、その代務者、仮代表役員又は清算人は、十万円以下の過料に処する。
五 第二十五条第四項の規定による書類の写しの提出を怠つたとき。
※ なお、過料額の上限については、平成17年の会社法改正に伴い、10万円以下に引き上げられました。
【17】 役員名簿について
役員名簿は、代表役員、責任役員について作成するのはもちろんですが、規則で定める機関で、規則の変更や、予算、財産処分など法人の管理運営に直接関与する役員についても作成する必要があります。例えば、責任役員会以外の議決機関の構成員や法人の内部にあって職務執行を監査する監事なども該当します。
名簿は、役員の分類ごとに、住所、氏名、就任・退任年月日、任期などを記載します。
◇Q 信者の総会の構成員も役員に含まれますか。
A 法人の管理運営に直接携わらない総会等の機関の構成員は、役員に当たりませんので、名簿を作成していても提出する必要はありません。
【18】 財産目録について
1 財産目録とは、一定の時点において、法人が保有するすべての資産(土地、建物、現金、預金等)とすべての負債(借入金等)について、その区分、種類ごとに一覧にし、法人の財産状況を明らかにしたものです。財産目録は、毎会計年度終了後3月以内に作成する必要があります。
2 財産目録中の基本財産とは、宗教活動を行っていく上に必要な財政的基礎となるもので、境内地や境内建物のほか、基本財産として設定されている一定の基金がある場合などが該当します。
また、普通財産とは、法人の通常の活動に要する費用に充当すべき財産です。
3 財産の設定については、各法人の規則に記載されており、変更等(基本財産を普通財産にする場合など)を行う場合には、一般的に責任役員会の議決が必要となっていますので、よく規則を見て作成してください。
◇Q土地、建物の評価額は何を基準とするのですか、また、取得時の価額がわからないときはどうすればいいのですか。
A 土地、建物ともに取得時の価額がわかれば、その価額を記載します。取得時の価額がわからない場合は、土地については、固定資産課税台帳記載の価格や近傍類似価格又は路線価等を参考にするとよいでしょう。また、建物の取得価額がわからないような場合には、可能な限り、合理的な方法によって価額を算定するよう努めてください。なお、どうしても算定が困難な場合には「─」(バー)と記載することもやむを得ません。
Q仏像、宝物など評価額が算定できないものの評価額はどうなりますか。
A 法人が自ら選定した仏像等の宝物については、特別財産として取り扱いますが、これらのものは、一般的に評価の対象となるものではありません。価額が評価できないような場合には、「─」(バー)と記載してください。
Q 什器、備品等はどの程度のものが対象になりますか。
A 什器及び備品は、財産台帳に記載されているものすべてが対象になりますが、基本的には、各法人ごとに判断すべきものです。
あらかじめ、「1年以上の使用に耐えるもので、購入金額が○○円以上のものとする。」というように、什器、備品等に関する基準を内部で定めて、財産台帳で整理しておくのが望ましいでしょう。
Q 境内建物、その他の建物の区分はどう考えたらいいですか。
A 「境内建物」とは、法人が目的に沿った宗教活動を行うための建物のことを言います。なお、建物の保存登記がなされているかどうかは問いません。
また、一般的に宗教活動以外の公益事業や、その他の事業に使用する建物(例えば車庫や倉庫など)については、「その他の建物」としてまとめて記載してください。
【19】 収支計算書について
- 収支計算書とは、会計年度のすべての収入、支出の明細表であり、予算と対比することにより、予算の執行状況を明らかにする書類であり、法人としての1年間の宗教活動等を数字で表したものです。
2 (1)収支計算書の実際の作り方
会計を複式簿記で行っていない場合の収支計算書の作成方法は次のとおりです。
① まず、実際に収入、支出があったときは、その都度一件一件について、特定の収支科目に分類して入金伝票又は出金伝票を起票し、それを収入予算管理簿又は支出予算管理簿に記帳し、現金出納簿又は預金出納簿に記帳します。
(2) 収入・支出予算管理簿の各科目ごとに、収入又は支出の合計額及び予算額と決算額の差異を計算し、又は、現金出納簿、預金出納簿の各収支科目の合計額及び予算額と決算額の差異を計算し、収支計算書の様式に、科目、予算額、収入又は支出の決算額、予算額と決算額の差異を転記します。
3 収支計算書作成上の留意事項
(1)収支計算書は、予算と決算とを対比するために作成するものなので、新しい年度に入る前に収支予算書を作成しておく必要があります。
(2)境内建物の新築など長期にわたって収入、支出がある場合、公益事業その他の事業を行う場合、国や地方公共団体から補助金の交付を受ける補助事業(「文化財保存事業」など)を行う場合などは、特別会計を設定し、通常の会計(一般会計という)と区分して会計処理しなければなりません。
(3)収支計算書は、収入合計〔C=A+B〕と支出合計〔F=D+E〕が一致している必要がありますので、もし一致しない場合は、再度確認してください。
(4)月末残高は、手許の現金額及び預金通帳・預金証書などの記帳残高と一致しているかを必ずチェックしてください。
◇Q 収支計算書の収支科目にはどのようなものがありますか。
A 収入、支出の科目には、次のようなものがあります。ここでは抽象的な科目名を用いていますが、法人の特性によって、適当な名称を用いて差し支えありません。また、小規模な法人では、科目をまとめるなど作成しやすいようにします。
なお、いったん定めた科目は、毎会計年度継続して用いることとし、みだりに変更すべきではありません。
【20】 境内建物に関する書類について
(1)境内建物は、宗教活動に不可欠なものと考えられ、その存在によって法人の活動状況や範囲が明らかになるという面があります。
また、他の都道府県内に境内建物を備えているかどうかが、所轄庁の基準の一つとされています。
(2)境内建物は、必ずしも法人が所有しているものだけとは限りません。
法人が境内建物を賃貸借契約あるいは使用貸借契約により借りている場合などは、通常、財産目録には記載がされません。
このような境内建物がある場合に限って、「境内建物に関する書類」を作成し、事務所に備え付けることになります。
◇Q境内建物に関する書類はすべての法人に備え付けなければならないのですか。
A 財産目録に記載されていない境内建物がある場合に限って、作成し、備え付けるものですから、このような境内建物がない法人は、この書類を作成し、備え付ける必要はありません。
【21】 事業に関する書類について
(1)法人は、本来の宗教活動のほか、教育などの公益を目的とした公益事業や、宗教活動などの目的達成に資するために収益事業など公益事業以外の事業を行う場合には、法人規則に事業の種類や管理運営に関する事項を規定するとともに、その事業に関する書類を事務所に備えなければなりません。
(2)「事業に関する書類」は、事業の状況、事業に関する収支その他の事業内容や経営の実情を表す書類をいいます。したがって、この書類については、各事業の種類ごとに作成して備え付けてください。
※詳細は「宗教法人運営のガイドブック」文化庁をご覧ください。
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